第8話 死の森 2

 死の森の浅いところでずっと戦い続け、努力し続けてだいたい1年ほどのときが過ぎた。


 今では、ここらへんにいる魔物は片手でも……いや、無手でもなんとか倒せるようにはなっていたのだ。


 僕は思うよ。


 努力はやっぱり裏切らない!よしっ!


 それを証明するものがこちら。僕は、前と比べてとんでもないくらい成長していたのだ。


名前…カエデ

性別…男子 年齢…12歳

職業…村人

レベル…63

攻撃…193

防御…121

俊敏…201

器用…172

魔力…63

スキル【農業】【限界突破】



「それにしても……こんなに力を持っている村人なんて初めてじゃないか?初めてか……なんか、うれしい……!」


 それに、このステータスとは別に、僕が自力で手に入れたものもあるしな。


 そして、スキルとは別に新しく手に入れることができた技がこれだ。


 【縮地】【気功剣】【気功砲】【バーサーク(狂化)】【肉体強化】【肉体活性】【生活魔法】【気配遮断】【同時複数使用】


 この1年の間……といっても体感は10年間くらいだが、父さんと戦ったりして修行していたときよりも断然成長することができていた。やっぱり、『死の森』ってすごいところなんだなって……実感できる。


 ちなみに、体感のことはまたいつか説明することとしよう。


 気功砲は、無手でも……そして、離れていても敵に立ち向かえるように気功剣をちょっと応用した技だ。


 元があるからか、習得しようと思って3ヶ月もかからないくらいでできた。


 肉体強化と肉体活性は、バーサーク(狂化)を、頭痛を伴うことなく身体能力をあげようとした結果こうなった。


 肉体強化と肉体活性の違いがあんまり分からなかったのだけど、使っていくうちにわかってきた。


 肉体強化は、攻撃、防御、俊敏、器用、魔力を上げるものらしい。


 そして、肉体活性はそれだけではなくて、さらにすべての数値……つまり、能力が上がるものなのらしい。


 だから、ヒットポイントまで増えるということなので、死にたくないし保険ということで、よく肉体活性の方を使っている。


 バーサーク(狂化)よりは劣ってしまうが、毎回頭痛になるなんてことがなくなったので、よく使う。


 生活魔法も、ここで生活していくうちに覚えることができた。生活魔法のおかげで火をつけたり、風を起こしてその火を強くしたり、飲み物がほしいときは水を出せたりと、すごい便利だ。


 今思えば、村人の農業以外のスキルはこの生活魔法の1つだったなって思い、僕は村人のスキルをほとんど使えるということに喜びを隠せなかった。


 たかが村人、されど村人だ。


 そして、気配遮断も便利。相手に僕の存在がバレにくくなるからな。



それに、同時複数使用はすごい良い。同時に複数の技を使ったりすることができたり、技を重複して使うことでさらに強化できるからね。


 ……よしっ技の整理もできたことだし、もう、ここではあんまり経験値も期待できなくなってきたし……奥の方に行ってみようかな。


 それにしても…ここに……『死の森』に浅いところとはいえ1年間も滞在した人って、いないだろうな。


「……ふぅ。じゃあ……」


 そろそろ『死の森』の奥の方へ行きますか!


 

 テントなどの全ての用意をまとめると、僕は『死の森』の奥の方へ歩いていった。


 そして、あるき続けて何分かすると、ふと雰囲気が一気に変わった。


 『死の森』にずっといたせいか、敵意や危機が迫っているときに感じることができたその『何か』が、今の僕には感じられた。やばい……。


 さっきの『死の森』との違いは……アリとゾウくらいの差。少しなめていたきがする……。


「なんだ……?……もしかして、奥の方に入ったのか……。」


ガサッ……ガサッ……


 なにか……いる!


 奥の方に入ってから始めての戦闘か。勇者パーティくらいしか戻れないって本にかいてあったから、ここではあんまり戦いたくないけど……。


 でも、戦うしかないよな…。


「《縮地》」


 そして、僕はまだ見ぬ敵に向かって、敵意を隠しながら、後ろに回って敵を確認しようとするのであった。






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