3.係をする目的 ~必要なさそうな係もなぜあるのか~

 係がなければ学校生活が成り立たない、ということはまずありません。むしろ、仕事を無理やり作っているのではないということも多いです。

 私も、中学の時、学習係という係で国語の先生にわざわざ明日の授業に持ってくるものは何ですかって聞きにいかなければならず、面倒でした。「前の授業終わった時に言うのに、なぜまた聞きに行く必要がある」と思っていました。


 係を何のためにするのか、国の方針「学習指導要領」には、こう書かれています。


 清掃などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働することの意義を理解し,社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動すること。

(引用:『小学校学習指導要領』※)


 つまり、集団の中での自分の仕事を理解して、仕事をきちんとするという役割を果たすことが目的です。

 どんな仕事をするかではなく、役割を果たせるかが大切ということです。

それを全員に学ばせるため、全員分の仕事を作る。人数が多いクラスでも、人を余らせないようにと、無理やり仕事をつくる場合もあります。

(もちろん、全員が常に役割がないとダメという決まりはないです。実は仕事を無理に作らなくても、目的を達成することは可能なのです。)


 そもそも、クラスの子どもがしなければ学校が成り立たなくなる、勉強ができなくなるような仕事などあまりありません。

 黒板は先生が消してもそんなに時間はかからない、電気もつけられる、花びんもなくてもよい、学級新聞もなくてもよい、掲示物も貼らなくてもいい。

絶対必要なものではないから、学校やクラスによって仕事が違うのです。


 しかし、集団の中で役割を果たすこと以上に、係というものが好きな先生、係を重視する先生が多いのも事実です。それはなぜでしょうか。


(4.係はクラスを楽しくすることが目的? につづく)



【参考文献】

◆文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)』


※第6章 特別活動 2内容 (3)一人一人のキャリア形成と自己実現 イ 社会参画意識の醸成や働くことの意義の理解より

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