第20話 観察

-今、目の前でプリンを頬張っている人は何を考えているのだろうか。


と、街の一角にあるカフェにてふと思う。


ここ最近の私は鬱々とした気分だ。

原因はわからない。

だからこそどうすればいいのかがわからないのだ。


心の奥底-見えないところであらがってはいるが、いつ均衡が崩れるか分からない‥といった不安に苛まれている。


このような時は、他人ひとのことを考える。

あえて自分ではなく街の雑踏に耳を傾けると、普段とは違う感覚に堕ちることができるのだ。


自身に余裕がない時は余白ができるまでそっとしておく。

だがこれは臭いものに蓋をするという意味ではない。

あえて蓋をずらすことにより、中のものが完璧に出ないように、しかしガス抜きができるように僅かな逃げ道を用意してやるのだ。

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