第37話 番外編 博多旅行の振り返り!
「「ただいまー。」」
「あら、お帰りなさい。博多旅行、どうだったのかい?」
僕たちが家に戻ってきて挨拶をすると、ちょうど玄関にいたおばあちゃんが気付いたようで、挨拶を返してくれた。
「あ、はい。楽しかったです。本当にありがとうございました。」
「うん、結構……っていうかすごく楽しかったよ。……いろいろあったんだけど。」
「そうかい、そうかい。それなら、この旅行が成功したということだね。良かったよ。」
ある程度……っていうか、疲れていて最低限のことを済ませて食堂に行くと、おやつを食べて話をしているおばあちゃんと日向の姿があった。
結構早めに降りてきたのに、さきに日向が来ていたなんて……。どうやったらそんなに早く用意できるんだろう?
「早いね、もう手洗いうがいとかやったの?」
「あ、うん。っていうか、荷物をとりあえず部屋に置いておいて、手洗いうがいしたっていうだけだからね。」
「あ、そう……。」
まだ片付けが終わっていなかったのかよ。
と、少し頭の中で突っ込みながら、僕は日向の隣の席に座る。
「あ、そうだ。はい、これをどうぞ。」
「あら、ラーメンと、辛子明太子と、あと、……。」
「いろいろとお土産をありがとうね。でも、こんなに買って、自分のものは大丈夫なの?」
「あ、はい。」
「それで、今回の博多旅行、どんなことがあったのか聞いてもいいかい?」
「はい。」
「うん。」
そして、新幹線の出来事から話し始めた。
「新幹線で日向が寝言で……。」
僕は、1番面白かったなー、というところを話した。
それにしても……なんで、旅行の大事な最初の話に、日向を起こすときのことのやつを使ったんだろう?
「ははは。」
僕が、そのときに思ったことも含めて話していると、おばあちゃんが笑ってくれた。それに、日向は少し顔を赤くしていた。
まぁ、恥ずかしかったんだろうな。それに、僕はそのことを初めて日向に言ったんだし。
「それで、昼ごはんに食べたラーメンのことについてなんですけど……。」
次はラーメンの話。
「小夜君の言っているその言い方が上手だね。私、食べたくなってきちゃったよ。」
その話をしていると、おばあちゃんも食べたくなったようで、お土産に渡したラーメンを食べようとしていた。
………っていうか、食べたんだけどね。
ちなみに、味はすごい美味しいと言ってくれた。
あのー……メリーゴーラウンドのときに、日向が自分の知っているものを褒められると、嬉しい気持ちになるとか言っていたけど、本当にそうだった。
そして、天満宮の話。……は、飛ばしてホテルの話。
天満宮の話をしようにも、あのおみくじを思い出してしまってできそうになかったからだ。
「あ、ホテルのことなんですけど、すごい広くて……。」
ちょっと、恥ずかしい気持ちもあったから、ここは日向に話してもらうことにしてみた。
そしたら、あのーホラー系の映画を見ていたときのことまで言うので、本当に恥ずかしかった。
「ほー……。」
「ほー、ほー、ほー。」
と、僕に向けて少しイジワルそうに笑って、そういった。
……ちなみに、その時から、これのことについておばあちゃんから、からかわれ始めたのは、言うまでもないことだろう。
それから、おじいちゃんがなにかから帰ってきたようで、おじいちゃんも一緒に話に加わった。
家族から離れて何年も経っていて、僕はこんな『暖かさ』を感じるのを忘れていた僕にとって、この《博多旅行の振り返り》は、とても楽しいものとなった。
……まぁ、それと同時に少しホームシックになりかけたけどね。
でも、迷惑をかけるわけにもいかないし、これは秘密にしておいた。
また、旅行したいな。
そんな考えが、僕のホームシック状態を打ち消しながら。
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