第42話 転校生は幼馴染だった 1

 1日ずっと静かにベッドの上で本を読んでいたり、寝ていたりしたからか、翌日起きたときには、微熱にまで下がっていた。


 まぁ、とりあえずそれでも安静にしておくということで、今日もひとりで登校中。


「はぁ……。ひまだなー……。今日も日向に何か買ってあげようか?」


 ゼリー……は、昨日にあげたし、でもアイスとかだとまだ微熱とはいえ熱なんだし……。


 やっぱり、プリンとかかな?


 そして、そんなふうに何を買っていくかなどを考えながら、学校へ向かっていきました。


 その後、自分の席に座って、最近買った青春小説を読んでいた。


 その青春小説は、高校生の5人のありふれたような感じがするんだけど、でもなにか少し特別な感じもする物語。


 ちょっと、感動しながら読んでいたら、僕の横から興味が湧いてくるような事が聞こえた。


「ねえねえ、このクラスに転校生がくるんだって。」


「へぇ……転校生ってどんな人?男子なの?それとも女子なの?」


「女子らしいよ。それも、超がつくってくらいの美人なんだって。」


「えー……!楽しみだな……!」


 へぇ……。転校生か。僕が転校生だったら色々ときつそうなんだよね。


 僕、絶対に緊張するから。まぁ、僕は

転校する可能性はもうほとんどゼロに近いんだけどね。


 それにしてもなんだけど、転校生ってどんな人なんだろうか?まだ美人っていうぐらいしかわからないんでしょ。


 まぁ、優しい人だったらいいな。


 そんなふうに、これから来るであろう転校生のことを考えていたら、先生が教室に入ってきた。


「おーい、ホームルーム始めるぞ。」


「起立!姿勢!礼!」


「「「「お願いしまーす!!」」」」


 なんか、いつもと比べてすごい元気な気がする。特に、男子。


 でも、女子の方もいつもと比べてみると、元気な気がする。女子は、友達が増えるとか考えているのだろうか?


 男子は……簡単に想像がつくね。


「じゃあ、まずは転校生を紹介する。」


「「「「…………。」」」」


 なにか、みんなの心臓音がドクッドクッドクッ……って、聞こえてくるような感じがする……。


 そして、それと同時に、周りの緊張感みたいなものもすごい伝わってくる。


「じゃあ、入ってくれ。」


「……あ、はい。」


 そして、転校生であろう人が教室の中に入ってきた。


「「「「おぉー……!!」」」」


「じゃあ、自己紹介をしてくれ。」


「はい、えーっと、私の名前は小柳凛です。お父さんの転勤により、ここに引っ越すことになりました。よろしくお願いします。」


 パチパチパチパチパチパチパチ…………!


 この拍手ら、前にやった自己紹介のときに起こった日向のときの拍手よりも断然すごく大きかった。


 まぁ、多分あのときはみんな緊張していて、手をあんまり叩こうとしなかったからだろう。


 …………でも、それにしてもなにかこの転校生、どこかで見たことがあるような、ないような……?


 それに、その名前も。小柳凛……。小柳凛……。


 誰だっけ……?


 そして、気になってしまって、僕はじーっとこ記憶がもしかしたら戻ったりするかもしれないということで、転校生の顔を見続けてしまった。


 すると、僕の視線に気づいたようだった。


 やばい……。


 どうせ、僕がどこか出会ったことありましたか?とか言っても、ないだろうし、何よりどこかのナンパでそんな方法があったような?


 そして、どうしようか戸惑っていると、予想外の声をかけてくれた。


「ん……?もしかして、日陰?」


「……へ?」


「お、やっぱり日陰じゃん!久しぶりだね!えーっと……小5の頃に別れたから、もう4年位ぶりだね!!」


「……やっぱり、どこか出会ったことがあったんだ……。」


 やっぱり、どこか出会ったことがあったんだ。なにかよく分からないけど、微妙な記憶がある訳だ。


「……もしかしてだけど、私のことを覚えてない……?」


「えーっと……ちょっと待っててくれないかな……。今、結構頑張って、はやめに思い出すから……。」


 えーっと、小5っていうことは、小学5年生に……僕は転校していないっていうことは、この転校生の方が転校したんだよね。


 じゃあ……小学5年生の頃に転校した人って言うことだよね……。


「あっ!分かったよ、分かった。凛だ!」



 そうだ、そうだよ。なんで今まで友達がいないとか思っていたんだろう!


 凛は、幼馴染だ。家が近かった事などもあって、親同士も知り合いでよくどこかへ遊びに行っていた。


「良かった!思い出してくれて。」


「えーっと……2人は知っているものどうしなのか?なら、良かったな。友達に会えて。」


「はい。」


「でも、感動の再会は後にしてくれないか?ホームルームが終わっちゃうからな。」


「あっ……すみません……。」


「すみません。」


 そして、凛は、一番後ろにある、先生が新しく用意したらしいが、その席に向かって歩いた。


 僕は、そのときにみんなから男子からのすごい嫉妬のような目だったり、女子からのよくわからない目だったりが僕に向かって今のは知らなかった。


 あとから知ったことなのだが、女子からのよくわからない目は、『これはラブコメ展開じゃない?』などという、恋に憧れている今の季節を迎えた女子からの目らしかった。

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