08/02

20:36-20:49

 草叢に、強い輝きが留まっている。

 無い四肢に闇が腕を伸ばし、光を大地に縛り付けている。

 浮こうにも浮けず、光は天を仰いだが、空には夜明かりは無く、無情な星々が煌めいているのみ。


 光は嘆く。

 うら若く、澄み、嗄れた声で絞り出す。

 お前さん。

 お前さんが居ない。

 お前さんに会いたい。


 お前さんに会えぬ儂はまた、何時ぞやの夢魔を繰り返す。

 独りは嫌。

 独りは嫌だ。

 儂は、斯様なことなど望んではない。

 此の空に夜明かりは無い。

 夜明かりが在れば。

 お前さんと、再び相見えることが出来ようか。


 光はその場にうずくまり、両手を合わせて祈る。

 重ねるひらとひらの間に、光芒が一筋射す。

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