第26話 プレゼント交換 1

「よしっ、プレゼント交換のためのプレゼント探し。始めるぞ!」


「おー……?」


 僕は、日向の勢いに少し押されてしまい、とりあえず「おー」といっておいた。


 今日は、土曜日。体力測定も終わり、ショッピングモールにプレゼント交換のためのプレゼント探しに来ていた。


 日向から、その事について、事前にルールを説明されていた。


 かんたんに言うと、それぞれ10000円を使って、それぞれが相手のプレゼントを買ってきて、それを交換するというものだ。そして、制限時間は1時間だと言う。


 なんで、10000円もプレゼントに使えるのかというと、おばあちゃんにお小遣いみたいなものということで、くれたのだ。


 僕が、両親からもらっていたお小遣いでも1000円ほどだったので、少しこんな大金を使えることが怖い。


「では、用意スタート!」


 そして、日向は笑顔でそう叫び、同時に右手のこぶしを上にあげた。


 それによって、プレゼント交換に使うプレゼント選びがスタートしたのだった。


「まずは、どこから見たらいいだろう?」


 僕は、両親以外から誕生日のプレゼントを貰ったことがない。そして、プレゼントをあげたこともない。


 あまりにも未知のことなので、少し……いや、結構戸惑っている。


 ぶらぶら回ってプレゼントを探していたら、結構な時間がかかるに違いない。そして、僕は一旦どういうものにするか、考えてみることにした。


 まずは、食べるものにするべきか、食べられないものにするべきかを考えてみる。


 食べられる物は、なくなってしまうよな。僕はそれ嫌なんだよな……。じゃあ、僕の勝手ではあるんだけど、食べられないものにするか。


 次は、服、日用品、文房具、アクセサリーの中から何がいいか考えてみる。 


 まずは服か。服は、最近に買ったし、選択肢の中から抜くかな。


 次に日用品か。日用品は、結構便利なんだよなー……。最近すごそうなのが売ってあるし。でも、水谷家はいろんなものを取り揃えているし、必要ないだろう。


 次は文房具か。文房具も、いろいろとすごそうなのが多いんだよな。最近は、なにかに見立てた文房具とかよくあるし。でも、高校生になっても使うっていうのは恥ずかしそうなんだよな……。


 じゃあ、残りはアクセサリーか。ふむ。アクセサリーなら、高校生っぽいっていうかそんな感じだよな。


 高校生になったら、おしゃれにも気を使いたい!みたいな……?


 そして、おしゃれをしている日向の姿を想像してみる。


 あっ、可愛い。よしっ、アクセサリーにしよう。


「このショッピングモールで、アクセサリーを売っているところ……か。」


 そして、アクセサリーのショップにたどり着いた。


「すみません。」


 僕は、何を買えばいいのかが全くわからなかったので、ここの従業員の人に聞いてみることにした。


「はい。なんですか。」


 その人は、女性のおしゃれな店員さんで、色々と詳しい気がするため、僕はその人に声をかけた。


「あのー、プレゼントをしたいんですけど、どんなものを送ればいいんでしょうか?」


「その人って、あなたにとってどんな人ですか?あと、客観的にみてどんな人ですか?」


 なんで、そんなことを質問するのかは分かっていなかったけど、とりあえず答えておいた。


「僕からみたら、憧れている人で、あと、目上の人……かな?と思います。」

「それで、客観的にみてみると、お嬢様で、美人で、人気者で、お金持ちで、……って感じですかね。」


「その人、すごいですね……。」


「はい、本当にすごいです……。色々と。」


「んー……でもそれなら、ネックレスとか指輪どうですかね。予算はいくらほど?」


 でも、なんでネックレスはいいものも、指輪を勧めたんだろう、などと考えながら、僕は定員さんの質問に答える。


「10000円くらいです。」


「じゃあ、これとかどうですか?」


 そして、店員さんがどこかに走っていくと、すぐに戻ってきた。


 さっきまでの店員さんと違うところがあるとすれば、何種類かのネックレスと、2つの指輪を持ってきたというところだろう。


「なんで指輪は同じ種類のものが2つなんですか?」


「えーっと、あなたも付けないのですか?付き合っているんでしょ。なら、2人一緒のペアルックとかだといいんじゃないですか……?」 


「な、つ、付き合ってなんていませんよ。」


「えっ……そうなんですか。なら、好きな人なんで……」


「だから、好きでもなんでもありませんって!」


 うぅー……。なんでこんなに好きとか付き合っているとか言われているんだろうと思い、原因を考えてみることにした。


 うん。分かんない。


 そんなことを考えていると、店員さんが間接的に答えを教えてくれた。


「じゃあ、なんでその人の誕生日プレゼントを買うんですか?」


「ん?いや、待ってください。ちょっと聞いていいですか。なんで指輪を勧めているんですか?」


「それは、結婚ゆ………」


「なんでそうなるんですか!そのために指輪を買うんなら、指輪専門店のところとかでかいますよ!」


 などと、言っているうちに時間がどんどん失われていってしまうので、すぐやめにした。


 そして、僕は結局、ネックレスを買うことにした。柄はどんなものがいいのか分からなかったので、店員さんに教えてもらって、ハートのネックレスを僕用と2つ買うことにした。


 ……ちなみに、ハート型だと、なにか意味あるんじゃないかと聞いてみたが、店員さんは、女の子だから、って言っていたので信じてそれに決めたのだった。

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