第8話

ボクは、しがない、ぬいぐるみ。だけど。


教室に入って来る人たちが纏っている「ありがとう」が。


ボクに気持ちを与えてくれた。


ありがとう。ボクの気持ちを育ててくれて。


ありがとう。ボク、もうちょっと、がんばれる。


なにをどう、がんばるのか知らない。けれど。


がんばる、ボク。


もうすこし、ボクはボクで居られそうだ。


それから、ボクは。


教室に居る人たちの、「ありがとう」以外の気持ちも。


見分けることができるようになった。


ふよふよ浮かぶ、人たちの、気持ちを見つめることが。


ボクの日課に、なった。




<了>

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『②/⓷ らくがき★誇り』 ぽふ、 @a-piece-of-harmony

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