第31話 開始

 藤咲さんに精神的ダメージを与えられた次の日、早速大翔は先生から松葉杖を受取りに行くことにした。


 昨日のこともあって大翔的には複雑だが、先生のもとまで正真正銘最後の車いすを、藤咲さんに押して行ってもらった。


 その途中、藤咲さんは昨日のことをまるで忘れてしまったかのように普段通りに話しかけてきたので、ふてくされた大翔は今日は絶対に藤咲さんと話さないことに決めた。


 その後すぐに、車いすと別れを済ませ、先生から大翔の身長に合わせて調整された松葉杖を受取った。


 (よし。まずは松葉杖これを完全に使いこなして外できるだけ早く退院しよう。)


 先生から軽い説明を受けた後、これからの大翔のリハビリを手伝ってくれる先生がいるというので、その人のもとへ行くことにした。


 しかし、先生がいる部屋まではそこまで遠くないはずなのだが、慣れない松葉杖のせいでかなりの時間がかかってしまった。


 言われた部屋に着いた頃には少し汗ばんでしまっていた。


「松葉杖の使い方を教わりに来ました内山です。」


 どんな先生が待っているのかと少し緊張しながらドアをノックする。


 「はーい。どうぞはいってくださーい。」


 「ん?」


 (今のは俺の聞き間違いだろうか。この部屋から今日一番聞きたくない声が聞こえた気がする。)


 一瞬ある人の顔が大翔の頭をよぎったが、まさかそんなことはないだろうと、意を決してドアを開く。


 「こんにちは!君に松葉杖の使い方やその他もろもろを教える理学療法士の藤咲です。よろしくね大翔君。」


 ドアを開いた先で待っていたのは、部屋の真ん中で腕を組んでいる藤咲さんだった。


 「は?理学療法士?なんで藤咲さんが?」


 「ということで今日からよろしくね。これからは大翔君が松葉杖無しでも歩けるようになるまで、私と一緒に頑張ろうね。」


 「ちょ、ちょっと待ってください。どういうことですか?なんで藤咲さんがここに?」


 予想外すぎる展開に頭が全く追いつかない。


 「だから、私が君の担当なんだって。」


 「いや、そんな当たり前のことみたいに言われてもわけわかんないですよ。?藤咲さん看護師じゃないんですか?」


 「あれ、言ってなかったっけ?理学療法士の資格持ってるって。」


 「初耳ですよ!」


 藤咲さんの発言が理解できない。というよりも、理解したくない。


 「今は私のことはどうでもいいでしょ。そんなことより早く始めるよ。安心して、腕は確かだから。」


 「安心してって、藤咲さんだから心配なんですよ。ていうかなんで藤咲さんなんですか。他に人はいないんですか。」


 腕は確かと本人から言われても、藤咲さんのことを知っている大翔だからこそ、余計に心配だ。


 「他にもいないってわけじゃないんだけどね。ほら、前にも言ったでしょ?今は病院全体が忙しい時期だって。」


 「それで藤咲さんが選ばれたってことですか、、、」


 「そういうこと。まあ安心してよ。大翔君は運動神経よさそうだから毎日コツコツやっていけばちゃんと歩けるようになるよ。」


 不安はかなりある。だが、藤咲さん以外に頼れる人がいないので、残念ながら今は藤咲さんを信用するしかない。


 「わかりました。わがままは言えないですからね。そのかわり、藤咲さんも真面目にやってくださいよ。」


 「任せてよ。でも大翔君も覚悟してよね、普段の私からは想像できないほどスパルタに行くからね。」


 「はい。」


 こうして藤咲さんとのリハビリが始まった。


 とりあえず今日は松葉杖に慣れようということで、藤咲さんから使い方を教わり、早速実践開始することにした。


 一通り藤咲さんに言われた通りにやってみて、その後藤咲さんからアドバイスをもらい、再び挑戦する。――――――


 「いい感じだね。すっかり使いこなせてるよ。」


 30分ほどこれを繰り返しをしていたところ、自分の手足のようにすっかり使いこなせるようになった。


 最初は不安だった藤咲さんとのリハビリも、大翔的にはかなりやりやすかった。


 藤咲さんのアドバイスはかなり的確なもので、資格を持っているというのを若干疑っていた大翔も、さすがに認めざるを得なかった。


 「よし。とりあえず今日はここまでかな。」


 「お疲れさまでした。」


 「お疲れー。いやー。さすがはサッカー部だね。この調子なら明日からも順調に進みそうだよ。」


 「ありがとうございます。明日からもお願いしますね。」


 早速リハビリのおかげで使えるようになった松葉杖を使って部屋に戻る。


 この部屋からはそう遠くはないので、特訓のせいもあってかすぐにたどり着くことができた。


 部屋に着き、久しぶりの運動で疲れた体を癒すために早速ベットの上で横になる。


 すると、自分でも気が付かないうちに体の方はかなり疲弊していたようで、すぐに眠くなってきてしまったので眠ろうとする。


 だが、眠ろうとする大翔の視界に入り込んでくる人影のせいでなかなか眠ることができない。


 「・・・って、なんで藤咲さんついてくるんですか?」


 

【あとがき】

 変なところで終わらせてしまってすいません。少し時間が足りなくて中途半端になってしまいました。次からは今回のようなことがないように気を付けます。


コメント、フォロー待ってます!作品を評価してくれると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る