第7話◇風に揺れる

お月見したいね


出来るかな?


お団子を三方に盛ったよ


すすきけたよ


里芋も?


そう!おいもさんも三方に盛ってね


パタパタパタパタ


縁側に運ぶ


縁側の雨戸が二枚開けてある


そこから見える屋外灯にはヒラヒラと蛾が集まっている


お月さま、隠れてる


残念、雲に隠れてる



薄暗い雲に隠れてもその向こうに月明かり


天空のどこに月があるのかわかる


重なりあった雲の層


月明かりで白い遠い雲


その手前に薄く黒い雲


黒い雲の動きが速く、雲の形が次々変わる


ゆっくり動く白い雲は大きな塊


ゆっくりゆっくり移動していく




開いた雨戸の間から月明かり


お月様見えた!


お月見!


お月様が三方を照らす


今年もたくさん採れました


薄が風に揺れる


天高くにある雲さえ動かす風


暑かった夏の日差しを遮る雨雲を運ぶ


今夜はそれさえ吹き流す


中秋の名月、芋名月


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