5:02-5:15

 山間から旭光が覗く。

 草叢に、陽の光が一斉に走る。

 まばゆい朝陽がその姿を現した。

 焼き焦げていたはずの草叢は、どこにも見当たらなかった。


 見上げる空に、あの細い月はもういない。

 離れ始めた金星も、朝の空に溶けてどこにも見えない。

 私は、夢から醒めたような心地で、緩やかに高く昇り始める陽光を眺めていた。

 私の目に、その円環が焼き付く。

 眼の奥に痛みが走る。

 円環の縁が、黒く揺らめいて揺蕩っている。

 そろそろ限界に達し、目を閉じて、まぶた裏から光源を感じ取った。

 まぶた裏の世界では、真白く赤い円環が、私の目玉の動きに合わせていつまでも揺れ動いていた。


 草の擦れる音がする。

 私は、一人。

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