第55話 母親は誰でしょーか

 そこは休憩室のような一室であった。

 そこで七つの大罪会議が開かれていた。

 問題となるのはボンバー魔王がちゃんと自我を持ち言葉を発せるくらいになった事。

 そしてボンバー魔王は少年の姿で尋ねるのだ。

 ママは誰と。

 女性は七人いる事からボンバー魔王はそのどれかが母親である事を想定した。



 しかし母親はここには存在しない。

 というよりかは父親も存在しない。

 彼は彼自身が同じであるから。つまり同じ肉体から同じ肉体へ転生したという事だから。

 しかし記憶などはリセットされている模様だし力の使い方はもしかしたら力そのものの能力が変質している可能性がある。



 魔王がどういう生き物であるかを僕は理解していないのだから。 

 ボンバー魔王は不思議そうに七人の美少女達を見比べていた。

 ちなみにこんな時でも怠惰のベリーは僕の背中ですやすやと眠っています。



 冥王と玄武と蒼龍は爆笑しているし、こいつら後で痛い思いでを食らわせてやろうと再確認していた。



「だから、あたしが母親になってもいいんですからね」

「ボンバー魔王を息子にしてもいいけどさ、離乳食を僕にも所望する」

「まったくこれだから愚民共は、ここは貴族令嬢であるわたくしがママになるべきよ」

「うちがママになったら王子様がパパで、きゃああああああああ」

「すやすや、眠たい」

「まぁ落ち着きたまえ誰がママであるかより、みんなで愛を注ごうではないか」

「めんどくさーいけどおもしろそーう」



 七つの大罪の相談は終了した。

 ボンバー魔王の前に7人の美少女達が集まった。

 1人眠っていますが彼女も真剣なのです。


 代表としてゴブリン族のゴーナ姉さんが前に出る。

 ゴーナ姉さんはごほんと咳払いをすると、ボンバー魔王の所にやって来る。


 ボンバー魔王はゴーナ姉さんを見て不思議そうにしている。

 見た目的には赤ん坊そのままなのだが。

 でも考える事が出来る事から1人の少年で通じそうなレベルであった。


 

 こんな家族会議みたいな事を滅茶苦茶危険な不滅のダンジョンの最下層でするものではないと思うが。


 しかしこういう所にボンバー魔王をつれてこれば、魔力が影響して一気に成長するのではないかと期待したのも結局は僕達自身の問題でもあるのだ。



「すまないな、君のママはここにはいない、だけえど7人のおいらたちをママと思ってくれていいんだぞ」



 ゴーナ姉さんの説明で、少年は理解したようだ。

 自分には母親もそして父親もいないという事を。

 


「ならボンバーは自分の力で両親を探すんだ。その為には強くならないといけない、皆さんどうか強くしてください」



 ボンバー魔王は自らの事をボンバーと名乗った。

 さらには彼は礼儀正しくお願いしてきた。


 しかし強くなるかは。



「ボンバーが強くなりたいと思っていれば強くなよう。君次第なんだよ、だけど僕達は力を貸すよ」

「はい師匠」


「僕は師匠では」


「師匠、色々と教えてください」


「うむ、そうしようではないか」



 僕はいつしかボンバー魔王の師匠になる事に楽しさで胸を膨らませていた。

 それから僕達はまた不滅の迷宮の最下層に向けて走った。


 走りながらボンバー魔王の修行を皆でサポートする。

 ボンバー魔王の武器は今のところない。

 なぜなら購入していないという事もあるが、何より体にあったものがないからだ。

 

 体はとても小さくて、鎧も剣も体と型が会わなかった。

 僕達が持っている装備は基本的に青年以上のものであり、僕も青年の一部に入っている。

 少年でも装備できるものがあるが、ボンバー魔王は少年の中でもとびっきり身長が低い。



 そういえば吸収の魔王の時も背が小さかった記憶が蘇る。

 僕はその事を胸に深くしまってい置いた。、



 なのでボンバー魔王が使う攻撃方法は爆弾魔法であった。

 ボンバーと名付けられただけあって爆弾魔法を使っているのだからある意味すごいと思う。



 僕はこの時名前を付ける事とはとても危険な事だと再認識していた。

 ボンバーと名付けたのは単なる気まぐれであった。

 それが爆弾魔法を使えるようになってしまう。


 つまり名前とはその物の力を具現化してしまうものなのではないだろうかと思うようになっていった。


 ボンバー魔王の爆弾魔法は威力が桁外れであり、レベル200程度は軽々しく吹き飛ばす。

 右手と左手が爆発するし、爆弾のオーラがつまった空気を投げるとそれも爆発する。

 彼は戦いながら自らの戦闘スタイルを探しているようだった。



 七つの大罪のメンバーと冥王と玄武と蒼龍とボンバー魔王は色々な事を経験して、最下層に到達していた。



 そこは巨大な広間であった。

 もはや潜り過ぎて時間の感覚がないし。

 お腹が減りすぎたと思ったらアイテムボックスから食べ物を取り出して皆で食べたりした。

 まるで遠足に来た気分で僕達はやってきた。


 巨大な広間の真ん中には真っ青なオーブがあった。

 それはどこからどう見ても普通のオーブではないし、ダンジョンで出来たトラップ等のオーブではない。



【あ、あれは、待ちに待った。ここに来るまで待ちに待っ】


「どうやらあれが蒼龍の力の本質のようだね、奪いにいくぞてめーら」


「いつから海賊になったんだが、ちょっとカッコいいと思ったのは内緒ですからね」

「食べ物じゃなきゃめんどくさいけどいいや、その結果食べ物が巡り当たるのだからね」

「お嬢様として早くお化粧がしたいのですわ」

「はわわわ、蒼龍様もかっこいいのですか」

「ふゎあああああああ」

「皆様、お上品に行きますわよ、さぁ皆で力を合わせてレッツゴー」

「きゃははっはあ、早くお空を見たいよー」


「まったくお前らは変わりものだぜ、この冥王が全てを破壊してくれる」

「頼むからオーブを破壊せんでくれよ、わしたちの苦労がなくなるぞい」

【それはお願いしますよ】


「師匠、あれを奪えばいいのですね」


「そうだ。てめーらやっちまえ」


 気まぐれ魔王が何もしていないはずがない。

 ここに到達するまでに嫌というほど味わったトラップ達とモンスター達。

 こんな格好な場所で気まぐれ魔王の仕掛けが光る所。



 それは、宝の眼の前にある。



 やはりというか気まぐれ魔王の煩さに歯ぎしりをしつつも。


 床が変形する。

 するとそこにいたのは、巨大な龍の人間であった。

 リザードマンのようなそれは、リザードマンのレベルではなく。


 ドラゴンマンと呼ぶのが相応しいだろう。

 そいつはこちらを見ると咆哮を発した。


 

 ボス戦が始まったようだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る