第27話 プレゼント交換 2

 制限時間も、もう間近となり、僕は事前に決めていた集合場所に向かった。


 集合場所につくと、まだ日向は来ていないようだった。


「もう、あと制限時間は10分もないぞ。日向、大丈夫なのかな?」


 そして、待っていると、残り時間がぎりぎりというところで、日向が走ってやってきた。


「はぁ……はぁ……ごめん……。待った?」


「うん。10分くらい待ったよ。でも、制限時間にはぎりぎり間に合っているし大丈夫だよ。」


「ねぇ……そこは……待ってないよとか言ってほしいところなんだけど……。」


 どういうことなんだろう、などと思いながらも、僕はとりあえず日向の言うことを聞くことにした。


「あっ、うん。待ってないよ。」


「いや……もう嘘だって言うことがさっき分かっているからね。」


 そして、日向の呼吸が普段通りにもどると、僕たちは水谷家の家に帰ってきた。


 外でプレゼント交換をやるの?家でやらない?なんかそっちの方が楽しそうだし。


 などと、日向が言ったために、プレゼント交換をするところは家ということになったからだ。


 そして、家につくと、手洗いうがいなどをすませて、勉強会では、僕の部屋を使ってしまったからということで、僕たちは日向の部屋に向かった。


「よしっ、じゃあ、プレゼント交換を始めます!」


「はい。」


「じゃあ、まず私からね。」


 そう言うと、日向は小さな袋を僕の前に出してきた。


「これ、僕があけていいの?」


「うん、日陰のだからね。」


 とりあえず持ち上げてみると、意外に軽かった。そして、袋を開けてみると、そこには先程まで見ていたものがあった。


「えっ………。指輪!?」


 それは、アクセサリーのショップのところの店員さんが出した指輪と、同じものが2つあった。


「これ、どうしたの?」


「ふふーん。私はね、とりあえずなくなってしまうものは嫌だから、食べ物以外のものにしようと思って。そしたら、アクセサリーがいいかなーって思ったんだ。」


 あれ?これってまさか僕と……


「そして、始まってからすぐにアクセサリーのショップに行ったの。そしたら、そこにおしゃれな店員がいて………。」


 うん…………。


「その店員さんが、私に指輪を勧めてくれたから迷って、他のところを見てから決めますって言ったの。そして、一番指輪がいいかな、っていうことで、買うことにしたの。」


 おい!やっぱり僕の行動とほとんど同じじゃないか。まぁ、僕はそこから切り替えてネックレスの方にしたけど……。


 でも、勧められたとはいえ、日向が選んだし、別にいいか。


「そうなんだ。ありがとう。」


「あ、もう一つは私のね。ペアルック、なんかいいよね。」


「うん。そうだね。」

「ん?これはなに?」


 さっきの袋から、なにかの紙がでてきた。確認してみると、そこにはこう書かれていた。


『私の言うことを聞いてくれる券

 有効期限 私が死んでしまうまで。

 この券を渡すと、日陰は私の言うことを聞かないといけません。聞かないのなら……ふふふ。分かっているよね、ね。ね!』


「……………。」


 あ、うん…………。


「これは……?」


「いや、書いてあるでしょ。この紙を渡したら、私の言うことをちゃんと聞いてね。」


「それ……無しじゃない?」


「いやいや、それ買ったやつだから。百均でちゃんと紙を買って、それに書いたんだから。」


「それ、あり……?」


「うん!」

「じゃあ、次は日陰のプレゼントの番ね。はいはい。出して。」


 ま、いいか、ということで、すこし開き直った感じがしながらも、僕は僕が買ったネックレスを出した。


「はい、どうぞ。」


「わぁー!可愛いハートのネックレス!ありがとうね、日陰。」


 日向は笑顔で喜んでいた。僕は、それが嬉しくて、自然と笑顔になった。


「はい。もう1つのネックレスは日陰のものなんでしょ。でも、日陰のネックレスもハートって、なんか恥ずかしくないの?」


「うぅー……、ペアルックにしようしたらこうなるんだよ。」


「ふふふっ、本当にありがとね。」


「こちらこそ、ありがとう。」


 そして、僕たちはまた少し仲が深まったのだった。


 ……あっ、ちなみに、僕が日向の笑顔をまた見てみたいなんて思ってしまったことは、僕だけの秘密ということで。

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