初夏


風鈴の音色がそよ風に煽られ空に舞う


それと同時に夏の始まりを告げる蝉の声はシンと、何処か知らないところへ消えていった


束の間の休息、ひと時の静寂、超静止的空間、


時計の針の行く先に指を置き、「このままでいたい」と夏に願う


じくじくと震える日陰の中、夏の女神の吐息が私に生を与える


嗚呼、日差しよ、熱よ、太陽よ、


私をこれ以上どうしようというのか、


母から貰った麦わら帽子の隙間からは無慈悲にも光の矢が漏れている


滴る汗と甘い氷菓は私のシャツにシミとなり、今再び夏が動き出す


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩集「ツキアカリ」 四ノ宮雪子 @yukiko_snowman

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ