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お風呂から上がった後は浴衣姿になり、


「おっ、卓球台あるじゃん! エキサイティンしようぜ!」「えーカサネまた汗かきたくないんだけど」「また風呂入りゃあいいだろ! ほらラケット。負けた方が乳揉みな!」「カサネにメリットないよ!?」「別に僕のを揉んでもいいし何ならチンコ揉んでもいいから!」「揉まないよ!?」


――、――


「くそっ、僕が負けるなんて!」「ツルちゃん球技てんでダメだよね……」「別の揺れる二つの球体を目で追ってたからね」「おっさんみたいなセクハラやめて! で、でもまぁ、これでバツゲームは」「さぁて約束通り、『負けた方が乳揉み』をさせて貰うか(ワキワキ)」「騙された!」


そんな感じに卓球で盛り上がったり……


「わーい! 最新ゲームからレトロゲーまで一杯だぁ! さぁてじゃんけんゲーか脱衣麻雀ゲーやるか」「どんな地味なチョイスだよ……」「うーん浴衣ごしのおっぱいが一番揺れるのはどのゲームだろう」「その欲望を隠しもしない生き方やめろ」『私のパンチを受けてみろ!』「むっ! この声は……名作パンチングマシーンソニックブラストマンだ!」「あ? ああ。取り込んだ顔画像をボコボコにするゲームか」「(カシャ)さぁ僕を殴れイナリ! ふふ、でも君の事だ、躊躇して殴る事なんて」『ドゴォ!! 999!!』「ああ! カンストさせやがった! 僕の顔がえらい事に!」


そんな感じにゲームコーナーで遊んだり……


「おっ、雀卓あるじゃん! ゲーセンで出来なかった脱マーするぜ!」「何故いつも脱がせたがるのですか」「あそこで暇そうにしてるユエちゃんとツムグを面子に加えよう! しかし実質は僕とモガミの一騎打ち! 縁を読めるつまりは未来を読める僕の力VS心を読めるモガミの力の異能対決だ!」「何故そんなに元気が有り余ってるんですか」


――、

 ――


「はいツモです」「はーいそれローン」「はいロンね」「僕が……勝てない……だと!? ドンジャラじゃ無双な僕が!? ぅぅ靴下は、靴下だけは勘弁してくだせぇ!」「なぜ既に全裸なのに靴下だけ死守を……」


そんな感じに脱衣麻雀で盛り上がったりして……


「よーし皆布団に入ったな! 電気消した後は恋バナするぞ恋バナ! 枕投げ? 疲れるからキャンセルだ!」

「うるせぇ今何時だと思ってんだもう寝させろ!」


場所は変わって、最初に荷物を置いた宿の寝室にて皆で寝る事になったは良いが、なんか全員ノリが悪い。


「えー、そんなに夜弱かったっけイナリ? まだ深夜の一時前じゃん? 僕なんてオール出来る自信あるぜっ。寝るなんて休み明けも出来るだろっ」

「今日一日お前に振り回されて皆疲れてんだよ……頼むからもう黙って寝てくれ」

「恋バナしてぇんだよぉ! 僕を好きになった瞬間とか好きな部分をネットリ聞きテェンダヨォ!」

「次喋ったら追い出すからな。てかなんで女だらけの部屋に当然のように居るんだよ」

「よしっ、じゃあ最後に一言。――絶対夜這いするからパンツは脱いどけよお前ら」


直後に部屋から追い出されたが、ゾンビのような執念で何度も這い戻り、結局はイナリを諦めさせる事に成功。流石にそれからは空気を読んで黙っていたが。


「……、……」

部屋を淡く照らす常夜灯のオレンジをぼーっと眺める僕。規則的に聞こえて来る寝息。

こいつら、よく呑気に寝てられるな、こんな『いわく付きの島』で。まぁそのいわくを『憶えてない』んだから当たり前で。

そして当然の事だが。僕が目が冴えている理由は島のそのいわくとは全く関係無い。なんならさっきまで忘れてたくらい。今はただ高揚感が漲っているだけの話。


「八年、ね」


誰も聞こえてないであろう小さな呟き。あれから、それだけの時間が経っているのだ。僕が『彼女と会えなくなってから』。短くもあり、長くも感じた年月。ポッカリ抜けた穴は、今は他の女の子で埋められている、と思う。

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