第29話【音が奏でる剣と絆の戦い】

「クソ……何故だ! 何故世界は明るさを取り戻すんだ! これが……全知全能の神の力……」

ルーヴィヒは変わりゆく世界を見つめていた

空からは光が漏れ大量にある時計も崩れて落ちている

「これは僕の力ではない。ワタやキロル。その他の仲間と共に過ごした絆が奏でる物だ! 絆さえあれば例えどんな暗闇に包まれようが決して挫けることはないんだ! 」

ヨルナミは叫ぶ。神眼はその想いを検知し七色に輝く。「世界の光と雷を宿し剣、雷斬よ。力を! 」

すると崩れゆく闇に追い討ちをかけるように空間を破り、ひとつの大きな雷が落ちた

その雷は闇を焼き払い、辺りを焼き尽くし炎は紅焔や山吹色などのヨルナミの基礎となる色が宿っていた

その中心に雷が集まったかのようなひとつの物体が突き刺さっていた

ヨルナミは恐る恐るその物質に近づき引き抜いてみる

するとその物質は剣に交わり付き融合した。その剣を構えてみるととても軽かった。でもどこかに軽い重みを感じてしまう

雷斬という武器はいかなる形にも変形し、槍や剣、鎌にもなったのだ

「おもしろい」

ヨルナミは剣の形にしてルーヴィヒに向かっていく

その一撃は空間を切り裂き切り裂けた空間からは光が漏れる

その空間から不思議な者が出てきた。光に包まれ見覚えのあるシルエットで最初は見えなかった。そのシルエットはヨルナミの方へと走り始めた隣に着いた頃によく見るとワタも一緒に走っていたのだ

これはきっとヨルナミが見ている幻覚に過ぎがワタなのは真実だ

そして聞き覚えのある声で語り掛けてくる

「相棒、しっかりしろよ」とワタの声もしっかりと聴こえ「おう」とヨルナミも応え、2人はルーヴィヒに立ち向かっていく

「1人は所詮幻覚に過ぎぬ。更に葬り去ってくれるわ! 」

ルーヴィヒにも見える程強いエネルギーを持つワタとヨルナミに対し鎌を構え、2人に立ち向かう

ルーヴィヒは攻撃を跳ね返し2人を突き飛ばすと、斬撃波を飛ばそうとするが上手く飛ばなかった

もはや力はほぼ無いのと同じ状態。自分の闇の世界もほぼ終わりかけという状況になり力が弱まっている

世界は雷斬が入ってきた所から徐々に光が漏れ、崩れ始めてきていた

「ナメるな! 」

ルーヴィヒは鎌を振り回しながら2人に攻撃を仕掛ける

「相棒、こっちは任せた」

ワタはそういうと焔を体に宿しルーヴィヒに左から攻撃を仕掛け、ヨルナミは逆に右側から攻撃を仕掛ける

神眼が開いているとはいえ、視力がほぼ無い状態だったからその配慮はとても助かった

2人が同時に追いつけない速度で斬りに行ったので流石に防ぎ切れずダメージを喰らってしまい、体の腕や足を1部切り落とされてしまう

「ぐはぁ……予を殺す気か! 予はお前の父だぞ。親殺しは罪になるぞ? 親殺しの神は天国にも地獄にも行けぬ。お主はその道を選ぶのか? 」

体を再生しながらルーヴィヒは呼びかける

その対しヨルナミは「いいよ。僕は母さんやワタの命を奪った、世界を闇に包もうとして関係の無い人の命を自分の欲の為に奪おうとしたやつが生きてる方が嫌だから」

ヨルナミは雷斬構え、焔を宿す

その雷斬は虹色になり、黄金よりも綺麗な輝きを放っていた

そして、それを鎌の形にしてルーヴィヒに攻撃を仕掛ける 始める

それに反応してルーヴィヒも攻撃を弾き返す。自分の闇の鎌を使い、とても大きく振りかぶるがそれはとても無駄な行為だった

ワタがルーヴィヒの体に入り全体の抑止力となり、体が自由には動かなくなっていた

「なぬ……動けん……なら! 喰らえ! 血の目潰しだ! 」

ルーヴィヒは自分の血をヨルナミに飛ばし、目を血で固め、見えなくする

「勝った! 死ねぇ! 」

ルーヴィヒは折れた鎌を構えヨルナミを思いっ切り斬りに行く

その油断がルーヴィヒの命取だった

ヨルナミは気配を感知し、鎌を跳ね返した

そして雷斬で更なるトドメをかける

その攻撃をモロにくらったルーヴィヒは体がふたつに切り裂けたのだ

「く……このルーヴィヒがァァァァ! ! ! 予は時と闇の神ぞ? なのに……なんでこんなやつに負けるんだ……! ! ! 」

自分が負けた事に怒りがあり、理解するのに時間が掛かってしまっていた

「お前には無かったものがある。それは人と一緒に居ることだ。お母さんを殺し、僕を追い出しあの王子しか居なかったからお前には絆がなかったんだと思う。それに……ワタが最期の魂を使ってお前を抑制したからだ。それに気付かず攻撃したのが敗因だ」

ヨルナミに教えてもらいなんとか理解が出来たルーヴィヒ

「くっ……なら! 貴様まとめてこの予の世界を壊してやる! 」

闇を自分体から膨張をさせ始めた

上半身も下半身もまとめて大きくなる

「貴様諸共この闇の世界を壊してやる! 親子揃って一緒に逝こうではないか! 」

ルーヴィヒの上半身はどんどん膨張をし始め、次第にヨルナミよりも大きくなった

「ふははは! さらばだ! 」

最終的に大爆発をしたルーヴィヒ

辺りの闇も吹き飛ぶ程で空間の終わりも見えた

それに高温も加わり終わりかけの空間に追い討ちをかけるように焼き尽くす

最初は耐えきれていたが余りにも強い勢いのせいでヨルナミも気を失ってしまったのだった

そしてヨルナミはとても不思議な景色を見たのだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る