6. 水族館

 真っ暗なトンネルを進むと、青い青い世界が広がっていた。

 一面の水槽。

 奥行きも幅も、私にはよく分からない。

 とにかく大きな水槽が目の前にはあった。


 水槽には大小様々な魚が、私のことなんて気にも留めずに泳いでいる。

 気持ち良さそう。

 私は水槽に手を伸ばした。

 冷たくて平らな感触。

 もちろん手を伸ばしたところで、魚たちの世界には届かない。


 ゆっくりと影がさしたかと思うと、大きな鯨が横切った。美しいものだと思う。

 鯨の目はなんだか優しい。

 お母さんみたいだと思う。


 青い青い世界。

 そんな世界に一人きりで放り出された私は、とても穏やかだ。

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