第4話 幼少期 4

 村人の良いところ。それは、2つある。まぁ、かんたんに言えば1つなのだけれど。


 まず、1つ目は、レベルが他の職業よりも断然上がりやすいということだ。


 家にある本のなにかで見たことがあるのだが、レベルを効率よく上げるには、自分の力より強い魔物を倒すと断然いいらしい。


 つまり、弱い職業である村人にとっては、どんなまものでも、スライム以外ならレベルが上がりやすいということなのだ。


 そして、2つ目は2個目のスキルを習得するまでの時間が、積極的な村人であれば短くて済むようになる。


 これは、1つ目のものとまぁまぁつながっている。だから、かんたんに言えば1つなのだけれど……というわけだ。


 村人は、レベルが他の職業よりも上がりやすいということは分かっている。そして、それを村人は10レベル上げるだけでいい。


 ……つまり、簡単にスキルを習得できるということだ。


 それが正しいということは、今立証することができた。普通は、僕より弱い魔物を何十体も倒さないと1つレベルが上がらない。


 でも、僕より強い魔物だと、どんなに他の人にとって弱かろうが、まったくもって関係ない。


 ……今思うと何だけど、自分より強いやつを倒すのはすごい苦労するんだけれどね。


 これならすぐにもう1つのスキルをレベル上げて簡単に習得できる!


「もう一体くらいでも、ラビットはいないかな?」


 ガサガサ…ガサガサ…。


 おっ、なにかいるのか?……よしっ、今度はグリズリーとかではなくちゃんとラビットだ。


「……キュ……。」


「……ふぅ。よしっ……。」


 僕は、ラビットに直線で向かって攻撃しようとしてもこの基礎能力じゃあ無理だよね……。


 それなら……!


「……《縮地》」


 ラビットに気づかれないように背後に移動して不意打ちすれば、なんとかなるはず!


「《気功剣》!」


「キュキュッ!!」


 「《気功剣》!」「《気功剣》!」「《気功剣》!」


 ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…。


「やった……。今度は完全に僕だけがラビットを討伐したよね。やっぱり、僕でもラビットくらい倒せるんだ。」


 そして、その後もラビットをもう一度同じ方法で討伐して家に戻った。


 そして、僕は晩ごはんを食べて、寝た。


「うぅー……。」


 目が覚めると、少しいつもよりなんだか眠かったので、少しでも早くこの眠さみたいなものをなくしたかったので目をこすった。


「……まだ帰ってこないのかな?もしかして、スタンピードによる災害とか、予想以上に大きかったとか?」


 まぁ、いいか。でも……死んでいたりなんてしないよね。


 僕は、少し不安になりながらも朝ごはんを食べて、森へ向かった。


「よしっ、今日とラビット討伐しますか。まぁ、本当はラビットだけでなくてゴブリンとかコボルトとかも戦いたいんだけどね。」


 この寂しさみたいなものを思いっきりラビットにぶつけてみようっと!


 そして、昼ごはんを食べるのも忘れてラビットを狩りまくった。


 ちょっとずつだけど、成長できるっていう実感を毎回ラビットを討伐するたびにおもえるからだ。


 僕は村人だ、でも、きちんとみんなと同じように成長できるんだ。


 今回は、1日をずっとラビット討伐に使ったからか、それとも、僕の力が成長して強くなったからか、なんと8匹も討伐することができた。


 そして、家に帰ると晩ごはんを保温の魔石を使っていたから、いつものように温かかった。


「今はどれくらい強くなっているかな。」


 ごはんを食べながら確認する。いつもなら、こんなとき注意されるのだろうが、今は誰もいないので何も言われない。


 少し、寂しいな……。


「《ステータスオープン》」



名前…カエデ

性別…男子 年齢…12歳

職業…村人

レベル…7

攻撃…18

防御…12

俊敏…15

器用…14

魔力…7

スキル【農業】


「よしよしっ。どんどん上がっていっているよ。やっぱり修行だけでなく魔物討伐っていうのも大事だな。」


 まぁ……命の危険があるのは、断然修行とかじゃなくて魔物討伐ではあるんだけど。


 その後、なにもすることもないし晩ごはんをゆっくり食べていった。食べ終えると、洗浄の魔石で手を洗ったり食器を洗ったり、あと、口の中を洗ったりした。


 そして、僕は眠りについた。


 父さんと母さんが、無事であることを祈りながら。


 布団の中で手を合わせて。


 少し……身体を不安で震わせながら。

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