24 狂人

 どこかで眠らされていたエントレーの意識が、自身の肉体に宿り帰ったのは、イチヨの「んのやろォォォ!」という雄たけびがきこえたあたりであった。

 カニ道楽が「まだでてはイカン」といった。

「おれの体だ」

「カニの死にバサミ。欲深いという意味もある」

「うるさい、おれの体だろ。ルーチェはどこだ。ルーチェは……あっ」

 三百六十度の円になった視界、それ自体がジオという惑星そのもののような視界に、マントを羽織はおったルーチェが映った。浮遊している。

 顔こそルーチェだが、その凶悪そうな表情は彼がはじめて見るものだ。金色に光る眼の片方は切り潰れ、めまいのしそうな量の黒血を流している。

 あれはどうしたことだ。彼女は誰だ。ルーチェは、いったい。

「ルーチェ……」

 まばたきもせずに、エントレーの埋まっている場所をルーチェは睨んでいる。つらなった瓦礫がれきの間にある、針の糸を通すようなわずかな隙間。その先にあお向けで横たわる、カニさまとエントレーの合体系を千里眼で見通すように。

「情を持ってはならん。つけこまれるぞ」

 エントレーのなかで、カニさまが神妙にいった。

「愛すること。憎むこと。どちらもそれだけ相手に情をかけるということ。いま、この場合は情が足枷あしかせになる。こらえろ、エントレー」

「黙ってくれないか」

「取り殺されるぞ、あの女に」

「黙れといってるんだ!」

 お前に、おれとルーチェのなにがわかるのだ。ふつふつとわきあがりつつあった怒りが、あふれるマグマのごとし叫びとなった。肉体を好きに使われたあげく、自身と教え子との間にあるつながりに踏みこんできたカニの化け物に対しての怒りだ。

「月夜のカニだな。中身がないってことだぞ」

 身を裂く重い石をどかして、ハサミを伸ばす。筋肉が張り裂けそうな痛みが走った。

「ぐわわっ」

 泡を吹きながら、体をひと思いに引き起こした。重みがいっせいに肉体を押してくる。それらを逆に押しかえせたのは、変化した肉体の恩恵か。あるいは、女への情念ゆえか――

 地中から這いでて、みずからの足で立ったエントレーの姿は、人間とカニの7:3といったお世辞にも格好いいとはいえないものに変質していた。全身が赤く硬化しており、両手はハサミのまま。顔や胴体や脚は人間のままではあるが、細身だった元の彼よりも多少ずんぐりして、背中からカニの脚が飛びだしている。異形のカニ人間だ。

 変わり果てた者同士、視線の縄をからませ合い、ややあってエントレーが口を開いた。

「君はどうしてしまったんだ。神祇になにかされたのか」

「……神祇になにかされたわけじゃない。でもまぁ……人にはなにかされたかもね」

「人?」

「あの人が、わたしに力を与えてくれた。神祇を召喚する技をわたしに。まさか、わたしまでも神祇と混ざるとは思わなかったけど」

「混ざるってなんだ。なにをいってるんだ」

「頭の悪い人、センセ」

 ルーチェは冷笑するように片目で見下げて、首を横に向けた。

 朝にはあったガーゼがなくなっている。代わりに三角形を作るようにして小さな穴が三つ、彼女の首筋にあいていた。

「シャワーのあと、そんな穴はなかった」

「シャワー室で神祇のスライムを召喚して、わたしに化けさせたの。ガーゼつけるの忘れやがって、あの低能め」

「偽物? どうして」

「先生に会うわけじゃないし、わたしはわたしでやることがあったから。ほかをだませれば、それで十分だったんだもん。あ……先生の家にいったのは偽物じゃないよ、わたし自身。わたしを抱けば、カニさまなんて追っ払えたのにね……」

 彼女がなにをいっているのか、理解できなかった。核心に迫ってはいないが、これは「わたしが事件の黒幕」と話しているようではないか。いや、そういっているのだ。神祇を村に招待したのは、ルーチェだ。

「どうして……どうして、こんなことを」

「何度もいわせないで。先生のこと、愛してるから。わたし、もらった力を使って邪魔者を消して、もっともっと先生にかわいがってもらって、もっともっと守ってもらおうと思って神祇たちを放ったの。ね、いじらしいでしょ。あは、あは」

 カタカタと笑いだした。

 エントレーは考えた。起こったことのすべてを整理してみる。事件の全貌ぜんぼうを把握しようと、彼はミソになった頭を回転させた。

 ルーチェが語った神祇たちに囲まれる悪夢。そこで召喚術の力を与えられた彼女は、神祇を放って自作自演を開始した。沼でおぼれたのは、おれの気を引くために召喚した神祇に命じてやらせたこと。おれが見ていないところでも偽物を立てて、そいつにもマッチポンプをさせる。そうすることでおれに入る情報は、被害者になったかわいそうなルーチェだ。おれが心配してテレポンしたとき、彼女はほくそ笑んでいたのだろう。邪魔な兵士を始末するためにも、神祇を差し向けて……

 邪魔な――邪魔な?

「イチヨは? 兵士はわかるが、イチヨはなんで」

 ルーチェが口を開けたまま、ピタと笑うのをとめた。しばしゼンマイが切れた人形のように固まっていたが、にゅうと表情を邪悪に歪ませて、フクロウに似た首の傾け方で角度を変えて、

「あの女は、先生をたぶらかしかねないから」

「なにを……」

「ご近所で、昔馴染みで、元生徒で。わたしよりも……ずるい。イチヨはずるい! ずるいから、ずっと嫌いだったよ。目ざわりだったんだよ。だから殺そうと思ったんだけどなぁ……しぶといよね、ホントに」

「……」

 ぞわっとする念が伝わってきた。よく知っているルーチェという人間の記憶が上書きされそうになるほどの存在感が、いまのルーチェにはある。

 神祇たちをイチヨに襲わせた理由をきいて、鳥肌が立つ、ある可能性が脳裏に浮かびあがった。否定してほしいからこそ、質問しなければならないことであった。

「リヒを殺したのは、君なのか」

「そうだよ」

 ルーチェは事もなげに即答した。

「リヒはさ。わたしに対して勝ち誇ってたんだよね。お姉さんみたいなフリして、でも先生はわたしのものって。……殺されても文句ないでしょ。まっ、そうでなくても邪魔だから殺してたけど。神祇どもに食われてる前で、同じように勝ち誇ってやった。いい顔してたよ、あの女」

「きっ」

 過剰に呼吸が気管を出入りしはじめる。破れそうな胸の痛みに、両膝を突く。

「君は狂っている!」

 エントレーはうめきながらいった。

「わたしを狂わせたのは先生」

 ゆるやかに高度を落として、ルーチェが典型的なパニック障害を起こすエントレーの前に舞い降りた。

 マントからそっと細く白い腕を伸ばして、彼の顔に触れると顔を近づけていった。ふたりの鼻と鼻が軽く当たった。

「あなたのこと、なんでこんなに好きになっちゃったんだろう」

 エントレーの頬を涙が伝った。なんの涙か、わからない。悲しみも怒りもあっただろう。しかし、それだけではない未知の感情が涙に化けていた。

「わからないから、もうとめられない」

「こんなこと、やめろ……もうやめろ……君は化け物だ……」

「化け物? そうかも、そうだね。でも、ここでやめて……ここまできてさ。どうしたらいいの、先生。ねえ、先生。わたし、どうすれば」

 答えられない。

 なにも答えられない。

「最初は神祇たちもいうことをきいてたんだけど。途中からわたしの指示に従わなくなって……だから、アンのババアを殺すのが遅れた。先生には手をだすなっていったのに」

「アンばあさん……アンばあさんは」

 家を訪ねてきたルーチェを払いのけたあと、突然、襲いかかってきた苦痛。そのあとにカニさまに意識をコントロールされた。なにが決定打だったのかと考えると、あのときになにかの死が流れこんできたことをエントレーは思いだした。

 アン=オットーの死が、自分のなかに入ってきたのだ。それが、トリガーだった。

「ばあさんも、君が」

「帰りぎわに殺してやった!」

 歯を下品に剥いて、ルーチェがえた。

「だけど、遅かった。カニミソ野郎は先生を乗っ取って、追ってきた。もうすべてが遅かったんだ。クソ、クソ。くそう」

 砕けた岩に頭を打ちつけはじめた。鈍い不快な音が繰りかえされ、血と肉が飛び散った。

 ルーチェは狂っている。

「こんな姿、先生に見られて。クソ、クソ、くそう。制御がきかなくなってきた、なんでだよォ。召喚術の力は神祇の力を流用したものだった、クソクソ……ヴィゾに騙された、制御できない。あいつはわたしが全部をダメにして、わたしが死んで、ただのモルモットにしてわたしを利用して自分の戦争の役に立たせようとどこでもよかったし誰でもよかったただわたしがすごく愛して憎んでたから都合がいいから近寄って甘いこといってわたしにすべてが落ちてきたかのようにいってわたしを神祇にして自分の支配下に置こうとしてヴィゾめアアアクソクソクソくそう。制御できないィッ!」

 ゴチャッという潰れる音がした。ルーチェの頭が岩に引っ付いたまま、ぶるぶると震えている。

 ――いまだ。

 エントレーは思った。頭を叩き潰した彼女に駆け寄りたい気持ちと、村をこれ以上、自分たちの薄汚い業で焼いてはいけないという気持ちがせめぎ合ったが、彼のなかで勝った感情は後者であった。

 ハサミを大袈裟おおげさなほどに振って、ルーチェの背後に迫る。

「そっち側かァーッ!」

 首を百八十度まわして、鬼女と化したルーチェが振り向いた。

 

 わたしを選ばずに、村の側につくのか――そういったのだろう。そうじゃない。そうじゃないんだ。どっちにつくとかではなく、ルーチェがこんな有様になっているのを見ていられなかった。

「情を持つなッ!」

 圧のある叱咤しったが耳の奥で響いた。

 振ったハサミに、全身全霊が乗っていない。無意識に手加減していた。ルーチェを打ちすえる覚悟が足りていない。

 拳の先手を許した。ルーチェのマントが持ちあがって、虚空こくうの背中からドリルのように回転する拳を打ちだした。腹部の甲羅こうらを叩き割って、はらわたまでえぐりこんでくる。ルーチェが抱き締めつづけてきた膨張ぼうちょうする偏愛へんあい、それが威力と比例しているように思えた。

 さすがは演劇部の花形か。持てる力すべてを使ってまで、このおれを。そうまでして、おれを。

 狂っていたおれに狂ったルーチェ。リヒが犠牲となる因果は狂ったおれとルーチェにあり、彼女はおれたちに食われたのだ。ならば、おれたちはもろともに……それが、ふさわしく思えた。

「ルーチェ!」

 一度は減速したハサミのスピードをあげて、ルーチェの顔面に叩きこんだ。

 いいのが粉砕はいった。

 ギアエを練って作っていた憤怒ふんぬと嫉妬の拳が消えた。ぽっかりと腹部に穴があいている感覚がする。空気が流れているのだ。

 泡を吹いて、泡を大きくしていく。ひとつの巨大な泡にする。壊れかけの肺で、泡でできた鉄球を押しだした。

「ぬう」

 神の力といわれるギアエは、生まれついての才覚を持つ者が努力して得るものであり、いままでエントレーにとっては無縁の概念であったが、いざ使ってみるとそれが第六の感覚と強く結びついているのがわかる。

 ルーチェに泡のギアエが激突したのを感じた瞬間、泡の軌道を上空へ曲げた。

 水平にルーチェを飛ばしたほうがダメージが見込めたが、村を倒壊させるのを避けて、上空へ逃した。方角は東、弐式校があるほうだ。学校の裏山から太陽がのぼってきている。

 泡がパチンと割れた。

 拳の猛打、乱打が雨となって降りそそぐ。なりふり構わない攻撃だ。回避せずに直線でルーチェを目指す。外殻がいかくが砕かれてゆくが、特攻する。

「おおおっ」

 間合いに入って、右ハサミを横ないだ。体をのけぞらせてルーチェがかわす。

 前進して、もう一本のハサミを右斜めに振りおろした。ハサミの進む方向に、同じ速度でルーチェがまわった。当たっていたのに、当たっていない。狐に化かされたような感触である。

 まわるついでに正面切って放たれた拳を、両ハサミをクロスさせて防御する。力を抜けば、うしろに弾かれそうになる衝撃だ。

 横を向いて、空中カニ歩きで体当たりをぶちかます。ルーチェがふたつの拳をみずからの前に呼びだした。はじめて見せる防御の体勢であった。

 互いがぶつかると同時に衝撃波のようなものが、闇を地中へと溶かしつつある朝焼けの暗いオレンジを切り裂いた。

 押しこむ。ルーチェを押しこむ。

 ギアエのうまさは一歩ゆずるが、力はどうやらおれに分がある。ねじこんでやる。強引に。

「くわっ」

 ルーチェが大口を開いて、光線を吐いた。頭を狙ってきたそれを、遠投のフォームのように全身をずらして胸で受けた。貫通して、甲羅こうらも身も弾き飛ばされた。

「頭に食らってたら死んでたな」

「クソッタレ……!」

 いつしかエントレーとルーチェは村の東、弐式校の上空付近まで移動していた。

 右のハサミをがっちりと閉じて、突く。直撃の刹那せつな、マントが高速回転した。ハサミと腕部分のジョイントがベキリと折れた。絶妙で、天才的なタイミングで進行を流されて、圧力に耐えられなくなった腕はあらぬほうへ砕けてしまった。

「がぶーっ!」

 お茶目な声をだして、ルーチェが手持ち無沙汰ぶさたになっていた左のハサミに噛みついた。でたカニを食べるとき、がりりと嚙み砕いて身を吸うように。

「かわいいな、君は」

 マントのなかに頭を突っこむ。彼女のなかには夜が広がっていた。触感でまさぐり当て、獲物に噛みついた。引っ張りだす。

 ルーチェの胴から脱出した。彼女の左手薬指を牙の混ざった白い歯で噛みながら。左腕を引きずりだした。骨を噛む。潰し折る。ルーチェが滝汗を流しながら、痛みに叫んだ。

「いだーい、いだーいいだーい!」

 かまいたち。風の鎌がルーチェのぶんぶん振る右手から発せられた。エントレーの肉体をざくざくと切り刻む。

「おれも痛いんだ」

 痛みを与え合いながら、空でふたりがもつれ合う。

 ……ルーチェは狂っている。

 ……おれも狂っている。

 ……おれたちは狂人だ。

「死んじゃえ!」

 ルーチェが声を荒げた。

 出現した拳に、頭をつかみあげられた。

 噛んでいた少女の指を離す。出血して、骨の飛びだした哀れな指を。

「もっと早くにわたしを選んでくれてたら!」

 また口から光線を吐こうとしている。今度は避けられそうになかった。

 負けるのか。この女に。

 悔しいのではない。ここまで凄絶せいぜつに自身を愛する女と、もっとぶつかっていたかった。愛されるのは、気持ちがいい。そしてその愛にこたえるために、傷つけられて傷つけるんだ。愛するから、おれたちは傷つけ合うのだろう。

 ……おれたちは狂人だ。

 光線が放たれる寸前、澄んだ声が下からした。

「ダッセーなー、オメーらよー!」

 エントレーとルーチェが声のほうを見た。

 まだ開いていない弐式校のほうからした声だ。

 上級生棟の前に立つあの大木のこずえに、ボロボロのイチヨがしがみついて笑っていた。

「イチヨ」

 ルーチェがばくとしていった。

「ルーチェ」

 ニッと笑って、

「バーーーーーカ!」

 とイチヨがいった。たまに見せるあの挑戦的な笑みで、塩湖のようにどこまでも広がっていそうな、透明感あふれる希望をたずさえた瞳で。

 噛み砕かれはしたが、比較的動かせる左のハサミを振った。

 ルーチェの反応がワンテンポ遅れたのは、右目が潰れていたためだ。右目が残っていたら、視界の端にハサミをとらえて完全にかわしていただろう。

 ルーチェの頸部けいぶの肉を、エントレーのハサミがね飛ばした。その場所は三つの小さな穴があいた部分。皮肉にも、彼女を生まれ変わらせたらしいそのなにかの注射こんと同じ場所が、彼女の致命傷になった。

「……センセぇ」

 ぽろりと一言いって、ルーチェが力なく笑った。その笑みが自分に向けられたものではないと、エントレーはそれこそ第六の感覚で悟った。

 きっと、諦観ていかんの念と自嘲じちょうを含んだ笑みではなかっただろうか。また、イチヨという女に向けた笑みではなかっただろうか。

 愛と憎悪は情になる。と、カニさまはいったが、だとすれば愛憎は表裏一体であるとも考えられる。ルーチェがイチヨに向けていた憎しみは、もともと憧れや敬愛といったたぐいの愛からはじまったのかもしれない。嫉妬が、それを少しだけ変えてしまった。少しだけ違う、同じような感情に――

 次の瞬間、ルーチェはビューッと首から黒い血を噴いて、ぐらりと崩れた。

「ルーチェ!」

 カニさまを足蹴にして、エントレーは跳んだ。

「よせ、我からいま離れるな。傷を戻してやれん。戻れ、エントレー」

 頭から墜落していかんとするルーチェを抱いて、まるで流星のように落ちてゆく。

 神が、エントレーから離れてゆく。

 カニ人間のフォルムから、ボロぞうきん同然の人間のフォルムへ戻ってゆく。

 ゴッドクラブ・ジオのパーツが朝日の前にボロボロと崩れ消えてゆく。

 ――エントレーとルーチェは弐式校の裏山に落ちた。


 完全に陽がのぼった。

 長い、長い一日が終わって、新しい朝を迎えた。

「イチヨねーちゃーん」

 弐式校の校門前まで、応急的に修理したカミナリ号を転がして、レビンがやってきていた。助手席にはプレスコットが座っている。マキナ・ビトルにちょこんと収まっている騎士の姿はまるで似合わない。一周まわって気持ち悪いまである。

「助けてくれー、おりれねー」

「じゃあなんでのぼったの、メスのバカザルじゃん」

「奴らをどうにかしようと思って必死だったんだよ、うるっせーなー」

 校庭を歩いて、ふたりが木の下まできた。

「神祇レーダー、ルーチェに反応してたんだよ、ずっと。人間やめちゃったかー」

「奴ら、裏山に落ちたな。たぶん、無限沈沈沼あたりだろう」

「私もそう思う。HK(話変わるけど)アフロとオカマは大丈夫か」

「とりま村兵に引き渡してきたけど。治癒局がなくなっちゃったから、仮設の治療所を村兵たちが即席で作るっていってた。局員たちも呼ぶんじゃないかな、負傷者は多いし」

「ああ、それがいいよ」

「イチョーピー、沼にいくのか」

「そらさ、いくしかないだろ」

 どんな事件であれ、終わらなければならない。決着しなければならない。そのためには、観測者がいなくてはならないのだ。誰かに観測されることで、あらゆる事象は終わることができるのである。

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