第9話 ヒドラとの闘い 1

 それにしても、どんな敵がいる……っては?


「あれは……」


 僕が、気配遮断を使って、なにがいるのか調べようとしたら、変なもの……っていうか、やばいものを見てしまった。


 それは……大きな頭のようなものだった。蛇みたいな顔をしているけど、大きさは蛇とは比べ物になどならない。


 だって……僕の身体と同じくらいある。


「なに、これ……それにしても、……何処につながっているんだろう?」 


 僕は、頭から首を辿って身体がある予想の方へ向かってみると、沼のような汚れて深さが全くわからない池みたいなものがあった。


 そして、そこには……本で出ていて知っている……はずのヒドラがいたのだった。


「なっ……!?これがヒドラ…?」



 僕は、これくらいの大きさだなんて思いもしなかった。本には、絵が書かれているだけで、大きさなんてどこにも書いていなかった。


 そのために、想像して決めていたのだけど……これは予想以上の大きさだった。


 10……いや、20メートルくらいの高さがもしかしたらあるのではないだろうか。


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 えっ……!?気づかれた?


 あっ……そういえば、ヒドラは頭が7個くらいあるおかげで、いろんなものを探すことができる。さらに、それに影響して探索能力を持つヒドラが多いと書いていたんだっけ。


「どうする……?」


 戦っても勝ち目はなさそうだな……。でも、戦わないと死ぬんだよな……。


 それなら、戦わないといけない。


 なにか……なにか……!方法はないんだろうか?ヒドラには持っていなくて、僕だけが持っているもの……。


 そうだ……。


 知識か……!


 ヒドラは僕のことなんて1ミリも知らないだろう。すごい探索能力があったって、まだ入ったばかりだから、僕のことを探せないじゃないか!


 でも、僕は本を見て知っている。どこが弱点なのか、そして、どうしたら倒すことができるのか。


 予想外のことはあったけど、あの本は全く違うことを書いているわけでもなさそうだし……。


 死ぬしかないというのなら……


 試すしかないよな。そうじゃないと死ぬんだというのなら、それしか方法はないっ!


 そう僕は、決意を固めると、ヒドラに向かって肉体活性を使って、全力で走り出す。


 タッタッタッタッタッ……!


 注意すべき点は、2つだろう。


 1つ目は、ヒドラは毒の攻撃を使ってくるということ。一度でもダメージが入ったら、毒が回ってくるので一度も攻撃を当たってはいけないだろう。


 2つ目は、切っても再生するということだ。切ったから終わりと思わず、油断しないことが大切だな。


 再生するなら討伐だなんて無理じゃない?と僕はそこの部分を読んで始めは思った。


 でも、違っていた。 


 ヒドラに限界はないと思われていたのだけど、魔力の限界になると、再生することが出来なくなるらしい。……まぁ、切り続けるのは大変そうだ。


 それに、他にもヒドラの中心にある核を壊すことでヒドラを倒すことができる。


 ただ、何個もある首が邪魔してくるので、油断をつかないといけない。


「………ふぅ、よしっ。」


 よしっ、作戦は決まった……!何度も何度も首をきるのではなくて、ヒドラの油断をついて核を壊す方法で倒す!


 ヒドラって魔力がおおいから、首を切り続けることになると、こちらの方もすごい量の集中力や精神力、魔力を必要とするし。


 まずは、大きな声を出したり、真正面から攻撃して僕に注目させることにした。そうすることで、あとあと楽になるからな。


「おりゃああああああああああああ!!!」


 そして、核を狙うのではなく、僕は1つの首を狙った。


 なぜかというと、核を狙っていると思わせないためだ。核を狙っていることがわかると、視線が鋭くなるからな。


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 すると、毒の液体を僕に向かって吐き出してきた。


 結構範囲が広いな……。


 次は、能力の確認だ。また予想外のことがあったってなったら嫌だからな。


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 うわっ……頭のほとんどが毒を出しているじゃん。こりゃあ注意したほうがいいな。


「グギャアアアアアアアアアアアア!!」


 うわっ、それに何個かの頭が口を開いてかみつこうとしてきた……。ヒドラは物理系な攻撃もあるのか、そしてこれも危険だな。


 それにしても……牙が鋭すぎ……。


「【気配遮断】【縮地】【縮地】【縮地】」


 そして、僕は一旦避けると、ヒドラの視界から僕の姿が見えなくなる……ところに移動した。


 僕の事をヒドラに注目させたために、ほとんどのヒドラが僕の方を向いていたので、視界から外れるのは簡単なことだった。

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