第34話 破滅竜の怒り

 僕は破滅竜を見据える。俺様は竜魔人の剣を鞘から引き抜く、

 きらりと光る竜魔人の剣は次の瞬間、透明な光に覆われた。


 俺様は突然の出来事に驚きを隠せず、僕は竜魔人の剣を鑑定眼鏡で調べる事とする。


【竜魔人の剣:覚醒】竜魔人の剣は竜を相手にすると、力を覚醒させるのだ。


 俺様はなるほどと呟き、

 僕はこくりと頷く。


「さぁ、俺様(僕)達が破壊してやるぜ破滅竜!」


 そう叫んだ瞬間、

 冥王と玄武が跳躍して見せる。

 破滅竜の背後に回ると、そのまま2人で協力して、破滅竜を遥か頭上へと蹴り上げる。


 冥王ブランディ―だから出来た芸当であり、

 玄武も彼だから出来た事でもある。


 破滅竜は地上の地面を突き破り、

 そのまま遥か空へと飛び上る、

 だが破滅竜の大きさと、翼の巨大さで奴が空を飛ぶ事は把握している。


 僕は冷静に周りを分析している。

 沢山の瓦礫が落下してくる、 

 既にここには奴隷達の姿はない、

 彼らは地上に繋がる扉に向かって脱出したのだから、


 僕は竜魔人の剣を振るう、それはまさに神速と言っていい程のスピードで払われる。

 勇者山中は勇者の剣みたいな武器で、次から次へと落下してくる岩を破壊している。

 超能力玲子は右手と左手で指さす所に巨大な岩でさえも粉々に粉砕されている。


 七つの大罪達はモンスター化になり、落下してくる岩石を足場にし、空を飛べる者は空中を飛翔しながら、

 地上に出る。


 僕は分析しながら岩を両断する事を辞めると、

 解析しながらジャンプする、ジャンプは岩から岩へとなり、

 勇者は空を飛翔している玲子に右手を掴まれている。


「超能力とは何でもありだな」


 僕は感心しており、地上に出ると、

 そこは荒野そのものだった。


 そして沢山の山があり、ここから遥か下方にはミリーシャ王国があった。


 どうやらミリーシャ王国の近くには山があるようで、

 てっきり山は無い物だと思っていた。

 地上からは見えない様になっているのだ。


 偶然を利用した奴隷達の鉱山採掘、それは許されない事なのだ。

 その鉱山採掘の為にさらなる料理を作る者など多種多様な仕事に特化する為、

 それぞれの奴隷を雇ったのだから、

 奴隷達が解放されて、

 1人残らず自由になる事を願っている。


 奴隷達の本当の自由は俺様達が魔王をぶっ倒す事が出来るかにかかっている。

 俺様達は地下から出てくる、

 1つの地下街となっていた鉱山地区はボロボロの状態になっているし、

 破滅竜の鱗が鉱物だと判明している今では、

 鉱山採掘は再開されないだろうに、


 空中に飛翔しながら、

 奴は辺りを見渡す。


【面妖ではないか、七つの大罪、冥王、そしてなぜお前がいる玄武、さらに勇者と謎の女性か】

 

 驚く事に破滅竜には意識があった。

 てっきり生存本能だけに従う理性のない化け物だと思っていた。


「お前はなぜ俺様達を攻撃する」

【それは楽しそうだからだ。お前はなんなのだ? 勇者でもなければ魔王でもない、普通の人間にしか見えぬが】


「そうさ、俺様は村人であり、今ではランク外冒険者だ」

【ふむ、まずはお前から殺そう】


 それは絶大なる殺意、

 気配そのものが膨れ上がる。

 俺様の意識そのものを狩り取ろうとする意欲、

 食用とも性欲とも違う何かにまみれている。


 それは殺害欲、

 目の前の巨大すぎる破滅竜が一歩こちらに近づく、

 他の仲間達は唖然と見据えており動く事が出来ない。


【これが蛇睨みというスキルじゃ、どうじゃ? 動けぬだろう、今、そなたを殺してやろう】


 ゆっくりと近づく破滅竜、

 奴は俺様を破滅させる為に近づいてくる。

 まるで呼吸をする様に、

 ビィキ、ビキキ。


 何かが崩壊する音が巻き起こった。


 それは俺様が動いた音だった。


 ビキィビキビキ。


「何かに縛られる事が大嫌いで、仲間に嫌われる事が大嫌いで、死ぬ事が一番やな事」


【な、なんと、蛇睨みを解除したのか】


「だから、僕(俺様)はお前をぶっ放すんだああああああ」


【魔剣召喚】を発動しようとしたら。


【魔剣融合】を覚えました。


  

 魔剣の融合魔法を覚える事に成功した。

 そして僕は計算する。

 残り5秒で僕は破滅竜に食い殺される。

 だが残り5秒もあると考える事が今の自分に必要不可欠な事なのだ。


【魔剣召喚】を発動すると、

 

 即座に一本の巨大なソードブレイカーが地面から出現した。

 ソードブレイカーは大剣よりも大きくて、

 大剣の派生武器の様で、青色に輝いている。


【魔剣融合】を発動させると、


 竜魔人の剣とソードブレイカーを融合する。

 現在右手と左手に握られる巨大な剣、

 それこそが。


【ドラゴンキラーソード】


 即座にその効果を理解する。

 竜またはドラゴン等に絶大なる攻撃を浴びせる事が出来る。


 何も考えておらず、

 少し動けた程度で何がと思っている破滅竜は、

 口を大きく開いて、

 僕から食事をする様だ。


 そこに向けられたドラゴンキラーソード。


 ようやく破滅竜は気付き、


 その時にはドラゴンキラーソードが口の頬を両断していた。

 口の中から頬にかけて切り裂いた為、

 口から血が噴出する。


 ドラゴンでも血は赤かった。

 破滅竜は怒声を張りあげて、

 口がしゅうしゅうと燃えている激痛に悶えていた。


【なぜだ。なぜ、ここにドラゴンキラーソードがあるのじゃああああ】


「そんなものなるようになれだ」


【そのドラゴンキラーソードだけは破壊せねば、そうしないとドラゴン達の安寧は存在しないいいいい】


 地面を揺るがす大地震のように、

 地面が震える。

 蛇睨みが解除され、仲間達が1人また1人と動き出す。

 憤怒のサリィーはサタンドラゴンになり、暴食のネメはベルゼケルベロスになっている。

 傲慢のルシュフはファルシグリフォンになり、嫉妬のレイディーはマーメイタンになっている。

 怠惰のベリーはベルフェニックスになり、強欲のゴーナはゴブクイーンになっている。

 色欲のサキュラはサキュモデウスになっている。


 そこにいるのは化け物達ばかりで、

 七つの大罪のモンスターバージョン達はそれぞれの攻撃パターンを編み出している。

 俺様と冥王と勇者と玲子と玄武は少し離れた所に立ち、

 七つの大罪達を巻き込まないように攻撃をしようと心構える。


【ええい、お前らは羽虫のようにしつこいなぁ】

「あら、あたしは羽虫ではなくてよどちらかというとバッタのような感じかしら」


【うるせい憤怒よ、お前はいつもサタンドラゴンになっている、すごく腹立たしい、ドラゴン族とはそういうものではないのじゃ】


「あなたこそいつまでも寝ているのかと思っていたわ、だけどあそこで埋まっていたなんて、ドラゴン界も終りね」


【うるさーーーーーい】


 その時、破滅竜は口から破滅の塊を出現させた。

 そして俺様と冥王と玄武と勇者と玲子が動き出したのだ。

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