第8話◇風味

 ザワザワザワと竹やぶが騒ぐ


 真っ青な竹


 切り倒した青竹の細い枝をなたで落とすと聞こえてくる


『竿屋~、青竹!』


 青竹の竿


 使い込んでいくと節がなめらかになる


 表面は緑から黄色に変化する


 時には乾きすぎてヒビが入る


 元青竹の竿


 乾くと叩いた音も重さも軽くなる



 ザワザワザワ~と竹やぶが歌う


 落ちた笹の葉が降り積もり


 朽ちて地面を覆います


 足のうらにコツン


 固いものがある


 朽ちた笹の葉をかき分ける


 焦げ茶色のとんがりぼうし


 先端には緑のツンツン


 タケノコ発見!


 専用のくわは細長い


 タケノコの回りを掘り起こす


 狙いは首をかしげた内側の下の方


 ガツンッ、グイッ


 採れた!



 グラグラグラ


 お米のとぎ汁でアク抜き中


 焦げ茶色の皮を剥いて切り込み入れた


 グラグラグラ


 アク抜き完了!冷水に直行!


 食べやすい大きさに切って出汁で煮る


 山椒の葉を採りに


 竹やぶへ行ったり来たり


 山椒の葉はみじん切り


 甘味噌も準備完了


 お皿に盛って山椒の葉をそのまま添える


 それではみなさんご一緒に


 いただきます!


 甘味噌とみじん切りにした山椒を乗せて


 パクリ!


 山椒の風味が甘味噌の甘味と一緒に口の中いっぱいに広がる


 窓の向こう


 ザワザワザワと竹やぶも喜んでいる



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おやっ、風が吹いた 金色の麦畑 @CHOROMATSU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ