記録6 池麺…じゃなくてイケメン

クローチェが勇者を撃退したことにより、魔王城は平和だった。


クローチェがいつも通り魔王城をぶらぶら歩いていると、何人かの女性の魔族たちが集まって喋っていた。クローチェは近づき、声をかける。

「ねね、何の話してるのー?」

「姫様っ!ごきげんよう!」

「今、写真を見てたんですよー」

「写真?何の?」

「「勇者のです!」」

クローチェは首を傾げる。

すると、一人が写真をクローチェに見せる。

そこに写っていたのは、クローチェの大斧の攻撃を避ける、栗色の髪に金の瞳、そう、勇者・・・

「勇者ロゼット!」

「リゼシオンです!」

『ゼ』しか合ってなかった。

しかし、クローチェはまた、首を傾げる。

いったい誰がどのようにこの写真を撮ったのだろうか?

「誰が、この写真を?」

「これは、幽霊族が撮ったんですよ」

「・・・それにしても何故、こんな写真を?」

「あ、姫様は知らないか。それは、本当は勇者がどんな人なのか、勇者の仲間たちはどんな人なのか、どんな戦闘スタイルなのか知る為に魔王代理が幽霊族に写真を撮るように指示したんですよ」

「ふぅん・・・で、何故、貴方たちがこの写真を持ってるの?」

クローチェがそう聞くと、皆、頬が赤くなる。

「その、勇者様・・・カッコいいなぁって!」

「そうそう!顔、整ってるし!」

「イケメンだよね!ね、姫様もそう思いません?」

「池麺?え、池に麺入れたの!?何の麺!?うどん?ラーメン?」

「え、いや、麺類の話じゃないですよ!?」

「姫様、イケメンです!イケてるメンズの!」

「・・・?」

クローチェ、よみこみちゅう・・・

ピコーン!

「あぁ!なるほど、イケメン!で、誰が?」

「ゆ、勇者です!勇者リゼシオン!ね、カッコいいでしょう?」

クローチェの目の前に写真を持ってこられる。クローチェは、じっと見る。

「・・・そうかなぁ?」

女性魔族たちがっくり。

「そ、そんな・・・」

そこで、一人の魔族がクローチェに顔を寄せる。

「もしかして姫様、好きな人とかいるんですか!?好きな人がいるなら勇者がかっこよく見えないかも・・・!」

「え、好きな人?魔族み~んな好きだよ?」

「「「ひ、姫様!!」」」

感動で魔族たちの目頭が熱くなる。

「じゃなくて!好きな異性です!恋愛的での好きです!」

「好きな異性・・・・・思い付かない」

クローチェは真面目な顔をして言う。

「そ、そうなのですか・・・」

女性魔族たちは再びがっくり。

「そうだ!勇者のカッコいい所を姫様に説明すれば、きっと姫様も勇者の事、イケメンだなぁって思いますよ!」

「それは、いい考えね!」

「えぇ、どうかなぁ?」

クローチェは苦笑いをする。


クローチェは恋愛をしている暇は無いようだ・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る