第6話 幼少期 最終

「……寝ちゃっていたのか……。」


 僕は、身体を起こすと、目をこすりながら周りを見渡してみる。そこは、いつも目を覚ます場所とは違い、森だった。


「よいしょっ……と。森で気絶していたのに、よく襲われなかったな……。幸運…なのかな……?」


 そうだ。昨日、いろいろとあったな……。父さんと母さんは、もうこの世界にはいないんだよね。


 やっぱり時間が経って頭が冷えていても、絶対に、ラファエルを殺したいって思っているし、やっぱり復讐はしよう。


「とりあえず、確認してみるか。僕のステータスを。昨日、すごいやり過ぎちゃった気がするし……。」


 ……ふぅ。


「《ステータスオープン》」



名前…カエデ

性別…男子 年齢…12歳

職業…村人

レベル…28

攻撃…64

防御…45

俊敏…58

器用…63

魔力…28

スキル【農業】【限界突破】



「…………へ?」


 な、なんだ……?このステータス。普通は村人って成長限界はレベル10じゃなかったのか?


 そして……。一番気になるのは、この2つ目のスキルのことだよ。なんで、この【成長限界】というスキルを村人が持つことができるんだよ……!?


 【成長限界】っていうのは……あの僕の家にあるおとぎ話で書いてあったんだよ!?勇者と魔王、そして神様しか持つことのできない、最強のスキル。


 そして、そのスキルというものは、どこまでも成長できるという……努力さえすれば、何よりも強くなるということができる……あの……。


「ランダムで1つのスキルが獲得できるとはいえ……まさか、こんなスキルまで獲得できるなんてね。」


 これなら、努力次第でラファエルを倒すことができる、僕が望むすごいいいスキルじゃないか。


「でも……強くなってくるに連れ、ここでは上がりにくくなってくるよね。どうしようかな……。」


 うーん……。そういえば、母さんが読み聞かせてくれた本の中ではなかったんだけど、おいていた難しそうな本の中に、『死の森』というのがあったような……?


 その『死の森』には、地竜と呼ばれる翼のない竜や、ヒドラという6、または7つの頭があり、毒を吐く蛇など、凶暴な魔物がそこにはたくさん集まっているらしい。


 そして、それはここから西のところにあると呼ばれている。


「まぁ、行ってみるか。でも、『死の森』っていうのは普通にレベルの高い人でもきついって書いていたんだよな……。」


 それなら……まだ、ちょっと鍛えてからそっちの方に向かうかな。


「それに、ちょっと、この力を確認してみたいし……。えーっと、あのグリズリーで確認してみようかな?」


「グァァアアア!」


「《縮地》《気功剣》」


 すると、すごい今までと差があったことが目に見えてわかった。


《縮地》については、スピードが尋常じゃないくらいに速くなっていたのだ。


 それに、《気功剣》についても、切れ味が今までと比べ物にならなくて、グリズリーが真っ二つに切れていた。


「《ステータスオープン》……やっぱりレベルが上がりにくくなっているんだな。」 


 まぁ、グリズリーを一体討伐して、レベルが上がらないというのなら、何体でも倒してしまうまでだな。


 その後、何体かグリズリーや、ラビットを討伐して、レベルが30に上がると、僕は『死の森』に挑戦する決意を決めた。


「……ふぅ。」


 『死の森』……か。怖いな。『死の森』の名がつけられたという理由は、そのままの意味らしい。


 それは……そこに入っていった人達は、ほとんどの人が帰ってこないという。ちなみに、帰ってこれたのは勇者パーティの、勇者、賢者、聖女、剣聖のみだということらしい。


「緊張するな……。もう少し……いや、ここで臆病になっていたら、一生ラファエルを殺すことをできない。」


 絶対に……。そのためには……『死の森』で強くならないといけないじゃないか。


 そして、僕はこの村を出て『死の森』というところに行った。


 父さんと母さんのところへ行きたいという気持ちはある。でも、せめて……そっちへ行くには、殺したやつに……ラファエルに復讐するまでは、死なない。


 なにがあっても。


 どんなことに巻き込まれたって。










 僕は……………………!


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