第56話 ドラゴンゼロ
僕は俺様になる前に鑑定眼鏡を使用する事にした。
ドラゴンマンのステータスを把握する事はとても大切な事だ。
【ドラゴンゼロ:レベル8500】
どうやらドラゴンマンという名前ではなくて、ドラゴンゼロというのが名前のようだ。
ステータスは驚異的な数値ではあるが、七つの大罪達と互角レベルである。レベル13000の俺様には勝てないステータスであった。
全身が銀色の鱗に包まれており、人の形をしたドラゴンと呼べるし、リザードマンをさらにでかくした龍人とも呼べる姿になっている。
右手には鋭利なサーベルの柄を握りしめている。
左手にはギザギザの小さめの丸いシールドを装備している。
奴はこちらを真っ直ぐに見ると。
地面を強靭な両足の筋肉をフル活動して、走り出した。
「全員散るぞ」
その言葉を合図に、サリィーとネメが、ルシュフとレイディーが、ゴーナとサキュラが2人で1組になって散らばった。
もちろんベルは俺様の背中で安らかに眠っている。
玄武と蒼龍はどうにかして蒼龍の本質や力を封じたオーブを奪い返せないかと宝の近くに気付かれないように近づこうとしている。
冥王ブランディ―とボンバー魔王は一緒に行動している。
俺様はあらかた周りを把握し終わると、眼の前に悠然と構えているドラゴンゼロを見ていた。
ドラゴンゼロは口から牙を生やして、こっちをじっと見つめている。
「無駄だ。そこの蒼龍よ、お主の力は現在俺の体の中に宿っている」
その言葉でその場にいる全員が唖然としてしまう。
「なるほど、そう言う事ですか」
「なのじゃ、それならやる事はきまっておるじゃ」
蒼龍と玄武は宝を奪うのではなく、ドラゴンゼロを倒す方法に変更した。
かくしてこの場の全ての仲間達はドラゴンゼロを倒すべく動き出した。
それはフィールドも同じ事であり、まるでブロックのように地面が凹凸し始める。
所々にいは水が貯まり始めて行く。
「まるでアトラクションだな」
俺様の独り言に誰も気付かなかった。
まず最初に動いたのは俺様であった。
俺様は【神の兜、神の鎧、神の靴、神の剣】
それらをアイテムボックスから取り出した。
一瞬で装備してしまうと、ドラゴンゼロは不思議そうにこちらを見ていた。
「ほう、宝石のように輝く兜と鎧と靴と剣だな、お主を倒してコレクションの1つにしてくれよう」
「そう簡単にはいかないんじゃないかなぁ?」
【神の兜】被った物には絶大なる魔力と絶大なる防御力。
【神の鎧】身に着けた物には絶大なる魔力と絶大なる防御力。
【神の靴】身に着けた物には絶大なる魔力と絶大なる防御力。
【神の剣】それを装備したものには神の力を与える。
兜と鎧と靴は絶大なる魔力と絶大なる防御力を誇るものであった。
最後の剣は神の力を得るとされるが、具体的に何が起きるが自分でも分からない。
周りに視線で合図する。危なくなったら助太刀を頼むという合図。
1人のボスに大勢で掛かれば倒せると思うかもしれないが。
大勢が攻撃する事により仲間にも攻撃が当たる可能性があるし、ごちゃごちゃとはとても危険なバトルでもあった。
なので仲間達には牽制してもらいつつも、俺様が1人で倒せれあ無難なのだ。
俺様は腰から神の剣を引き抜いた。
颯爽と歩きながら、ドラゴンゼロに向かう。
ドラゴンゼロもサーベルを構え、シールドを構えている。
2人の猛者たちの激突は一撃で始まった。
神の剣が黄金の斬撃を発しながらそれは残像となる。それに対してドラゴンゼロはサーベルで弾いてしまう。
その時地面が盛り上がり、思いっきりジャンプしてドラゴンゼロの眼の前に着地する。
それから斬り合いが始まる。
こちらの攻撃が防がれれば、相手はカウンターを仕掛ける。それを身を避ける事により右頬をかする程度で済む。さらに地面が変動するので気を付けつつも。
俺様の攻撃は全てが避ける事の出来ないポイントを狙う。
不思議と剣のコントロールが出来るのだ。
戦闘の待っただ中にいてもとても冷静に相手の動きを観察する事が出来る。
まるで自分だけの時間がゆっくりと流れて行くような感じ。
これが神の剣の力なのかもしれない。
さらにいつ地面がどこで動くかがなんとなく理解出来る。
「ぐぬぅ、絶対に避けられぬ剣撃か、恐ろしいな」
「お主こそこちらが裂けないと力で押しつぶす気だろう?」
「はん、ばれておったか」
「それも無意味なのだよ」
「んだと」
「やるならやってみろ」
ドラゴンゼロはサーベルを構えると、攻撃力が上がるバフを自分にかけた模様。
次の瞬間、ドラゴンゼロは思いっきり超スピードで斬撃を振り落とした。
まるでサーベルの先に透明な剣筋が纏わりついていた。
ドラゴンゼロの攻撃は真っ直ぐに俺様の頭蓋を割るはずであった。
避ける事はほぼ不可能、それだけのスピードと威力であったのだが。
そのサーベルは兜を叩き破るのではなく兜に抑えられていた。
「これが圧倒的な防御力ってやつだ」
ドラゴンゼロの片腕には圧倒的な反動が返ってきた。
奴は全身を震わせると、剣が弾き飛ばされた。
両腕の筋肉がはちきれんばかりになり、ドラゴンゼロはそれでも立ち上がった。
奴は落ちているサーベルを拾うと、シールドと融合させる事にした。
サーベルをシールドと重ねただけではなく、魔法の光によりドラゴンのような剣そのものに変化した。その時ドラゴンゼロの地面が真上に動いた。
「これで最後だ」
「おう」
俺様もこの素晴らしい敵に手加減をするべきではないと気づき。
俺様は神の剣を構えた。
今までは片手で握りしめていた。
しかし相手は両手で握りしめている。
なら、俺様は神の剣を両手で握りしめていた。
ドラゴンゼロは俺様のいるポイントにジャンプして降りて来た。
2人は足を引きずりながら、円を描くようにゆっくりと回転する。
仲間達が生唾を飲み込んで眺めている。
一滴の水滴が天井から落ちて着た時。
2人の猛者は動き出した。
何合も打ち合う、ドラゴンのような剣と神の剣は何度もぶつかり合った。
時には神の剣が弾かれても俺様はそれを話す事はせず、一回転して地上に着地する。
右に左に真下から真上から、突きを放ち突きをくらい。
何度もぶつかり合い、気持ちよくなってきたころ。
俺様はある一線を越えてしまっていた。
相手の攻撃パターンが全て見える。
どこに何を攻撃すれば分かってしまう。
神の剣の力の一部なのかもしれない。
それでも自分自身が成長しているのだと感じる。
神の剣の力とは持ち主を極限に成長させるものなのではないのだろうか?
頭の中でそれを思い浮かべ。
次が終着点と判断。
ドラゴンゼロの首が飛んでいった。
その時のドラゴンゼロの笑顔はまんざらでもなさそうだった。
ドラゴンゼロの体が一瞬にして蒸発すると。
そのエネルギーがオーブの元へと流れて行く。
その付近には宝もあるくらいだ。
どうやら僕達は勝利したのだ。
あまりにも俺様モードでいたので疲れ果てた自分は僕モードに変換する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます