第10話、虚像の行き付く先へ・・・

 なぜ、この論評を書いたのか?


 短いプロローグのような第1章に、全ては集約されています。

 決して、異世界モノを創作していらっしゃる方を、問答無用に斬り捨てたり、愚弄したかったワケではありません。 せっかく意欲的に創作しようとされているのに、あまりに文学をナメている風潮が、私としては、どうしても我慢出来なかったのです。


 余計な、お世話だったかもしれません・・・

 しかしながら、現在、異世界モノを創作する方々の、ほとんどの創作者の方が、『 作品 』を描く基本をご存じありません。 これは近い未来、創作を志す若い世代に、悪影響を与えかねない・・ と、私なりに、危惧を致しました。

「 はあ? どんだけ文才あるっての? お前 」

 そのような意見は、勿論、否定致しません。 私は、間違いなく、アマチュアですから・・・


 ですが私は、これまで7章の論評の中において、余りに常識を逸脱したような提議・解説・レクチャー等は、一切、記述しなかったと自負しております。 ・・まあ、少々、キツイ表現になった箇所があったのは認めますが・・・


 私が危惧するのは、前記した通り、これから創作を始めて行こうとする若い世代の方々の、行く末を思っての事です。

 今月も来月も、『 文学のカケラすら認められない創作物 』( *1、メッチャ、ブッた斬った言い方で、すみません。 以降、何度か記述させて頂きます事をお許し下さい )が発刊されて行きます。

 やがて、その作者たちは、以前の私のように、教壇に立つ可能性もあるかと思います。 その際、どんな講義をされるのでしょう・・・? 生徒たちに、どんな夢を語ってくれるのでしょう?


 私が危惧するのは、そこです。


 生徒たちが、可哀想です。

 まあ、私も、かつての生徒たちに、あまり大した講義はしていませんでしたが、純文学などは当然にして読み、創作の何たるかは、それなりに勉強をしたつもりです。 その経緯から悟った表現手法や文章構成技術を、講義に生かしました。 どれだけの価値ある講義をしていたか、を立証する事は出来ませんが・・・


 申し上げたき義は、生徒達から見れば、あなたたちは『 先生 』だと言う事なのです。 しかも、授業料を払って講義に参加しているのです。 テキトーな事を喋っていたら、冗談ヌキで『 詐欺 』ですよ?


「 ま、講師なんかには、絶対ならないからさ。 めんどクセェし 」


 そう言う方は、今すぐ、テキトーな創作をヤメて下さい。

 『 作品 』は、生徒たちと同じです。

 導く方向によって、良くも悪くもなります。

 あなたを支持されている読者の方々も同じなのです。 あなたの創作物(*1)を読み、「 異世界モノって、こんなモンなんだ 」と理解・認知して行くのです。

 この危険性が、何を導くか・・ お分かりですか?


 若年層による、文学の破壊です。

 本来、未来を創造するべき若者が、培うべきベースの解体に奔るのです・・!


「 そんな、大げさだよ、お前。(笑) たかが、小説だぜ? 」

 ・・フザケていません。 現実なのです。


 大変に、キツイ&失礼な言い方をさせて頂きますが・・ 実際、文学の価値など皆無の創作物が、これほどまでに『 支持 』されているんですよ? これが価値観の崩壊無くして、何と説明するのですか? そんな創作物(*1)を、刊行する側にも責任はありますが・・・


「 べつに、文学書いてるとは思ってないね。 趣味の世界なんだよ 」


 だったら、ファンタジーのカテゴリで書くなっての!

 ファンタジーは、れっきとした文学です!

 今まで、何度も記述させて頂きましたが、SNSの日記の中でやって下さい。 今すぐ・・!


 『 無責任な応援 』を取得し、有頂天になっているあなた・・ ある意味、盛者必衰の理に気付くべきでしょう。 作品に至っても、その過程が分からない程度の意識で創作をしている限り、あなたには『 良作 』は出来ません。

「 はっ! ナニ言ってんだよ! 俺には、支持してくれる読者がいるんだ。 ★もレビューも、信用度の高さが自慢なんだよ! 」

 そんな抗議声明も、当然にして聞こえて来そうですが、それについても、言わせて頂きます。


 あのな・・ 何でもアリアリの、超楽ライノベ書いてるぐらいで、

 イイ気になってんじゃねえぞ、コラアッ!


 ・・すみません。

 吉田 茂総理の『 バカヤロー解散 』みたいですね。 暴言、陳謝致します。

 すぐ謝るのが、アホの特徴です。 → 論評参照:『 アホなら出来る! 』( 夏川 俊 著:カクヨム掲載済み )


 しかし、その通りなのです。

 書き易い、ライトノベル・・ その中でも、典型的に書き易い『 異世界モノ 』カテゴリの創作程度で、有頂天になっている方々・・

 この論評の、最終議題を申し述べさせて頂きます。


 試しに・・ 他のカテゴリで、2~3編の作品を書いてみて下さい。


 SFでも恋愛でも結構ですが、いわゆる純文学の作品・・ カクヨムで言うならば、現代ドラマのカテゴリでの創作です。

 それで、同じように、読者の方々から評価を頂けたのなら、私としては脱帽致します。

 あなたは、プロを目指した方が宜しいでしょう。

 ただし、現代ドラマの世界でも、カクヨムに関しては、異世界モノに近い作品が多いですので、カン違いしないようにして下さいね?

 つまりは、転移・転生・召喚などと言った、異世界&ゲーム要素は一切ナシです。 当然にして、ファンタジー要素もナシです。 何がファンタジーなのかは、論評内の記述をご参考に・・・

 カクヨムに例えれば、★が1500・レビュー80・応援コメント数知れず・・ と言った方々でしょうか。 挑戦してみて下さい。

 これは、『 器用貧乏 』になれ、と諭しているのではありません。 小説の創作は、全てのカテゴリに於いて、構成する基本は同じです。 ならば、カテゴリが違ったとしても、作品は書けるはず。 更に言えば、読者の方々は、あなたを尊敬されていらっしゃるんですよね? だったら、違う作品を書いたとしても、またコメントやレビューを寄せて頂けるはずです。


 でも、自信ありませんよね・・・?


 何編・何十章と、連載を続けている創作物には、物語として必須であるべきテーマが無い・・ と論中でも記しましたが、実際、長編モノの創作者の中には『 今、支持をしてくれている読者 』を失いたくない、と思う心情・本音を抱いている方が、非常に多いかと思われます。 誰だって、居心地の良い場所は移動したくはないし、失いたくもありませんしね・・・

 だいたい、20~30章くらいを執筆すると、それなりの読者数が付きます。 当然、コメントやレビューも増えて来ます。 これから・・ という時に、作品を終わらせたくない心情、お持ちですよね?


 実は、この時点で、文学としての根源が揺らいでいる事に気付いて欲しいのです。


 あなたは、何の為に、物語を書いているのですか?

 自分の世界、アイデア、心情・思想・考え方・・・

 それを、不特定多数の方に、告知してみたかったからではないのですか?


 読者から崇められ、イイ気になるのは、『 副産物 』のはずです。

「 俺も、こんなの書いてみたいな~ 」、「 こんなんだったら、俺にも書けるわ 」。

 例え、2次的なスタートであっても、他人に自分の思想を訴えるキモチはあったはず。

 それがいつしか、今の『 地位 』を守る為の保守的な考えに優先され、物語の内容など、二の次になっていませんか? 元々、そんな高尚な志など、皆無だったのかもしれませんが・・・


 『 初心、忘れるべからず 』です。 まあ、『 初志貫徹 』でも宜しいかと。

 勇気を持って、今ある創作物(*1)を終わらせて下さい。 終わる『 勇気 』を、少しだけでも良いから持って下さい。

 論中でも記しましたが、『 異世界モノ 』は、必ず、飽きが来ます。 同じような創作物は、3~4編が限度でしょう。 『 ネタ 』そのものが、尽きますから・・・


 そりゃ、そうでしょう・・ 2次制作のようなものですからね。

 

 カテゴリの違う、次の作品を創作すれば、また新しい未来が開けます。

 新しい『 あなた 』が誕生するのです・・・!


 今一度、自身を振り返ってみましょう。

 そして、今一歩、新たな世界を導いてみませんか?

 オリジナリティーは、誰のセンスの中にもあります。

 もっと、自分に自信を持ちましょう!


 文学とは、創作の志なり・・ です。



 ここまでお読み頂き、お付き合い頂いた方・・ 誠に、ありがとうございました。

 稚拙な論評、お恥ずかしい限りではありますが、心の芯から叫ばせて頂いた次第です。

 論中での発言については、お気に障った方も多数、いらっしゃるかとは存じますが、一つの提言・意見として発表させて頂きました。 悪しからず・・・

 本編が、執筆を志す方々の、ほんのわずかな糧になれば幸いです。



 最後に少々、私の事も記しておきます。


 私は、自身の存在を後世に残す為に、その一環として物語を執筆しています。

 小説家を目指した事など、一度もありません。

 強いて言えば・・ 創作した物語が、映像となるのが、唯一の夢なのです。


 従って、文才なるモノは、平均的にあれば良いと思っています。 ・・だって、映像化されたら、脚本家が脚本を書き、カメラマンが絶妙なカメラワークで情景を撮ってくれます。 俳優が登場人物を魅力的に演じ、演出家が、その演出を俳優陣にレクチャーしてくれるのです。


 そう・・ 私は、『 原作者 』になりたいのです。


 コレなら、物語のアイデア1つで、作品の良し悪しは決定されます。 難しい文章表現は、『 平均的に 』だけあれば良いのです。


 ただ1つ、問題なのは、その『 周知 』・・・!

 どんな良い原作であっても、埋もれてしまっていては、誰の目にも留まりません。

 だから、拙作ながらも、作品を出版致しました。

 ↓

 『 呼び掛けたままの夏 』( 文芸社さんにて、2004年に、全国発売 )


 現在は版権も切れた為、中古本としてAmazonなどで販売しています。

 生まれて初めて書いた小説を、初めてネットで発表し、当時、偶然に読んで頂いた編集の方のご厚意で、出版して頂きました。 なので、この論中の中で、注進記述した通りの『 拙作 』です。 今、読み返せば・・ 修正したいヶ所が山ほどあります。( てか、全編 )

 しかしながら、私の本懐は前記の通り、『 原作 』であり、当時の編集の方は、正に、私の作品の『 中身 』に共感して頂き、お声を掛けて下さったのですから、拙作なる出版については、恥ずかしい事だとは思っておりません。

 何よりも嬉しかったのは、国会図書館にて、この小説が本となり販売された事を、日本国が永遠にデータ保存してくれる、と言う事です・・・!

 全国販売とは、そう言った『 大いなる意義 』を含むのです。


 文才の無い者が書いた小説ですが、この著書に関しては、私は満足をしています。

 当時、書店の店先に並んだ時は、大変に嬉しく、天にも昇る想いでした・・・!

 ちなみに、表紙のイラストは元々、イメージ・イラストとして原稿の1ページ目にあり、私が描いたものです。 編集の方が、お気付き下さいまして・・ 真剣に、漫画家を目指していた時代があった旨のお話しに、ご賛同賜り、編集局長様のお勧めにて、表紙に推挙と言う形になりました。


「 共同出版は、出版費用の半額を払えば、出版してくれるんだよ。 作家気取りが・・! 」

 そんな批判も頂きましたが、私の目標は、前記の通り、作家になる事ではありませんので・・・

 補足ですが、どんなに金を払ったとしても、『 明らかなる駄作 』は出版されません。 出版社にも、良作創生のメンツがありますからね。


 ところが、そのセオリーも近年、変って参りました。 特に、『 異世界モノ 』の分野において・・・

 なぜ出版されるのか? は、論中でも触れました。 それだけ出版業界も大変だと言う事なのです。

 カン違いをされないように、ご注意下さいね。



 最後に、自作の詩『 大地に咲く花 』( カクヨム掲載済 )より、

 僭越ながら、最終の一遍を引用させて頂き、この論評を完了とさせて頂きます。

 最後まで、お読み下さいまして、重ね重ね、誠にありがとうございました。




 今、我々は、一輪の花たらん。

 吹きたる風に揺られ、ただ静かに・・・

 明日に向いて咲き誇り、その姿を知らしめる。


 君に。



                    完 / 夏川 俊

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異世界モノ、ちょっと斬ってみた件について 夏川 俊 @natukawa

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