第8話  うさんくさい?

届いた本をさっそく読んでみる。


失礼だか、はっきり言って、眉をしかめてしまうような内容かと思われる。

一読目は、斜め読みに近いものではあるが。。


憑依霊?除霊?

これが、精神科医の本?


しかし、この医師自身は、霊の存在を確認出来ないけれども、精神、心の問題を解くには、霊の存在を否定出来ないと。

また、催眠術みたいなのをかけて、潜在意識を呼び起こすのか?

本を読むだけでは、掴む事が出来ない実体。


たぶん、この本を手にしても、多くの人からは、反感を買うだろう。うさんくさい感じさえある。

総合病院で精神科医を長年された医師が、いいのか?とまで、思ってしまった。



精神科で、霊の存在の話など、ご法度だと思っていた。まさに、下手をしたら精神病院送りだ。



うーん…少し心が動く。


いまさらだか、隠してきたことがある。





私の方が、うさんくさいかもしれないが、、、


私は、霊が見える。

幼い頃から見えている。

長い間、憑依されてきたこともある。

でも、そんな事を真面目な顔で、誰に言えるだろう。


私に見えるのは、恐怖を感じる霊ではない。この世に未練を残したまま、悲しみを抱えている人たちだ。

半透明な彼らは、皆、寂しげな表情をしている。

見えた瞬間は、あったかい優しい気持ちになる。

ここ数年の話しだけでも、記しておく。



ある時は、同僚の息子さんだ。自ら命を絶ったものの、お父さんである私の同僚の事を気にかけて、ずっと傍でお父さんを見守っている。

私は、その息子さんに会ったことは無いので、知っている人に、その特徴を話したところ一致した。

その事は、同僚には話せない。悲しみが深くなりそうで。


また、交通事故で亡くなった近所の高校生の男の子。道端の木の陰に荷物があり、そこから離れられずにいた。その日は、高校生のお葬式の日だった。

私は、その高校生に、今日は、貴方のお葬式だから、お家に帰ろうと話し、荷物を届けた。家族が、号泣された。


また、ちょうど一年前に交通事故で亡くなった若い女性。地縛霊かと思っていたが、ずっと私の運転する車の、後ろの窓から離れずについてきた。

夜だったが、まるで信号機の青信号のような緑色の発光体となり、姿を浮かび上がらせている。

彼女は、自分が亡くなったことを理解出来ずにいるようだった。とても、悲しそうにしている。

彼女を知る人に、その女性の似顔絵を描いて見せた。彼女である事が判明した。

しかし、困ったことに、ずっと、私の中に居た。

貴女の事を、私にはどうする事も出来ないと説得してみたが、私から出ることはなかった。

なんとなく、心が沈む日々。


東日本大震災から数年。3.11に鎮魂の祈りを捧げていた。しかし、その年は、うるう年。霊が、地を覆う。3.10に。悲しみが増す。

また、海岸線の道を走ると、たくさんの人たちが車の周りにへばりついてくる。仕方なく車を降りる時には、塩で浄めるため、車には塩の袋を常備してある。


こんな事を誰が、信じるのか?

先生には、話しても大丈夫なのか?



そして、最大の憑依の存在なのであろうか…

交代人格なのであろうか…

わからない。


信じてもらえないかも知れないが、、、



私自身が、身体の持ち主である聡子が小五の時に、目の前に現れた双子の姉のヨウコなのだから。


それからずっと、聡子と私ヨウコは、二人三脚で生きてきた。


当たり前のように感じていた。

だから、交代しながら二人の人格が対応して生きてきたことは、自然な事に感じる。

内弁慶、外弁慶ぐらいのつもりで。


まあ、実際には、小五の時から、私が別人のようになったと、よく言われたが。


以前の私の話、以後の話は、日を改めて聞いて欲しい。


このバランスが、先生に会う事で、崩れてしまうことに、とても恐怖を感じる。

私たちは、どうなってしまうのだろうか。


それでも、今は、私たち以外に、記憶にない、見えない存在が居ることは、不安でしかないので、この先生の治療を受けてみることにし、予約を取った。



後日、カウンセラーの林さんに報告する。

紹介された先生の書籍を購入して読み、納得出来たので、受診予約も入れたと。大変に驚かれていた。

私の行動力がありすぎだと。


林さん、どうかこの行動力からだけでも、私がうつ状態ではないと理解してもらいたい。私は、至って正常に生活出来ている。ふたりになって40年以上もの間。

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