第30話 日向との泊まり旅行 2

 新幹線のなかのナレーション?のような声によって、今、博多にいるということが分かった。


 横の方を見てみると、未だに日向は眠っているようだった。なんか、可愛いな……、


 ……ゴホンゴホンッ


 なんでもない。


「……さて、どうすればいいんたろう?」


とりあえず、ここが終点らしいので、ゆっくり考えてみた。で、なんでも思いついたことをしようと思った。


 まずは、『呼びかければ、意外と起きてくれるんじゃないか』と、考えて、呼びかけてみることにした。


「おーい、日向ー。」


「ん………ご飯……?」


 起きているのかと思ったけど起きていないようだ。


 次は、肩を揺すってみた。


「おーい!」


「んー……もう食べ切れないから……。」


 うん。起きていないらしい。


 それにしても、さきほどご飯と言っていたのに、この短時間でもう食べ切れないになるなんて……。


 少食!?


 ……そんなことは、別に関係ないことだな。


 そして、最終手段。


パチンッ!


 日向のおでこに向かって、左手をなにかの動物のような形をして、デコピンをしてみた。


「ちゃい!!」


 ……なんて言っているんだろう?まぁ、どうでもいいけど、起きたようだ。


「ねえねえ、もうちょっと違う方法で起こしてくれない?」


「いや、もっと違う方法でも起こしたんだけど……。」


 そんなことを言いながら、僕は電車から降りてホームを出た。


 すると、そこには僕らがいつも見ている県の風景とはまた違った風景があった。


「おぉ、すごいね。」


「うん。僕も何がすごいのかは分からないんだけどすごいね……。何か、……うん、何かがすごい。」


「ふふっ、何それ?」


「分かんない。」


「それにしてもなんだけど、なにか博多のっていうか、そんな感じのにおいしてこない?」


「なにその、博多のにおいって。博多は地名って以外にも他に何か意味があるの?」


「さぁ……?」


「あ、そういえば、僕は今日の予定を全くと言っていいほど知らないけど、どこに行くの?」


「えーっと、今日行くところは、ラーメン食べて、天満宮行って……あっ、天満宮っていうのは学問様ね?」


「学問様……?まぁ、だいたい予想はできるけど……。」


「それで、ホテルに行くの。」


「へ?」


「……ん?もしかして、日陰、あれだと思った?ラブホテ……。」


 そんなこと……うぐっ、ちょっと考えていてしまったけど、それは仕方ない!


 だって、健全な……のかは分からないんだけど、ちゃんと男子高校生なんだもん!


「いや、違う。そんなことを1ミリたりとも……2ミリくらいも思っていない。」


「えっ、なんで言い換えたの?やっぱり考えていたんだー!」


「もう、話題変えよ。」


「うん。それで、あ、明日のことなんだけど、明日は昼くらいに帰るよ。だから、お土産を見るくらいかな……?」


「ふーん、そうなんだ。」

「じゃあ、時間がなくなってしまうといけないし、早速行こ?」


「よしっ、いいよ。」


 そして、ラーメンの店にやってきた。そこは、僕らの県のラーメン店とは違って、なにか庶民的……いや、悪い意味ではなく、いい意味だよ!?まぁ、そんな感じがして、居心地が良かった。


 (ちょっと地味………ゴホンゴホンッ。質素な感じっていうか、独特な匂いっていうか……。)


 出てきたラーメンを食べてみると、やっぱり本場だなー、って思わせてくれる。


 なにか、その違いは……うーん……よく分からない……ゴホンゴホンッ。


 まぁ、言葉に表せないくらいだ。


 今日は体調不良なのかな?なにか、咳が多いような気がする。


 ラーメンも食べ終わり、すぐにそこから天満宮にいくまでにいろんなところを歩いてまわった。


 ちょっと歩くのは大変ではあったんたんだけど、周りの風景の興味からか、あまりつかれたという感覚はなかった気がする。


 ……でも、実際は1時間くらい歩いたのだろう。日向は横で、ぜぇはぁ、と言っているほど疲れている。


 だが、確かに服もだんだん汗で濡れてきているし、ちょっと着替えるために天満宮の参拝は早めに終わらせようと思う。


「本当にいい天気だねー。」


「あぁ、うん。嫌になるほど。今、本当に春なのかな?」


「これぞ、青春。」


「まぁ、青春というよりかは、空が青い春っということで、青春(アオハル)だね。」


「よしっ、座布団35億枚……。」


「それ、2つの団体っていうか、アレをパクっているよね……。」


 そして、僕らは神社までによくあるとても長い階段をフラフラとふらつきながら、苦労しながら登っていったのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る