08/13
19:09-19:19
天気雨が陽光を失い、狐の嫁入りが霧散する。
雷に怯える街並みは、落ち着いた雨の気配に胸を撫で下ろし、いつもの調子を取り戻す。
今日もこのまま、宵は曇り。
去り際の流れ星は拝めない。
昨日、流れ星を見せてくれたあのひとは。
あのひとこそが、月齢二.七五なのだろうと思い耽る。
何故、私の前に現れたのだろう。
光の前には、現れなかったのか。
何にせよ、今度は話を聞かなくては。
今夜も会えるだろうか。
いや、こんな曇り空では、会えないような気がしている。
そうしてもう一度、窓の外に視線を放ると、夕焼けのオレンジ色が窓いっぱいに広がって、やがて、しんと消え失せた。
光はどこへ行ったのだろう。
叔父の店へ逃げていた時よりずっと、あの広野を訪れる機会が減ってしまったから、単にすれ違っているだけかもしれない。
もし会えたら、伝えなくては。
貴方の探し人を見つけたこと。
貴方の片割れと対面したこと。
でもどうして、あのひとは私の前に現れたのだろう。
私はひとつ、思い当たる。
聞いてみなくては。
あの、月光冠を纏うあのひとに。
夜中はどうか晴れますように。
夜に、月が見えますよう。
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