第18話 学校初日
彩人との会話も終わり、彩人が身体を前に向けると、そのタイミングで先生が教室の中に入ってきた。
すると、彩人が「すげえな、日陰のほうが正しかったな。」と、小さな声で言ってくれた。
「おぉ、みんなはじめまして。この組の担任となった。佐藤だ。詳しい自己紹介は、自己紹介のときにするので、とりあえず今は佐藤先生だ。よろしくな!」
「あっ、それでそろそろ入学式が始まるぞ。番号順で廊下にならんでくれ!」
うわー……。日向系の騒がしそうな人多すぎじゃない?先生までって……。いろいろと騒がしいクラスになりそうだな……。
……でも、ポジティブに考えたら、元気なクラス……かな?
そう考えながら、先生の言うとおりに廊下に並んだ。これはあいうえお順なので、席の並びと全く同じだ。だから、隣は日向。
全員が並ぶと、先生が歩き始めた。そして、前の人は先生についていって、後ろの人もそれについていった。
体育館につくと、そこには1年1組と1年2組がもう並んでいた。今日は入学式なので、2年生以上は、体育館に来ていない。
今年の1年生は約160人くらい。そのため、全部で4組ある。
3組が体育館に置いてあるパイプ椅子に座ると同時に4組が来た。
そして、1年生全員が集まると、入学式が始まった。
まず最初に行われるのは、校長先生の話だ。校長先生が呼ばれると同時に、体育館の横側にいるおじいちゃんは立ち上がると、他の先生方に礼をした。そして、体育館の台に上がると、話を始めた。
「皆さん、おはようございます。そして、ご入学おめでとうございます。今日は……。」
と、10分くらいの長い話を聞き続ける。
……いや、別に全部聞いているっていうか、10割聞き流しているけどね。
それにしても、この話、絶対に偉い人の話は長いから、僕もやってみよー!みたいな感じでおじいちゃん、話を伸ばそうとしているよね。
だってどうでもいい事ばっかりじゃん。例えば、今年は少し冷えていますねー、とか、4月になり、桜もきれいになってきましたねー、とか、必要ないよね!
などと突っ込んでいると、新入生代表の話になったみたいだった。
そして、それが誰かというと……それはもちろん日向です!体育館に来るまでは隣にいたんだけど、ついたら、その途端に一人だけ外れてどこかに行っていたからね。分かっていたんです。
「皆さん、おはようございます。そして……。」
こっちはちゃんと…………分かっていない!!やっぱり話がすごい長い!これも遺伝するの……?
などと自分でボケて自分でツッコむという、しょうもないことをしていると、これも終わって、それどころか入学式が終わっていた。
そして、後で彩人に聞いたことなのだが、入学式は校長先生のお話と新入生代表のお話、この高校の校歌を歌って終わりらしい。
気づかないうちに、校歌、あったんだな……。
まぁ、そして再びクラスごとに並び、教室まで戻ってきた。
そして、先生が、全員座ったことを確認すると、話し始めた。
「はい、全員席に座ったな!じゃあみんなのことを知っていくために自己紹介しようと思う。」
「でも、ちゃんと自己紹介したいっていう人がいるだろ?だから、今から自己紹介用紙を渡すから、それを埋めてきてくれ。」
「明日、1分、2分ぐらいで自己紹介するからな。ちゃんとやってこいよー!」
そして、まず自己紹介用紙の事について一通り話してから、みんなに自己紹介用紙を配り始めた。
「日陰、どうぞ!」
彩人が僕に紙を回す。そして、1枚取ると後ろの人に紙を回す。
「……はい。」
「あ、ありがとう。」
初日で最初の会話だからか、すこしぎこちない。まぁ、彩人との会話は問題なくなってきたが。
そして、後ろに振り返っていた首を元に戻し、紙の方を見てみると、そこにはいろんな欄があった。
「ふむ。えーっと、出身中学校に、得意なことや苦手なこと、あと、趣味や……。」
「……多いな……。」
先生ちょっと初めてだからって張り切りすぎたのかな?なんて思っていると、先生の話が再開した。
「じゃあ、今日は初日だし、ここで終わりにするぞ!」
「はい、起立!」
起立っという声とともに、椅子の音がガタガタ響く。僕もうるさいなーなんて思いながら、立ち上がる。
「さようなら!」
「「「「「……さようなら。」」」」」
少し協調性がないものの、ちゃんと声を出している人がほとんどで、結構多い。すごいな……。
そして、一斉に扉から人が出ていった。
早く帰りたい人、おおいんだな……。
……まぁぼくも、どちらかと言えばはやく帰りたい派なんだけどね。
そんなことを、この状況をみて思っていると、日向が話しかけてきた。
「ねぇ、日陰。」
「ん?何?」
「あの、日陰が私の世話係をしていることを学校の中で秘密にしてほしいんだけど。いろいろと迷惑かかると思うし……。」
「ん?いや別に…………あ、そういうことか。うん、分かった。じゃあ、登校とか下校はどうすればいいの?」
「うーん、じゃあ行きは校門まで一緒に行って、帰りは校門で待ち合わせして、一緒に帰るっていうことにする?」
「分かった。じゃあ、僕、校門に先に行っておくよ。」
「本当にありがとう!」
こうして、僕は学校では日向の秘密の世話係として、生活することになった。
そして、それと同時に、僕は日向の人気さを改めて感じることができた。
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