1話 風呂場で擬態する綾香を妄想(変態)

 とりあえず世間的には同棲カップルということにしておいた。あまりにも急展開過ぎて親が理解出来るとは思えねーしな。

「ちょっと散らかってるけど、遠慮せずあがってよ」

「にへへ、歩くん」

「ん、何?」

「ただいま🎵」

「おかえりーーーー!!!」

 思わず心の声ごと発してしまった。初日から苦情きたらどうしよ。

 うちに寄るついでに、綾香の荷物を少し取りにも行った。もちろん、その荷物は俺が持ったぞ。まずはさりげないエスコート、これが鉄則。

「じゃあ、お風呂用意しといてくれる?私は晩ごはん作るから」

「はい、喜んで!!」

 厳密には少し違うが、初めての愛の共同作業では!?いや、産業革命以来、分業こそが至高なのだ。ケーキ入刀をしているときは、お皿とフォークを用意する。これこそが円満な結婚生活を予感させるではないか!

 普段は適当に済ます所も余すところなくピカピカに仕上げた。この真っ白になった風呂場に綾香が入っては、もうどこまでが綾香の身体で、どこまでが風呂の色なのかわからないだろう。ん、そうだ、他も掃除をしなければ!綾香に散らかってるという、初歩的な事で愛想を尽かされては諦めるに諦めきれない!

「うぉぉーーーー!!!!」

 超絶怒濤の早業で家中くまなく綺麗にしていく。綾香は一瞬きょとんとしていたが、にっこりと笑って料理へ戻る。かわいい(かわいい)。

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