露天


ザザーッ


子供っぽい擬音と共に大して温かくない湯船に身を染める


そのくせ、程よく染まってしまうからなんだかちょっと癪に障る


私が座るとちょうど鎖骨らへんまでお湯が来るので、


私の肩には冷を帯びた新鮮な空気がこれ見よがしに撫でて去っていく


外の室外機の音がほんほんとした大海原に残る


湯気の中、はーっと外に向かって息を吐けばもやもやと冬が出る


気づかずにだんだんと年老いていく私の足の指


私は大きなため息と、ついでに溜まりきった邪悪な気を大っぴらかに解き放つ


私という屋根を突き抜け夜空を駆け抜け地球の外へ、


大きく大きく広がる邪悪な気は今日も明日も明後日も、地球人みんなの風呂仲間だ

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