第11話 勉強会 2
勉強会が始まって5分が経過した。
日向はわからないところの勉強を友達に教わっているようだった。でも、それが少し信じられなかった。
なぜなら、やけに日向が友達に質問する回数が多かったからだ。
水谷さんは、学校でも勉強もできて運動もできて、もう完璧な人だと噂だが聞いたことがある。
でも、もしかしてだけど、噂はにせものだったりするのかな?と、この状況をみると、そう僕は考えてしまう。
でも、そう考えれば納得はいくかもしれない。毎日、休日は寝てばかりでほとんど動かない。そのため、運動神経が上手だと噂ででているのは、分からないけどきっとそうだという仮定で誰かが流しているのでは?
それに勉強も。実際にテストの本体は見たことないんだし……。それに、この学校は成績優秀者でもどこにも載ったりすることはないし……。
なら、よく合格できたな。もしかしたらだけど、おじいさんのコネだったりとかするのか?なんて、少しひどいような気がするけど、考えてみる。
そして、友達2人に教えてもらっても、何がなんだかわからないって顔をしていた。やっぱりそうだったのかな?なんて考えながら、日向のお婆ちゃんが日向のおじいさんに頼んで用意してくれた勉強教材を解いていた。
そして、10分が経過した。
日向の勉強が、ほとんど進んでいなかった。
その進度はこの10分間でまだ1問も解けていないというとんでもなく遅いペースだった。というかもう、だんだんだらけはじめている。
次に、友達を見てみると、10分間で2、3問のペースだった。
友達に関しては、普通だなー。
でも、日向はまだ1問も解けていないって……。友達さんがさっき教えているのを聞いていたけど、まぁまぁ上手だったし。これくらいなら、ある程度の人は理解できるレベルだったよ。
さらに、日向に教えながらもう2、3問も解いているしな。
勉強教えてあげるよ、とかいっていたけど、本当は逆じゃない?どう見ても日向の方が、頭悪いよね……。もしかしてだけど、教えてもらうために勉強会を開いたのかな?
……あ、人を悪く言うのはだめだから、控えよう……。
そして、「ごめん」と、心の中で1言謝っておく。
「……はぁ」
それにしても、どうしたら、日向が集中できるようになるかなー……?
あっ!いいこと思いついちゃった。
「あっ、お菓子を取ってきます。」
僕は日向に対して、まぁでも、表面的にはみんなに対してそう言った。
「ほんとに?」
すると、日向がそう返してきた。
よし!反応している!これならなんとか!
「問題を解いたひとはね。」
そして、日向に勉強をさせるため、僕は日向が勉強してくれる魔法のコトバを1言、言った。
すると、その途端に、日向はもう一度集中しはじめた。
よし、成功した!
そして、部屋から出ると、僕は食堂の方に向かった。その後に、すぐ近くにいたメイドさんに向かって、お菓子がほしいというと、すぐに用意してくれた。
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。日向様は、ちゃんと勉強しておられますか?」
「うーん、なんとかってところですかね。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「……いえ。」
お菓子をもらうと、僕はお礼をした。
すごい用意はやいなー、とか考えながら、僕は僕の部屋に向かった。
そして、僕は驚いた。扉を開けると、もう日向が机で倒れていた。
「……な、なんで」
さすがにギブアップが早すぎるだろ……。魔法のコトバが弱すぎるのか?それとも、魔法のコトバに対する耐性が強いのか……?
よし、こうなったらしょうがない。僕が教えてあげることにするか。
「日向、もう、僕が教えてあげるよ。」
すると、日向が少し元気になったような気がした。
「本当?」
「う、うん」
そして、僕が教えることになった。
ぼくは、知っての通り、頭は結構いい方だと僕の中では思っている。では、それはなぜなのか。
答えは、何もすることのない暇な時間を勉強に費やしていたからだ。
なんの役も立たないとか思っていたけど、こんなところで役立つとは思いもしなかった。
とりあえず、このお菓子を先に友達2人に渡しておこうか。
「は、はい、これ。先に食べておいて」
そう思って、先に2人の友達の方に向かってお菓子を渡そうとすると、なぜか友達たちは、ニヤニヤと笑っていた。
え?なんで笑っているの?
そして、その理由はすぐに分かった。友達2人が、その理由を教えてくれたからだ。
「ねぇ、日陰くんは、日向のこと、『日向』って呼び捨てで呼ぶんだね。」
そう、僕に言った。
……………あ!
うわあぁぁぁあああ!!
人前では、自分の中で、名前ではなく名字で呼ぼうと決めて言わないようにしようとしてたことを忘れてた!
「あ、これは、いや、その……」
「ふふふふっ。」
うぅぅーー……。
失敗したー。
「……でも、あの、日向が『日向』って呼べって言ったから呼んでいるんだよ……。」
「へぇーー、でもちゃんと呼んでいるんだねー。」
「うぅぅー……。」
「で、勉強教えて?」
「……あ、うん。」
そして、勉強を教えている時も、たまに僕が勉強教えているところを見て、友達達はクスクスと笑っていた。
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