第16話 クリスマスプレゼント①

 藤咲さんに遊ばれた翌日。そう、今日はクリスマス当日。


 朝起きてすぐ、スマホを確認し、美零さんからメールが来ていないかを確認した。


 確認すると、美零さんからメールが一通来ていた。このメール1つで、今年のクリスマスのすべてが決まる。


 恐る恐る美零さんから来たメールを開ける。


 『明日は5時くらいに行く予定だよ。ケーキも持ってくから、楽しみに待っててねー!』


 よっしゃあああああ!やっぱり昨日はただ単に用事があっただけなんだ!


 美零さんに彼氏がいるのかもしれないという疑惑が昨日上がって、今日も来てくれないんじゃないかと心配をしていたけど、きてくれるみたいでよかった。


 もし彼氏がいるのだとしたら、クリスマスの5時頃にこんなところには来れないだろう。


 ひとりで勝手に喜んでいるところへ、藤咲さんが朝ご飯を持ってきてくれた。


 「メリークリスマス!って、朝から何をそんなにはしゃいでるの。君はまだ安静にしてないといけないんだからね」


 「おはようございます。見てください藤咲さん。このメールを!」


 美零さんからのメールを藤咲さんに自慢げに見せつける。


 「おー。一応は来てくれるみたいだね。でもまだわかんないよ」


 「5時ですよ。もうその時には暗くなってる頃だから、彼氏がいたら普通イルミネーションとか見に行きますよね」


 「まあそうだね。でもこの病院の近くにもイルミネーションあるんだよ。ささっと帰って病院の外で待ち合わせとか」


 「藤咲さんは何でそんなマイナスなことしか言えないんですか。あ、そうか、自分がクリぼっちだからって悔しいんですね。安心してください。藤咲さんは十分魅力的な人ですよ(笑)」


 「生意気な!そんなんじゃないよ。そもそも天音さんは彼女じゃないって自分で言ってたじゃん。ってことは私と同じだよ」


 「彼女じゃないけどぼっちでもありません。藤咲さんとは違います」


 ドヤ顔をしながら、勝ち誇ったようにスマホを藤咲さんに見せつける。


 「あー。もういいですよ。せっかくプレゼントあげようと思ったんだけどな。意地悪するからやめよっかな」


 「え、ホントですか。昨日の仕返しをしようと思って調子に乗りすぎました。すいませんでしたぁ!」


 「本当にそうだよ。最近の大翔君は私のことなめすぎだよ。反省してますか?」


 「反省してます。これからは藤咲さんをもっともっと尊敬します」


 「そこまでしなくてもいいけど。いいでしょう。大翔君にクリスマスプレゼントをあげましょう」


 藤咲さんはご飯を運ぶ配膳車に隠していた、おしゃれな英字がプリントされた紙袋を持ってきた。


 「はい。お姉さんからのクリスマスプレゼント」


 どうしてこの人は、こんなにお姉さんキャラを強調してくるのか。お姉さん要素皆無なのに。


 「ありがとうございます!中開けてもいいですか」


 「うん。いいよ」


 藤咲さんに許可を取り、袋の中に入っていた小さな箱を開けると、品のあるおしゃれなハンカチが入っていた。


 「ハンカチだ。ありがとうございます!一生大事にします」


 「うんうん。大切に使ってくれると私もうれしいよ」


 「よっしゃー!めっちゃうれしい。家族以外の人からプレゼントもらったの初めてです」


 「そうなんだ。そんなに喜んでもらえると私も嬉しいよ」


 「でもすいません。病院の外に出られなくって、藤咲さんに何も返せなくて」


 藤咲さんからプレゼントをもらったのに、今は何も返すことができないのがとても悔しい。


 「いいんだよ。私が渡したいから勝手に渡しただけだし」


 「本当にすいません。あ、退院したらちゃんとお返しします」


 「別にそんなに気にしないでいいのに。まあ期待して待ってるよ」


 「はい。リハビリ頑張って、できるだけ早くお返しします」


これでリハビリを頑張る理由がもう一つ増えた。


 「ふふっ。こんなに喜んでくれるとは思わなかったから、私もうれしいよ。そろそろ時間だからもう行くね」


 「はい。ありがとうございました。もしかしてほかの患者さんにも配りに行くんですか?看護師さんは大変ですね」


 「この病院に患者さんが何人いると思ってるの。これは仕事じゃないよ。言ったじゃん。渡したいから渡したって」


 「え?」


 「そのハンカチよく見てみな。それじゃ、またねー」


 藤咲さんが部屋を出て行ったあと、もらったハンカチをよく見てみると、ハンカチの隅に、〈Hiroto.U〉と刺繍されていた。


 これって本当に仕事とか関係ないやつ!?これは本当にワンチャンあるのでは!?



【あとがき】

 つい先日PV数が1000を超えました!

 これまで読んでくれていた皆さんには感謝しかありません。本当にありがとうございます。

 少しでもこの作品を応援してくれる人がいることがすごい嬉しいです。これからも、読者の皆さんに楽しんでもらえるような作品を作っていけるように、頑張ります!

コメント、フォロー待ってます!作品を評価してくれると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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