第33話 日向との泊まり旅行 5
中に入ってみたのだが、その部屋の中もこのホテルに見合った……というか、そういうレベルだった。
僕のアパートについていたアパートと比べるのもなんなんだけど、そこについていたものより大きいテレビ。
僕のアパートについていなかった……いや、これも比べるのはなんなんだけど、ソファー。
あと、1番驚いたのが、その部屋にドンッ、とおいてある1つのとても大きいベッド。
あのー……位とかはもう僕はシングルでしか寝ることがないと思っていたから知らないんだけど、……まぁ、水谷家で寝ているのはそれ以上なんだけど、それよりも大きい気がする。
……分からないけど、キングサイズっていうのがあったよね。それくらい……?
わぁ、すごいなーー。
ふぅー……。……さて、じゃあ、現実に戻って向き合うとしますか。
「……なんで、ベッドが1つしかないんだろう……?」
うん、すごいおかしいんだけど。
それに、向き合ったらいろいろとおかしくなりそうで、とりあえず現実から離れようとしていたんだけど、いつかは向き合わないといけないよね……。
「……本当になんで……?」
「さぁ……?ここが普段は一人用だったとかかな?」
「いやいや、こんなにすごい部屋で、とてつもなく広いっていうのに一人用?」
「うーん、ならあと一つの選択肢があるけど……?」
「えっ、何?一人用じゃないとすると、それってことになるでしょ。」
「カップル用。もともとここは二人で寝るためにこのサイズにしたとか……。」
「さて、なんなんだろうな……。」
「あ、また現実から逃げた。」
どうするべきだろうか……?
僕は、考えてみた。でも、今のところ、今のところ!は思いつかなかったので、また現実から逃げて他のことを考えることにしてみた。
「よしっ、お風呂も多分アパートのときと比べて比じゃないくらいすごいよな。見てこよう。」
「あっ、また現実から逃げた。」
「口に出さないで。また、現実に戻っちゃうから。」
「ねぇ、それで僕が先にお風呂に入っていてもいいかな。ちょっと汗で服がなんか気持ち悪くて……。」
「でも、私もなんだよ。」
そしたら、まずは日向のほうが位は上なんだし、譲ろうとした。
だけど、この気持ち悪さが本当に嫌で我慢できなくて、やっぱり譲るのをやめることにしたのだった。
さて、どうなったのだろうか。これ、なにか昔どこかでやったようなシチュエーションだと思うんだが、果たしてそのとおりになったのだろうか。
なったのだった。
「ちょっと、すごい恥ずかしいんだけど……。」
「だよね……。なんで一緒に入れば時間も短縮できるしとか言っちゃったんだろう……?」
「僕も、なんでそれを納得しちゃったんだろう……?」
そういうことだ。
このお風呂の中には、タオルで体を巻いて隠している二人の人の姿がいた。
なぜか、本当になぜだかわからないんだが、気づくとふたりでお風呂に入っていたのだった。
まぁ、アパートのときのお風呂と比べるとすごい大きくて二人でも十分入れるから大丈夫……ではない。
なんで、本当にこうなったんだよ!!
「まぁ、とりあえず入っちゃったし、ふたりでお風呂に入ることになったんだけど、背中、洗い合う?」
「……じゃあ、お願いします。」
そして、背中を洗い合ったりしてお風呂に入って、外に出た。
漫画というか、どこかであったあの異性でお風呂にはいっていったときのシチュエーションなどはどこにもなく、ただ背中を洗いあってお風呂に出た。
それだけだ。
……まぁ、ちょっと……本当にちょっとだけは、ちょっとだけはなるんじゃないかって期待してなくもないけど……。
ゴホンゴホン。
なんでもない。
お風呂から出ると、財布を用意した。
「……じゃあ、日向。……晩ごはんはどこらへんで食べる?……やっぱりここにきたから、なにかえーっと、辛子明太子とか……?それとも、ファーストフード店ですませる?」
「……うーん……。」
「……とりあえず、もうあんまり出かけたくないから、だからここで食べたいから、ファーストフード店でお持ち帰りにする?」
「……うん。それがいいかな。」
話しをしている最中も、お風呂で裸とはいかないものも、結構裸に近いものを見ちゃったからか、ぎこちなかった。
でも、ずっとこのままじゃあ、旅行を楽しめない気がしたので、すぐにもとの調子に戻したが。
まぁとりあえず、日向はもう外に出たくないようなので……いや、外に出たくないのは一生って言うわけではないが、今日はもうそとにでたくないらしいので、僕がファーストフード店に行って買いにいった。
そのファーストフード店では、九州限定の料理とかも数多くあったので、それを買ってホテルに戻ったのであった。
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