1学期の学校

第16話 学校への登校

「うぅー……。」


 目を覚ますと、現在はもう朝のようだ。いつものように目をこすり、眠気を少しだけ覚ますと、僕は身体を起こしてベッドから出た。


 そして、執事の服を着ようとして、大事なことに気が付いた。


 あれ?今日は高校の入学式じゃね?


 ということにね。


「やばい、昨日なんの用意もしていなかったぞ!えーっと、何がいるんだっけ?」

「あれにこれに、あと……。」

「絶対に高校の入学式初日に遅刻はしたくない!」


 この瞬間、僕のじゅう……何年間の人生で、初めて顔が青ざめたって感じた。


 時計を確認すると、あとのタイムリミットは、50分。そして、登校時間を引くとすると、あと……30分前後ということになる。


 あと、30分でこれだけの量をか……。それに、他にも日向の用意の手伝いもあるしな……。


 そして、まずは日向を起こすことにした。起こせば、少なくとも何かは自分でしてくれるだろうと思ったからだ。


 そして、急いでいたため、扉のノックを忘れてそのまま扉を開けてしまった。


 これが、失敗だった。


「ねえ、日向おき……。」

「……あ。」


 扉を開けると、もう日向は起きていたようだった。まぁ、それだけならもうすごくいいんだけど、それに加えて着替え中だったのだ。


「ごめん!!」


 普段着替えさせるときにはいつも……下着……を、見ることにはなるんだけど……でも、自分で着替えているときに見ちゃうと、すごい恥ずかしいんだけど……!


 僕は1つの新発見をしたのであった。


……ってちがーう!違うんだよ!


 日向が自分でおきているのならいいや。それで、じゃあ次は自分の用意に専念だ!!


 そして、開きながらまた用意をはじめて、なんとか間に合うことができた。


 急いで玄関に向かうと、日向が待ってくれていたみたいだった。


 そして、靴を履くと、2人で「行ってきます」と言い、高校に向かって歩き出した。


「「……ごめん。」」


「「……え?」」


 2つの声が2つ同時に重なった。


 僕と日向は、その偶然に、笑おうとする意思がないのに、なぜだかは分からないけど、少し笑ってしまった。


「それにしても、日向はなんで謝ったの?なにかしたっけ?」


 僕は、どうして謝られたのか気になったので、聞いてみることにした。そしたら、昨日のあの事だと気付いた。


「あれ……だよ。あの……ジェットコースターの時の……手の……こと……。」


「あ……そのこと?そのことなら別にいいよ。別に大丈夫。それにしても、日向は怖がりだったの?」


「違うよ!ほんの少し、緊張したっていうか……。」


 そして、その恥ずかしがっている姿を見て少し可愛いなー、なんて思ってしまった。


 これが、ツンデレ……。


 ぐふっ……。


 その後に、僕は、そんなことを考えている僕に気付いて少し恥ずかしかった。


「そうだ、日陰はなんで謝ったの……?」


「えっ、それは、あのーノックもしないでの部屋に入っちゃって……それで……。」


「それなら、別にいいじゃん。だって、私の下着姿くらい、着替えのときにいつも見ているでしょ?」


「ま、まぁそうではあるんだけど……。」


「よしっ、なら私のことは、そのノックもしないで入った罰でチャラにする。それで、ノックもしないで入っちゃったことは、私の事で、チャラにする。」

「それでいい?」


「……うん。」


 そして、そんな話をしていると、気づかない間に、学校についたみたいだった。


「あれかな?クラス分けが書いてあるの?」


 日向が指差した先には、立て看板がおいてあって、そこには、クラス分けが書いてあるようだった。


「そうだろうね。えーっと……」


 そして、僕の名前が書いてあるとこと、ついでに日向の名前も探した。すると、その2つの名前が、同じクラスのところに書いてあることが分かった。


 なぜなら、男子と女子の名前が隣どうしで、出席番号順に並んでいたんだけれど、それで僕が書かれている名前のところと、日向が書かれている名前のところが偶然にも隣だったからだ。


「やったー!同じだね。」


「うん、そうだ。本当に良かったよ。」


 その後、そんな会話をしながら、僕らは僕らの向かうべき教室に、歩いて向かった。



 このときに、僕は、いつもの日常によって、大事なことを忘れていた。


 日向は、クラスの、いや、それどころか中学校の中心人物であるということを。


 そして、そのことを知っている人が、この高校にも大勢いるということを。

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