第3話 ラブドールは死した漫画家の夢をみるか

 〈ツーアームズ・ツーレッグス〉。

 それが日本発の人型ロボットの呼称だ。

 様様な分野に対応して爆発的に高まっていったロボット開発ブームは、最初に軍事用と医療用がメインストリームだった。

 しかし二〇〇〇年代、日本のホビー界で行われた一大イベントがロボット開発に革命的ムーブメントを巻き起こした。

 プラスチック・モデル・レスリング……〈プラレス〉だ。

 ロボットシステムが組み込まれた小型フィギュアレスラーによる、プロレスに準じたルールを持つ格闘技ゲームは、それまでのホビーロボットと遠隔操作とバッテリーとバランサーと格闘用AIが複合したロボット技術の最大級エンターテインメントとなった。

 そして、それはロボット技術の世界的コンベンションでもあった。

 ある時はしなやかに、ある時は重厚に、人と変わらぬ姿の〈プラレスラー〉達は、アニメキャラの様にデコレーションされ、華麗に舞い、素早くリングを走り、ぶつかり、組み合った。

 人間のプロ格闘家と比べて遜色なく、あるいはそれ以上のパフォーマンスを見せる〈プラレスラー〉同士による武闘はプログラミングやハードの性能を日日切磋琢磨していき、どんどん進化していった。

 十年以上前の鈍甲なマシン同士がぎこちなくぶつかり合う戦闘ショーとでは遥かにレベルが違った。

 ルチャ、セメント、ショープロレス、演武。多彩なニーズに応じた〈プラレスラー〉達はある意味、人間以上に人間臭くなっていった。

 その〈プラレス〉技術は様様な分野にフィードバックされていった。

 義手義足等の医療分野。精密に力強く戦う軍事分野。そして性的な恋人の代用〈ラブドール〉だ。

 人型ロボットはAIの発達もあって、人人の生活に身近な物になっていた。その新生活に導入された物の中に、昔はダッチワイフと呼ばれた〈ラブドール〉があった。

 〈オタク〉というのは因果なもので「趣味か? 恋愛か?」を選ぶ決断には、必ず趣味を選んでしまう生き物だ。

 そういった者達の中に愛玩用に〈ツーアームズ・ツーレッグス〉を愛でる者達が現れた。いや、恋だ。代用恋人ではない。彼らは完全に〈ラブドール〉を恋愛対象にしていた。

 ロボットによる恋人は、質感も美観も人間と見まごうほどに高級に進化した。

 柔的な人工素材の肉体の中にAIや人工骨格、人工筋肉を組みこまれ、ある時は豊満に、ある時ははかなさが香る肉体は全く人間に劣るものではなかった。

 〈オタク〉の中には、人間ならば法律に禁じられている未成年に情欲を感じる者は少なくない。

 その理由もあって〈ラブドール〉は幼い身体を模して造られる物が多くなっていた。

「私の母は〈オタク〉で大人の男性を愛せなかったのです。私はその〈イン・キバ〉の射精によって生まれてきたのです」

 るふの告白を、俺はネガティブだと感じとった。

 るふの母親も〈ガイア教徒〉だった。そして技術屋、科学者としても優れた〈オタク〉だった。

 るふの母親は結婚はしたくなかったが、子供は欲しかった。

 それでコンサルタントを通じて精子バンクからデザイン的に知性に優れた特性を持った精子を買い、それをいつもの様に〈イン・キバ〉を愛しながら自分の子宮へ注入、妊娠したのだ。疑似射精機能を持つ男性型〈ラブドール〉は珍しくない。るふの母親はそれを本物の精子を使って行ったという。

 と、いう事はある意味、この少年型〈ラブドール〉は彼女の父親とも言えなくはない。

 〈オタク〉はとんでもない事をする、と嘆く非オタの気分が解った……というのは嘘だ。俺はただ、なるほどとだけ思った。そういう奴をする奴はいるだろう、とただ感心した。

 そうか、〈イン・キバ〉というのはインキュバスのもじりか。インキュバス。夢魔。寝ている女性を犯し、その腹に精液を残すという西洋の怪物だ。

「キバは母親の助手役もこなしていました。母の私的な文書記述をエディタとして行っていたのです」

 そう言ってるふは〈ラブドール〉の右手を持ち上げて、人差し指の先に針で突いた様な小さな黒い穴があるのを俺達に見せた。そこからインクが分泌され、読み上げられた言葉を、精密で華麗な書体として書類に記述していたという。人型の二次元プリンタでもあるのかだ。

「人間の手指を使うという事は英語の筆記体か」

「いえ、母は日本語が主体でした。キバは特に美麗な漢字出力に秀でたエディタ、プリンタでした……キバ」

 名を呼びかけられた美少年の眼が生活的な光を帯びた。こいつは会話の中で出た名前と、呼びかけられた名前を区別出来るのだ。だが、それはたいした事じゃない。今のAIなら普通に出来る事だ。しかし。

「こいつはAIを積んでる割には無感情だな。お前の母ちゃんはそういうのが好みだったのか」

「それもありますが、別の理由で個性を殺されています。キバは〈イタコ〉なんです」

「〈イタコ〉?」

 俺達はヘリが燃える小学校の校庭から出て、ゴーストタウンに乗り捨てられた電気自動車を見つけ、それに乗って移動していた。ワゴンタイプだ。乗り捨てられてバッテリーが上がってるかと思ったが幸運にも動いてくれた。

 路傍の自販機に示されたプレートを見て、ここの住所が解る。横浜付近からヘリに乗せられ、厚木基地をめざした撃墜された中途であるここは大和市だった。

 何処へ行くか。

 俺はとにかく都市国家・川崎まで戻る事に決めた。そこから先は着いた後で考える。本音を言えば、クラッシュした俺のトラックの荷を回収したいが、恐らくは今頃〈ハイウェイ・バンディッツ〉に漁られてるだろう。畜生。

 それにしても〈イタコ〉とは。

 〈イタコ〉とは本来は青森県の恐山に住む霊能力者のみを表す言葉で、恐山にはいないのに〈イタコ〉を名乗る奴はよほど無知な奴か、解っててやってる詐欺師に決まっていた。

 しかし、あまりにも〈イタコ〉を名乗る自称霊能力者が多くなりすぎて、今やその言葉は一般化してしまっている。

 まあ、俺は霊能力なんてもの自体を信じてはないが。

「そのマシンであるロボットが〈イタコ〉というのはどういう事なんだ」

「キバは〈重次元シュレディンガー体〉をその身に召喚するように改造されています」

「〈重次元シュレディンガー体〉?」

「いわゆる幽霊の類いを母はそう呼んでいました」

 どういう母さんだ。一体、何の分野の科学者なんだ。〈ガイア教徒〉の科学者だというんだから相当ぶっ飛んでいるんだろうな。

「オタクはそれを信じてるのか」

「信じるも何もキバを見せられては。……母の最近のテーマは母神である〈ガイア様〉との接触、交流でした。その惑星霊を身に宿す装置としてキバは改造されたのです」

 酢頓狂な彼女の言葉はネガティブ。口から出まかせではない。信じているのだ。母を。霊を身に宿す、それで〈イタコ〉か。ブヒ。「で、それは成功したのか」

「それが……ある程度まで成功したのです。個性のないキバは他の〈重次元シュレディンガー体〉を憑依させる為の憑代として立派に機能しました。……しかしキバが召喚したのは〈ガイア様〉ではありませんでした」

「なら、何?」バックシートに座ったリンが、フロントシートの間から顔を出す。自分から動かないキバは無表情でリンの横で座っている。全裸だった身体は、廃住宅の物干しざおにかかったままのボロボロのシーツで身を覆っている。

「……紙はありませんか」

 るふがそう言うので俺はこの車のダッシュボードを漁った。幸い、B5ほどのスケッチブックがあった。ほとんど、この車の元の持ち主の趣味だったのだろう水彩画のスケッチが描かれてたが白いページもある。

 俺がそれを助手席のるふに渡すと、るふはリンに手渡した。「キバの眼の前で持っていてください。……キバ、このリンさんの似顔絵を描いて。藤子・F・不二雄のタッチで」

 次の瞬間、光沢を帯びた様な輝きがキバの瞳に宿った。

 そして、その白く繊細な手がまるでプロの格闘家が暴漢に向けられたナイフをさばく様に、素早く大胆に動いた。描画の音。その連続する動作はまるで美しい音楽を奏でる音楽家のそれだ。〈ラブドール〉の右手のスケッチブックの上を切りつける様に往復し、その度にインクの艶めかしい黒線が白紙に刻みつけられていく。

 白紙にあっという間に藤子・F・不二雄チックなリンの似顔絵が出来上がっていく。イラストとして効果的なカケアミや斜線、点描等の画面効果も同時進行だ。キバの指先がペンだ。すげえ。岸部露伴か。

 キバの顔が無表情のまま、最後のワンストロークを描き終わってフィニッシュする。

 二〇秒もたたないでスケッチブックには完全に藤子・F・不二雄のタッチを完全再現したリンの顔が出来上がっていた。少少デフォルメが美少女気味だが。

 描き終わったキバは元の無表情に戻った。

「すげえな、これは」俺は運転席で素直に感動した。「漫画家のタッチを完全再現出来るのか」

「もしかして、色色な漫画家のデータがこのキバの中にインストールされてるの?」

 リンはまるで子供にかえった顔で自分の似顔絵を嬉しそうに見つめる。

「いえ、キバの中には漫画家個人のデータなど入っていないはずです。キバは故人の漫画家の名前を言うだけで、そのタッチを再現出来るんです。いや、再現ですらないですね、完全に彼らの絵を描けるんです」

「霊が……〈重次元シュレディンガー体〉が憑依して描くというのか。自動書記か」俺はハンドルを握りながらるふに訊く。

「……というか、母が言うには〈集合無意識〉にアクセスしてるんだろうと」

 〈集合無意識〉。ユングか。霊のクラウドみたいなもんだろうか。

 ふむ。この件にこれ以上関わるのは、トンデモな世界の実在を前提としなけりゃなならない様だな。

 ともかく、るふの発言に俺の〈嘘発見機〉はネガティブを示し続ける。彼女は自分が信じてる意見を発言してるのは間違いない。

「待てよ。その〈ラブドール〉は文書作成のエディタとして使われていたのだろう」

「はい。母が著述するラフなテキストを眼で見たり、言葉を聞いたりし、自分内で文書として編集し、指で紙に出力していました」

「何故、漢字作成に優れたテキスト作成の専門機が漫画の様な絵を描くんだ。文筆家の霊を降ろして小説を執筆する、ならまだワケ解るんだが」

「それには、母の学説があります。母は〈ガイア教〉の意匠や護符を作る仕事もしていたのですが、母が言うには〈漫画〉は漢字の様な意匠文字の一種だと」

 意匠文字? 漫画が? あのページごとの絵とフキダシと効果音とコマ割りによって作られた、あの漫画が。「〈漫画〉が字そのものだと。一部分の書き文字をクローズアップしてではなく」

「ええ。〈漫画〉は漢字の様な部分ごとに意味のあるパーツが組み合わさって出来た意匠文字だとみなせるというんです。えーと、漫画の一ページは多数の記号部分が組み合わさって出来た……〈漢字〉は最も単純な漫画であって、〈漫画〉は超複雑な漢字だと」

 るふの母親は〈漫画オタク〉なんだろうか。まあ、漢字は象形文字がルーツだからな。絵だと言えば、言えるかもしれない。「よく解らんな。それは部首とかが意味のあるパーツで、漢字はそういう意味情報を組み合わせて出来ているから、漫画と同じ様な情報構造体だというのか」

「人が読む事によって意味がある情報を凝縮している、と母は言っていました。漫画の読み方にもルールはあるでしょう、コマを見る順序が。漢字にも書き順がある様に」

「コマ割りされて絵や字が描かれた〈漫画〉を押し縮める、単純化すると漢字になるというのか」

「というより〈護符〉です。情報として意味のある字が組み合わさって力を発揮する」

 トンデモな世界は遠慮したい俺は〈護符〉などというものの効力は信じていないが、彼女の言い分は解ってきた気がする。「ともかくキバは意匠文字の〈護符〉を書くのと同じ原理で〈漫画〉を描く、というんだな」

「ええ。そうです」

「じゃあ、〈護符〉が力を発揮するなら、キバの〈漫画〉も力を発揮出来るんだな」

「ええ。はい」

 言い切っちゃったよ、この娘。

「じゃあ、やってみくれ」俺はそれしか言えなかった。「例えば、電気を意味する〈漫画〉をキバに描かせて、この車に充電してくれ」

 バックシートを振り返ったるふがキバにゆっくりと言葉をかけた。「キバ。韮沢靖のタッチで電気の〈漫画〉を描いて。この車の充電を満タンに出来るくらいの」

 キバの眼に光が宿り、リンが支えているスケッチブックの白いページにこの〈ラブドール〉の白い指が踊った。

 インクの匂い。四〇秒ほどすると、白い紙面には黒線によってセクシーで豊満で肉感的なうる星やつらの〈ラムちゃん〉が背後のコマ割りをまたぐ形で躍っていた。虎縞のビキニは膨圧的な肉体に食い込み、掲げた右手の人差し指の先から太い雷光が放たれている。『ダーリン、お仕置きだっちゃ!」のフキダシと共にちゅどーんという効果音が左下のコマの中にいる、原付バイクに乗った〈あたる〉をバイクの爆発と共に黒焦げにしている。そんな〈ラムちゃん〉の背後のコマにはメガネやチビ等の脇役キャラ達が驚いているポーズが描かれている。。

 死したはずの韮沢靖の描画によるうる星やつらの一ページ。うん、確かなデッサン。完璧な原稿だ。

 しばらくお眼にかかっていなかったニラニラした画風にちょっと俺は涙もろくなる。

 と、その絵がスケッチブックの本体から外れ、舞う様に車内をひらひらと見えない風に乗る。

 一瞬、車内に雷音が轟くと共に眩い白光が踊った。

 俺は驚くと同時に思わず叫んでいた。

 〈漫画〉は枝分かれする電光となり、車内のあちこちを撃つ。俺は必死に身を守ったが、その電光は人間を誰も撃たなかった。

 気がつくと静寂が訪れており、原稿用紙は車内から消えていた。

 俺はほんの少しだけ放心した後、コンソールの充電計を見つめる。半分以上、消費していたバッテリーがフルチャージになっていた。

 何てこった。本当に〈漫画〉は〈護符〉になり、パワーを発揮してしまいやがった。

 これが〈サイバーイタコ〉の力か。……〈集合無意識〉から既に逝去した漫画家の霊を降ろし、霊的な〈護符〉としてパワーを発揮するほどの〈漫画〉の威力を見せてくれやがった。

 車内にはもうパワーの残滓はない。るふは「こんなもんです」と当然だという顔をし、リンは今ので腰を抜かした様な表情をしていた。

 あ、待てよ。もしかしたら。俺は防疫服のポケットからスマホを取り出し、電源を入れた。

 やっぱり、スマホもフルチャージだ。

 〈護符〉は純然たる電気の力を操ってみせたのだ。

 とにかく一度入れたスマホの電源を俺は慌てて切る。GPSが俺の居場所を捉えるからだ。俺はなるべく知人以外には場所を教えたくない。

 ……あれ。ちょっと待てよ。

「るふ、お前、スマホ持ってるか」

 俺が訊くと〈ガイア教〉の尼僧は僧服の隠しから自分のスマホを取り出した。「ええ。持ってますが」待ち受け画面が教団のシンボルになっているスマホを俺に見せる。保護ケースも何も着けていない本体剥き出しの薄っぺらいスマホだ。

「アホかぁーッ!」俺は叫んでいた。ブヒ。「点けっぱなしのスマホを持って歩いてたら、お前の位置はGPS衛星から丸解りだろうがーッ!」

 これで自衛隊や〈ガイア教〉の戦闘部隊が、確実にるふの所へやってきた謎が解けたぞ。初歩的な、あまりに初歩的なミスだ。この世間知らずはそれすら気づいていなかったんだ。「早くスイッチを切れッ! 馬鹿ッ!」

 俺の叫びで、るふは慌ててスマホの電源を切った。

「……もうすぐ自衛隊か〈ガイア教徒〉かがやってくる可能性が思いっきり高いぞ」

 マスクの内側で苦苦しく口を曲げる俺。

「ともかく俺達は何処へ逃げこまなければいけない……。そう言えば、お前は何処へ行くつもりだったんだ」

 アクセルを思いきり踏み込みながら、横のるふに訊く。

 そうだ。そもそもるふはこの〈イン・キバ〉を持って何処へ行くつもりだったんだ。考えてみりゃ、俺達はるふを轢きそこねてクラッシュした時から彼女にずっと巻き込まれてたんだ。こいつに頼まれたわけでもない。ただひたすら巻き込まれてたんだ。

 そもそもこいつはどうして身内である〈ガイア教〉から襲われてるんだ。

「私が同じ〈ガイア教〉から逃げ出していたのは……この母の発明であるキバがガイア様の不在証明になりえるからです」るふはそう俺に訴えた。ネガティブ。「母は撃たれながら……このキバを不浄の地・福島へもっていけ、と。その土地は〈ガイア教徒〉は近寄らない、と」

 るふのその言葉をかき消す様にヘリのローター音が近づいてきた。

 自衛隊のヘリだ。今度は戦闘ヘリ二機。汎用ヘリ一機。

 そして、後方から重量級の車両の走行音。

 戦車に見えたが違う。キャタピラがない。自衛隊の戦闘機動車だ。

 さらにその後方に都市迷彩を施したトラックが走っている。

 後方監視カメラが捉えたその姿は猛スピードで接近してくる。すぐに追いつく。

「仕事か!」俺はハンドルを必死に握りながらるふに叫んだ。「考えてみれば、俺は自衛隊はともかく〈ガイア教〉の方から逃げる理由がない! お前とキバを〈ガイア教〉に引き渡せば、それで穏便に全てがすんじまうかもしれないんだ! それでいいんだ!」

「えー!」後部座席でリンが不満そうに叫んだ。「ここまで関わったんだ、るふを助けてあげよーよ!」

 るふはキバに負けないほど顔が白くなっていた。

「だが俺は〈運び屋オーク〉だ! お前が何か金を払う当てがあるんだったら、お前達を仕事で福島まで運んでやってもいい! 何か報酬になる物は持っているか!」

 そう言われたるふはとまどった。恐らくスマホが彼女の持っている中で一番金目の物だろう。キバを除けば、だ。逡巡は一時だった。彼女は意を決して唾を飲み込んだ。「私に払える物はこの身体しかありません……もし、私とキバを福島に運べてもらえたら、この私の身体をあなたの自由に……」

「ええ、じゃあ、あたしを入れて3P?」リンが嬉しそうに叫ぶ。

「自分の身体にそれだけの価値があると思ってるのか。お前は処女か」

 その言葉にるふはびくっと反応した。「ええ……はい」

 ネガティブ。

「よし、契約成立だ!」

 言うなり俺はブレーキを踏んだ。

 既に戦闘ヘリや戦闘機動車は、俺達を確実に照準に捉えているはずだ。

 俺は自衛隊に降伏した。

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