第24話 愛の濁流

「お、おはよ。」

「おはよぅ。。」


な、なんか気まずい!!

シグマの目を見て話せない。。


昨晩シグマとキスをしたせいだ。

あの後シグマの涙で我に返った俺は、

すぐさま自分の布団に潜り、寝る前に数える羊を鞭打って急いで眠った。


「朝ごはんできてるよ?」

「お、おう。ありがとう。」


シグマとの会話が、ぎこちないまま学校に行く時間になる。

シグマと一緒に部屋をでるとまずいので、シグマは窓から、俺は玄関から家をでる。


「鈴木君おはよ~!」

「おはよ!」


外に出ると俺を待っていた天沢さんに、爽やかな笑顔で挨拶をされた。

凄く幸せだ。


「鈴木君襖変えた??」

「そう!一昨日から変えたんだ!」

「へ〜!全然音がしなくなったね〜!」

「う、うん!完全防音の襖なんだ!」

「へ〜!でも、壁作った方が効率良かったんじゃない?」

「俺もそう思う…」

「アッハハ!なにそれ!」


天沢さんと会話をしながら、マンションを出る。


「おはよ!」

「あれっ!?美幸おはよー」

「美幸ちゃん!おはよ〜!」


マンションを出てすぐに美幸に会った。


「美幸、なんで俺の家の前歩ってるんだ??」

「た、たまたまよ…」


美幸の家から学校までは、俺の家の前を通ったら絶対遠回りだ。

たまたまってなんだろ。


「たまたまって何??」

「あんたの知ってるたまたまよ。」

「ん?美幸。朝から下ネタはよせよ。」

「なんで下ネタに解釈されんのよ!!」


いつもなら天沢さんと競争を始める地点に来たが、美幸の登場により今日は走り出さない。


「あの。さっきさ、鈴木の部屋からシグマさんが降ってきたように見えたんだけど…」

「へ?」

「あっはははははは!!!そんなことあるわけないだろーー!!美幸はおーもしろいなーー!!あっはははははは!!」

「鈴木うるさい。」


ふー。この場は俺の巧みな話術で、なんとか乗り切ったが、今後シグマと一緒に住んでいれば、こういった話は増えていくだろう。

何かしら対策をうたないとな。。


「おい貴様!!私に背を見せるとはいい度胸だ!!」

「え!?ルイさん!?」

「ようやくコチラを向いたか。貴様はいつでも私のお尻を触れるように備えておけ!!」

「ちょ、ちょっとルイさん!?」


シグマと同居している話と同じくらい、

秘密にして欲しい話をルイさんが堂々と話す。


「鈴木。今のルイさんの話どういうこと?」

「鈴木君。。私先に行くね…」


タタタッ!


俺の下劣な行為を警戒してか、走り去って行く好きな人。


「貴様は私の後ろを歩くことを特別に許可する!一緒に学校へ行くぞ!」


ザッザッザ!


「…」

「あんたルイさんのお尻触ったの?」

「さ、触ってない。。」


この場面で触ったと言えるわけがない。

しかも、あれはルイさんがお尻を俺に触らせたんだ!


「ついて来ることは許したが、虚言は許可していない!!」


シッ!!


問答無用でルイさんの鋭い裏拳が飛んでくる。


バチーーン!!


目を閉じて痛みに備えていたが、いつまでたっても痛みを感じることはなかった。


目を開くと美幸が目の前に立っていた。

あのルイさんの裏拳を右手で受け止めている。

唇を噛みしめて痛みに耐えているが、完璧に攻撃を防ぎ、ルイさんを睨みつけている。


「コイツはあんたの玩具じゃないよ。」

「ふっ、では其奴は貴様の玩具なのか?」

「…そうだよ。」

「いや、それは違うだろ。」


初対面なのに、ここまでバチバチに喧嘩する人も珍しい。

俺を守ってくれている美幸の背中が愛おしく感じた。

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空気嫁が空気読まない ぱんく @punk10

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