第17話 バイト就職祝い

「デートはどうでした.....?」


帰って来るなり直ぐに.....怖い感じで沙穂に詰め寄られた。

俺は顔を引き攣らせながら.....迫られながら沙穂に解説する。

勿論、下半身を触られそうになった未遂は言うまいが.....。

未成年には刺激が強すぎるしな。

俺は頬を掻く。


「と、取り敢えずは何も無かったよ。ただ.....龍野さんは俺を気になっている人、と言った。それは包み隠さずにお前に話す」


「.....え.....それってまさか.....」


「そのまさか、だろうな。俺としては.....衝撃だが。でも俺は相変わらずだ」


えっと.....えっと!

あんなグラマナスな人に.....詰め寄られたら.....小五郎さんは.....!

と目の中をぐるぐる回転させる沙穂。


俺は溜息を吐きながら.....沙穂に向いた。

釘は刺した、これで良いと思う。

それはそうと.....沙穂はどうなのだ?


「.....お前、バイト面接とかはどうなった?」


「.....あ、そうですね。.....えっと、近所のコンビニバイトオーケーでした」


「.....そうか」


でも.....なぁ。

コンビニバイトか.....。

相当にキツイと聞いた事が有るんだが.....大丈夫だろうか。


俺はやった事が無いから分からないけど。

思いながら.....沙穂に向く。

沙穂は俺の上着をハンガーに掛けていた。

そんな沙穂に言う。


「.....沙穂。マジに無理はするなよ」


「.....はい。全然大丈夫です。言いつけは守ります」


「.....そうか」


それはそうと.....お祝いをしないといけないな。

と俺は言葉を発する。

沙穂は、え?お祝いですか?、と目をパチクリした。

だってそうだろ。

せっかくアルバイト先が決まったんだからな。


「.....外に何か食いに行くか?」


「お金が勿体無いです。だから家で.....やって下さい」


「.....そう言うと思った。じゃあ俺が何かを作るよ」


「え?小五郎さんって料理出来るんですか?」


何を、失礼だな。

沙穂が来る前、俺は一人暮らしだったんだぞずっと。

それぐらい出来るわ。

考えながら、取り敢えず、と赤飯を作る事にした。

祝事って赤飯だよな。


「で、でもやっぱり私も.....」


「.....分かった。手伝ってくれ。えっとな、餅米とか.....」


そうして餅米とか小豆とか用意して。

沙穂も手伝う中、赤飯を作り始めた頃。

インターフォンが鳴った。

俺はビクッとする。

そしてインターフォンの方を見るが.....次の声に安心した。


「皆野です」


「ああお前か.....」


「うん。開けて」


「.....分かった」


そして玄関を開けると。

何か大きな荷物で色々持った、皆野が立っていた。

俺は驚きながら手伝う。

有難うと言いながら皆野が入って来た。


「.....これ。食事に困っているかと思って持って来たよ」


「.....ああ.....えっと、食材か?.....すまん。金、払おうか」


「.....要らない。だけどその、お願いが有るんだ」


「.....え?お願い?」


うん、と皆野は俺を見てくる。

そして.....赤面した。

何だよ一体.....?

と思っていると皆野はこうモジモジしながら言った。


「私とデートして。そして沙穂ちゃんとデートしてくれないかな」


「.....お前はそれ.....マジに言ってんの?」


「.....うん。マジに。だって.....龍野さんとデートしたんだよね?だったら良いよね」


「.....」


マジかコイツ.....。

いや.....確かにそうは思ったけど.....。

思いながら盛大に溜息を吐いた。

そして皆野を見つめる。


「.....分かった。取引だな」


「.....だね。やった」


だがそんな会話を聞いていた沙穂が赤面で慌てる。

そしてモジモジした。

それから言葉をゆっくり発する。


「み、皆野さん!私と小五郎さんがデートって.....」


「だって不公平でしょ?沙穂ちゃんも小五郎くんの事が好きなんだから。当たり前だよね」


「.....で、でも.....」


「こういうのは素直に聞くのが一番だよ。沙穂ちゃん」


そして皆野は沙穂の頭をポンポンした。

いやー.....マジか。

しかし姉妹の様に見えるなこうして見ると。


そうして居ると。

皆野が、それはそうと何か作ってたの?、と言ってきた。

俺は炊飯器を見て答える。


「.....ああ。赤飯作ってた」


「.....え?何か祝事?」


「.....沙穂のバイト先決定の祝いだ」


「.....あー。成る程。それは祝わないとね」


皆野はニコッとしながら缶ビールを出した。

そして冷蔵庫を勝手に開け、勝手にグラスを出す.....オイオイ。

ここはお前の自室かよ!

ツッコミを入れながら皆野を見る。


「良いじゃ無いか、小五郎くん。ケチケチしない」


「.....お前な.....ここはお前の部屋じゃねーよ.....」


「ハッハッハ」


それにしても酒が好きだなコイツ.....。

思いながら沙穂を見る。

沙穂はクスクスと笑っていた。

楽しそうだ。


「.....沙穂。楽しいか」


「.....とっても楽しいです。幸せです」


「.....そうか」


俺は苦笑しながら赤飯の様子を見る。

炊飯器で作っている。

あとは蒸らすだけ.....だな。

思いながら皆野を見る。


「お前も食うか?」


「私は論外にするつもりだったの?それって意地悪いね」


「そういうつもりじゃ無いんだが.....」


「じゃあ赤飯は食べるに決まっているよね。あはは。食材を沢山、買って来たんだし」


そうっすか。

全く.....と思いながら炊飯器を見る。

そして外を見た。

三日月が有る。

そうしていると沙穂が聞いてきた。


「.....小五郎さんって外を見るのが好きですよね。何でですか?」


「ああ.....えっとな。昔から外を見ると落ち着くんだよ。それでな」


「.....それでですか。それってロマンチックですね」


「.....そうかな。そうは思わんが」


でも皆んなのお陰だな。

こんなに空を見上げるのが楽しいのは。

考えながら.....炊飯器を見る。

あと少しで完成だな。


「.....皆野。すまないが配膳とかを手伝ってくれ」


「はーい」


そして赤飯と。

他に天ぷらなどを作った。

それからちゃぶ台に並べて.....そのまま宴会が始まる。


皆野曰く宴会だね、と。

いや、宴会じゃねーんだが.....。

全くコイツという.....。


「.....小五郎さん。何だか嬉しそうですね」


「.....ハハ。確かにな」


嫌な感じはしない。

そして俺達はちゃぶ台の前に座る。

それから乾杯をしてから.....。

話し始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

甘い薫りの家 〜俺の家で女子高生が一緒に住む事になった〜 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ