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 腐葉土の香りがしたのは、商業施設の跡地から。ショベルカーが土の上に、残骸と一緒に乗っている。力点は太陽よりも鮮やかで、星の物語より正確な運航では、月から離れた場所でしか語り出せないのだろう。だから腐葉土の香りがした。

 朝焼けを拒む廃墟跡のツタに、風の形が波を作る。ドロリとした月の光を、波間の泡が閉じてしまう。時間が広くなるほど、跡地の残りは狭くなる。空へと還る潜水艦の色は、上下に分かれて外気圏に溶けてしまった。


 星々の痛みは涙になって、日の出の向こうへ消えていった。潜水艦の行方は分からない。煤焼けた鉄筋コンクリートは、埋立地へ沈められた。

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