第15話 遊園地 2

「おぉー!メリーゴーラウンドって意外に大きいんだな……。すごいびっくりしたよ。」


「でしょー!」


「ん?なんで、日向が自慢げになるんだ?」


「いやいや、私が知っているものをすごいって言われたら、何か誇らしく感じない?」


「そうかな?」


 そして、僕はメリーゴーラウンドに乗ってみることにした。木馬に乗って、そのことを確認したここの従業員は、機械を起動させた。


 木馬は、揺れながら回転していって、他の人からみたら、まるで騎士になったかのよう……には見えないだろうけど、僕から目線だと、そう感じる。


 周りから見られるっていうのは恥ずかしそうだな、などと、木馬に乗る前まではそう思っていたけど、興奮状態のほうが勝って、いざ乗っていると気にすることはなかった。


「楽しかったねー!でも、少し酔っちゃったよ。」


「え、お酒で?いつの間に飲んでいたの?それに、飲酒は20歳になってからじゃないとだめなんだよ?」


「……なんでそうなるの?いや、回ったから酔っちゃったんだよ?」


「ふふっ、でも、本当に楽しかったよ。」

「じゃあ、次は、ジェットコースターか……。なんだか怖くなってきたよ……。」


「……ふふっ、怖いけど、でも楽しいよ!」


 そして、次はジェットコースターの乗り場に向かった。


 つくと、そこには木の立て看板がおいてあって、そこには待ち時間が書かれていた。


「あと30分だって。どうするべきかな?日向はこういうときはどうするの?」


「うーん、30分なら短い方だったと思うよ。だから、日陰は並んでて。私は何か飲み物を買ってくるから。」


「えっでも……。」


「飲み物どこで売っているのか知っているの?私知っているから、私のほうが早いでしょ?」 


 そして、正論だな、と考え、日向に飲み物を買ってもらうことにした。


「じゃあお願い。」


「よしっ、任された!」


 それにしても、待ち時間が30分で短い方だったなんて、結構人気なんだなー、なんて考えながら待っていると、5分ほどで2つの飲み物を両手で持った日向が帰ってきた。


「おかえり。」


「ただいまー!」


 そして、その後も20分前後、飲み物を飲みながら待っていると、僕たちの順番になったらしい。


「ふぅ、緊張するな……。」


 ジェットコースターの席で、僕は1番先の列に並ぶことになった。


うっ……。一番怖いところだよね……。


 そして、ジェットコースターの席が動き始めた。最初の方はゆっくりで、速さを慣れさせるためにはちょうど良かった。


「ねぇ。」


 隣から、声が聞こえた。そして、それが僕に向けられた声であることに気づくと、首を曲げて、僕は横に振り向いた。


「ジェットコースター、初めてなんだよね……。今になってすごい緊張してきたんだけど……。」


「えっ!?そうなの?」


「……うん。」


「でも、なんか知っているふうに話してたよね。あれは……?」


「適当に言っただけだよ……。」


 うわっ、今になってそういうことは言わないでくれよ。なんだか怖くなってきたじゃないか。


 なんて話をしていると、急降下するところがもう直前まで来ていた。


やばっ!


 そして、そう思う暇もなく僕たちは急降下していった。その時のことだった。


……え?


 僕は、手になにか当たるのを感じた。そして、それは感触や温度から誰かの手だということがわかった。気づくと、隣には僕の手を握っている日向がいた。


 でも、恥ずかしいだなんて思えない。なぜなら……


 ……急降下しているから。


「うわぁぁぁぁぁ!!」


 僕は思わず、すこしはしたない声を出してしまったような気がする。自分からわざと出したわけではないから、少し不明な点はあるのだが……。


 ジェットコースターが終わると、なぜか今になって、日向が手をつないでいた記憶がもとに戻り、すごく恥ずかくなってきた。


 

 そして、どうして手をつないだのか聞こうとしたのだが、聞かないことにした。なぜなら、それは隣を見るとすぐにわかる。


 隣にいる、顔を赤くしている日向の姿を見ると。


 たぶん、こわさのあまり、手を繋いでしまったんだろうと考えられる。そして、それは故意などではなく、多分過失での出来事だろう。


 まぁ、気にしているようなので、僕は問わないから分からないけど……。


 そして、他にもいろんなところをまわった。でも、さっきまでのすごい元気な日向ではなく、少し恥ずかしがっていて、少しむりやり元気にして、紛らわそうとしている日向の姿があった。


 昼になり、お婆ちゃん、おじいちゃんと集合して、水谷家で食べた豪華な料理とはまた違った、派手な料理を食べて1日が終わった。


 そして、その日の帰り道に事件は起こった。


 帰りの予定時刻は、夕方の6時前後となっていたのだが、大大大大大渋滞が起こったのだ。大が多すぎなのは、本当に大げさなどではない。だから、気にしないでほしい。


 おかげで、2時間も遅れて家に帰宅した。


 その後は、急いで晩ごはんを済ませ、お風呂を済ませ、日向の就寝準備をすませた。


 そして、気付くと、もう10時になっていた。そして、僕は疲れたのでベッドで眠ることにした。


 学校の準備がまだまだ残っているのも忘れて……。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る