第28話【神格化】

「ワタァァァァァ! ! !」

ワタはヨルナミに最期の力と自分の短剣、キロルの遺骨の入ったペンダントを渡し、ヨルナミの手の中でゆっくりと永遠の眠りに付いた


この時ヨルナミには仇を撃とういう意思や怒りが湧かない

悲しみという雨のような感情が波のように襲いかかってくる

そさの衝動というものは余りにも大きく、ヨルナミの足はガタツキ止まってしまっている

その隙を突きルーヴィヒは攻撃を止めない。ギリギリ防ぎ切れずに攻撃を喰らい、体は傷だらけ

ヨルナミはもう攻撃の意欲を失い、ワタのところに自分も行くんだと思っていた時、声が聞こえる

ワタの声だった

「ヨルナミ。お前がここで挫けたら世界は終わるんだ。俺の事はいいから自分の事を守れ。大事にしろ! 」

背中をワタに押して貰ったかのような感覚がヨルナミを包み込み、震えてた足は動き始めた

そしてヨルナミはワタに1つ、力を譲って貰ってたことに気が付く

「これは……ワタの焔……? 」

ヨルナミはワタの焔を自身の剣に宿す

「貴様……何故山吹色の焔を使える? 焔は1人1つまで……まさか! 」

ルーヴィヒは少し驚き、慌てながらヨルナミに攻撃をした

ワタの焔は威力こそ低いが剣がとても軽くなり、空気を持った程だった

剣を振り回して攻撃をつつ、走る

斬撃波はとても痛いがあの糸よりはマシだろう。必死に走っていると遂にルーヴィヒの目の前に立てた

「ルーヴィヒ……! お前を倒す! 世界の平和の為に! 」

ヨルナミはギターを一瞬のうちに取り出して、弾いて相手の威力を抑えようとすると何故かギターが紅焔になった

「この木は……そうか。あの木を選んだのは運命だったんだな」

ヨルナミはギターを弾き始めた


お前はここで倒す

世界の平和の為に

この戦いに勝つんだ

絶対に

約束だから


ヨルナミが歌い終わると同時にギターが燃え上がり灰になる

これはもう僕には必要ないのかな……

また、作くろう

ナロルが設計図を作ってくれてよかった……

今までありがとう


ヨルナミはギターに別れを告げるとワタに貰った短剣を持ち、そこに山吹色の焔と紅焔を宿す

「貴様……まさか神にでもなるつもりか! 」

ルーヴィヒは今にも倒れそうにしながらヨルナミにいう

そうか、今なら神にになれるのか

「なら! 自分は神になる道を選ぶ! 例えどんな試練があろうとも挫けない! 」

ヨルナミはふたつの剣を構え光に包まれながらルーヴィヒに近寄る

「ナメるな! 親にかてるわけがないだろう!」

ルーヴィヒはアマダスの鎌を構え、闇を纏いヨルナミの方に向かっていく

光と闇が交わり合い、それは爆発を起こす

ヨルナミは攻撃を防ぎ、ルーヴィヒを斬りに掛かる

その気配を察したルーヴィヒは鎌で攻撃を防ぐが防ぎ切れず、折れてしまう

「折れただと……何故だ……」

アマダスの鎌は普通は折れない素材で出来ている

それを折ったということは相当強い力なのだと言うことだと思った。だが切れ目を見るととても綺麗に半分になっている

つまりヨルナミの焔は絶対に切れるはずのない物を斬ることが出来る

焔の中で1番強いということだ

「だが! これを使えばいいものさ! 」

無くなっていた喉仏を闇という物質で作り、叫べる様になった

「うおおおおぉ! ! !」

時を止めたルーヴィヒはとりあえず一息をつき、ヨルナミを殴る

そして時を動かす為に1つの時計を壊し、時間を動かした

「くっ……時が止まっている……。防がないと……」

ヨルナミが防ごうとしても時を止めてしまえば何も意味がない

何度も何度も殴られてしまいヨルナミは血が流れる

どんどん来る所が分かったが見えない所から来ると防ぎ切れず受けてしまう

やはり、見えないのは……

全くもって対応が出来なくなり、遂には目の眼帯が落ちる

眼帯をしていた目からも血が流れていた

普段は絶対に開かないが何故か今日は目が開く気がした

また時が止まる……

ルーヴィヒが叫ぶ……

もう終わりだと思った何故か瞬間的に目が開いた

「神眼……展開! 」

無意識のうちに言葉が出ていたが神眼を展開すると見えなかったはずの目が見えるようになった

神眼となった目は紅焔に染まる

止めている時を見ることが出来た

いや……動ける……

ヨルナミは止めた時を動き出した

「なぬ……止めた時の中を動けるとは……」

ルーヴィヒは自分しか使えないと思っていた力が他の人に使えると言うことに少しの苛立ちを覚え、闇の力で鎌を一瞬のうちに作った

「ヨルナミ! 予と止めた時の中で1体1だ! 生き伸びた者のみが新たな王となり神となる。神になるなら父を殺すが良い!」

「望むところだ」


ヨルナミは「焔よ……体に宿れ……」

と呟くと今までは出来なかったはずだが宿すことが出来た

世界が虹色に包まれ、辺りには雷撃が降り注ぐ。その中で髪の毛も目も全てが紅焔と山吹色になると思ったら体が何故か虹色に光になり始めた

「これが……僕の焔……」

虹色という全ての色の頂点である色を宿している判定外の事にルーヴィヒは驚き、「まさか……お前は……全知全能の神になってしまったのか……だがやつにはまだ神の武器が来ていない。つまり覚醒はまだしていないということか! この勝負、勝った! 」

ルーヴィヒは謎に価値を確信してしまっていた。闇の鎌を思いっきり構えヨルナミに向かう

だが、ヨルナミからしたら攻撃は遅いカブトムシの様に感じた

向かってくるルーヴィヒを殴ると凄い勢いで飛び、壁に思いっきりぶつかる

「何故だ……神として覚醒していないはずなのに……」

戸惑うのを見てヨルナミはこう言った

「お前の神としての力は無くなりつつ有るんだよ。ほら、鎌も小さくなっているだろ? 」

ルーヴィヒは鎌を見ると確かに小さくなっていることに気が付いた。闇の世界も徐々に小さくなっていくのだった

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