第7話 水谷さんとのお出かけ 1
「キャアーーーーーーッ!」
「うわぁ!」
水谷さんの大きな悲鳴によって、僕は目を覚ました。
びっくりしたー……。何があったんだ?
そして、後ろを見てみると、そこには僕に抱きついている水谷さんの姿があったのでした。
チャンチャン!
そして、いったんベットから出て、話し合うことにした。
「……ごめん。」
僕が悪いのは明らかなのに、水谷さんは僕が悪いと思っているどころか、一応なぜか悪いと思っているのか、僕に対して謝っていた。
そして、その声は恥ずかしさからか、声が少し震えていて、顔をほんのりと赤くしていた。
「いや、僕がここで寝ちゃったのがいけないんだから。僕の方こそ、ごめん。」
「そ、そうだよ。なんでここで寝てたの?」
水谷さんは、僕に対して、首を傾げながら、まだ顔が少し赤い状態のまま不思議そうに尋ねる。
「い、いや。掃除をしていて、で、疲れたから休ませてもらおうということでベッドの端を借りさせてもらおうということになって、寝転がっていたらこうなったんだよ。」
「ふーん……まぁ、しょうがないな……とも言い切れるかは分かんないけど、分かった。じゃあ、私の言うことをひとつ聞く!それで許してあげることにしよう!」
なぜか水谷さんはその場で立つと、片方の手を腰にかけて、もう片方の手の人差し指を、僕に対して指して、そう言う。
「ま、まあいいよ。で、なに?」
何されるんだろう……。
「えーっと、買い物に付き合って。」
「私ね、買いたいものがたくさんあるんだ。でも、私だけだと、ちょっと恥ずかしくて行きにくくて……。だから、一緒に来てください!」
僕は、そのときに不思議に思った。なぜなら、もう少しひど目のことでもいうのかな……?などと思っていたからだ。
かといって、そんなにひどいこともなにも思いつかたので、取りあえず、たとえは言わずに、言ってみることにする。
「そ、そんなんでいいの?それくらいなら、別に構わないよ。」
「……え、なにすると思ってたの?」
しかし、聞かれてしまったため、考えないといけなくなった。
うぅー、なんだろう?
えーっと、僕がきついこと?
あ!
「あ、そうだ。ご飯ぬく、とか?」
「………プッ、ハハハハハッ」
「それ、面白いね!」
そんなに面白いこと、言ったかなー?
なんて考えていると、水谷さんの次の1言で、この話は終わることとなった。
「ま、お願いね。」
「……はい、分かりました。」
「あっ!」
「ん?なんですか」
「私に対して、敬語禁止。ね?」
「あと、水谷さんじゃなくて、日向。なんかかたぐるしいのは嫌だから。同級生だったんだから。」
「……え。」
「ね?」
「いや……」
「ね?」
うっ……。女性の「ね?」ってなにかよく分からないけどすごく怖いよね……。なにか断れない雰囲気が絶対に出てるよ。
と、何かに訴えかけながら、僕は承諾することにした。
「わかりま………分かった。」
「よし!」
そういえば、日向と日陰って名前の意味逆だな。っていうか、性格も逆だな。ホントに名前がぴったりな感じだ。
そして、自分の部屋に戻ると、服を執事さんの服から、出かける用の服に着替えた。
階段を下りて、玄関に向かうと、もう水谷さ……日向は、玄関で待っていた。
「遅いよ」
「すみま……ごめん。」
まだなれないな。一人でいるときは大丈夫なんだけど目上の人と話すときってどうしても敬語になっちゃうよね。
……日向は目上の人なのかはわからないんだけど……。
「ほら、急いで急いで。」
そして、ここからすぐ近くのショッピングモールに向かって歩いていった。
そして、5分ほどたった頃。
「とうちゃーーく!」
「ふぅーー、疲れたー。」
「えーー、もう疲れたの?体力、ないんじゃないの?」
「普通、でしょ?」
などと、日常的な会話……?っていうか、まぁ世間話的なものをしながら行き先である店に向かった。
「ここ、かな?」
「……あの、ここ?」
「うん、そうだけど?」
ここは、服屋だった。
日向の事だから、真っ先に食べ物とか買うんじゃないかなーとか思っていたけど、意外に普通なんだなー。
それに、服とか興味ないと思っていたし……。あ、これは偏見なのかな?
「あの、水た……日向……は、服とか興味あるの?」
「え、もしかしてなんか馬鹿にしてる?」
「いやいや、別にちがうよ。」
「でも私、女の子なんだよ?」
「僕も学校にいたときはほんとに綺麗な女の子だなーとか思ってたけ……」
「え、今、綺麗なとかなんとか言わなかった?」
「……うん?………えっ?あっ……ちょっ……!」
やべっ、失敗した。などと考えていると、このままでは誤解されて、いろいろと終わりそうなので、一生懸命頑張って解くことにした。
「ふふふ。そうなんだーー!」
「いや、合っているけど違うんだよー!」
「えっ、合ってるの?」
「もーー!」
そして、何分もかけてなんとかなだめるっていうか解決させることに成功した。
で、話は服に戻った。
「ねぇ、日陰くん、これとかどうかな?」
「え、僕に聞く?……日向……は、女の子なんでしよ?」
ん?
「え、今、なぜか知らないんだけど、日陰くんって聞こえ……」
「うん。言ったよ?」
「……え?」
「だって、一緒に住んでるんだよー。名字で呼ぶってなんか嫌じゃない?」
「う、うーん……?」
うーん……、一緒に住んでいるのは住んでいるんだけど……、なんか違うような?違わないのかな……?
「それで、私は男の子から見た私の感じを見たいんだよ?」
正直、よくわからない。
普通にただ可愛いとだけはわかるけど、でも、言いにくいし、それに日向は多分お譲様っていう分類に入るんだろうし、本格的なことを求めているだろうし……。
一応、料理とか作れるし、裁縫もできる。自分で言うのもなんだが、男子ではあるけど、一応女子力高めのつもりだ。
女子力をなめているのかもしれないんだけれど……。
でも、だからなにか、それっぽいことでも言わないと……。
「………。」
全然でてこない。料理とか裁縫とか出来てても、服は男物のしか着ないし、女物の服とか全然わからない。
いや、待てよ。幼稚園生、小学生あたりで、お母さんに女物の服とか、かわいいかわいいなんて言って、すごく着せてきたときあったよなー。
これは、僕の汚点だな。黒歴史とか言うんだっけ。
「………。」
でも、それは結局子供物。
降参だ……。
「うん、まぁいいんじゃない?」
取りあえず適当に答えておいた。
「……適当に答えているでしょ。」
……え?
なぜわかる!?
水谷家系は、全員が心がよめるのか!?
「うん……。」
「やっぱりねー?」
「あまりにも気持ちが入ってなかったもんだから。ふふっ。」
「うぅーー……。でも、小学生並みの感想でいいなら…………かわ…い…い…と思…う…けど……。」
なにも案がなく、思わず最初に思ったことを言ってしまった。
「……そうなんだ……。」
そのためか、日向は少し顔が赤かったが、メイドさんや執事さんにも、あと中学校の同級生にも何回も言われていると思うし、多分気のせいだろう。
それに、僕なんかが言っても照れないだろうしな……。
すごい自意識過剰だな……。
っていうか、こっちのほうが問題で、分からないけど、僕の顔が赤い気がする。見られたら恥ずかしいな
そう考え、僕は少し日向から目を背ける。
まぁその後は結局、その後に選んではその案を捨てて、選んでは捨てて、を繰り返して、結局その後、約30分くらいかけてふつうにいいなーと思う服を選んだとさ。
そして、ちなみに僕の服も選んでくれた……。
この服は、大事にしようと思う。
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