2話 幸せな1日は長い方が良いよな?

「おまたせ~」

 初めての、ゴクッ、手料理!!!

「いただいてもよろしいでしょうか」

「召し上がれ。てか、なんで敬語……」

 豚のしょうが焼きを神妙に口へと運ぶ。遥かいにしえより伝わる神事であるかのように厳かに味わう。

「おいしいです……」

「な、なんで泣いてるの!?」

 恒久の平和を願って、すべての食材に感謝を捧げます。そしてなにより綾香、本当においしいです!!!


「お言葉に甘えて、お風呂お先に入らせてもらうね」

「ゆっくりで良いよ~」

 寂しさが再び部屋へと舞い戻る。可視化された孤独。未だ受け入れきれない現状。百歩譲って俺のことが好きなのは認めよう。うん。でもニートって?いや、でも永久就職と言われる「妻」という仕事は、いわゆる外で働くタイプの仕事じゃないし、そういう意味では普通?専業主婦って言葉を知らない?

「ふぅ~さっぱりした~」

 !!!!!!!!

 先ほどまでのシャツとスカート姿とは一変して、ラフなパーカーとショートパンツ!

 受け入れろ!ラッキーボーイ!お前は今日、幸せを勝ち取ったんだ!余計な事を考えるのは止せ。今はただ風呂へと向かう、まずはそれからだ。

 綾香の香りがした。我ながら気持ち悪いがあえて言おう。リラックス効果抜群!!


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