冒険篇

第22話 幼児と短足狼

あっるっこーあっるっこー私はー元気ー♪

いけっ!進め!ベルドラゴン!


只今ヒナちゃん御一行は、東の国に向けて進行中であります!

本当は転移すれば楽なんだけど、魔物討伐がメインだからゆっくり徒歩で向かうことになったんだけど。

私は幼女で、ベルの1歩に対して私は3歩は必要なのだ。

ということで、ベルドラゴン中サイズに乗って楽しております〜♪

しかし、問題が……


「魔物いないねぇ」


「あぁ。魔力は抑えているがやはりこの見た目が問題か……」


ベルに怯えて弱い魔物は姿さえ現さないのだ。

これはヤバいのでは?


「だが、弱いものは街を襲うこともないから大丈夫だ。問題は街を襲うような奴らまで出てこないことだな……ドラゴンと戦おうという馬鹿はいないだろう」


やっぱりヤバいんじゃん!

ベルドラゴンは楽だけど、降ります……渋々だよ?


「ベル〜ちいちゃおちょこのきょ、なれる?」


「ん?小さい男の子か……それは妙案だな」


私は考えましたとも!

ベルが人間になったら魔物は寄ってくるかもしれないけど、歩幅の問題は解決しません。

そこで!ベルをショタっ子にしちゃえ大作戦〜ぱちぱちぱち

ショタベル君が見たかっただけじゃないのよ……むふっ♪


「ヒナと同じくらいの身長であれば魔物も喜んで寄ってくるはずだ。ヒナは賢いな」


やだ、そんなに褒めないで……ただショタベルが見たかっただけなの!


私が心の中で懺悔してる間に、ベルは変身を済ませたらしい。


「……ふむ、こんな感じか?」


ふおぉぉぉぉぉ?!

天使が、天使で、天使でした!

思わず語彙力失うほどの可愛さだった。


肩で切り揃えられた漆黒の髪には天使の輪が光り輝いてて、艶さら〜ってまるで女の子みたい。

お目目もぱっちり二重で大っきいなぁ。

ちっちゃいお鼻も口も全てが完璧で神々しさを感じるんだけど……これは犯罪者が増えるかもしれん。


「ベルかぁいい!」


「そうか?……何もせずに目線が合うのもたまにはいいな(ボソッ)」


そういえばベルは滑舌に支障はないみたい。

……私も早くちゃんと喋りたいな(泣)



ヴゥゥゥッ


「?!べ、ベル〜何か来ちゃー」


「早速か」


幼児2人になった途端囲まれた。

狼っぽいけど、猪にも似てる……短足狼と名付けよう!

知能があってもそんなに賢くはないみたい。


そんなことを考えている間にもどんどん魔物が増えていき、ベルを警戒しつつ距離を測っていた。

……ん?私はもちろんノーマークだよ!


特に迫力のない幼女だからって舐めてるな。

私だってやる時はやるんだからね!


「くりゃえ!ローしゃんボンバーっ!」


ローさん特性の魔物撃退爆弾を喰らうがいい!

作り方は、なんかのスパイスとローさん秘伝のタレと私への"愛"だって……ローさん愛してる♡


私の投げた爆弾は群がる魔物の数メートル手前、私の数歩先に落ちた。

……わからないけど短足狼たちが馬鹿にしてるような気がする。


「ばきゃにするのは、早いんだにゃ〜」


ラッキー幼女……この世で最強なのよ?


私が願った瞬間、突如突風が吹いた。

その風はローさんの爆弾を巻き込みながら魔物に向かっていき、その威力を遺憾無く発揮したのである!



「ふふん!見ちゃか!これが運極のちかりゃよ」


短足狼たちは粘着質の"何か"に絡め取られて動けなくなっていた。

ローさん秘伝のタレって何なんだろ……この爆弾凄いな。


「凄いな。流石ヒナだ」



……いや凄いのはベルの方です。

私が数匹?相手にドヤ顔決めてる間に、残りの数十匹を消し炭にしてるんだもの。

……訂正、炭すら残ってませんでした。


「べ、ベルもちゅごいね(震え声)」


「そ、そうか?ありがとう」



……笑顔が眩しいっす。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生したら幼女だったので取り敢えず”運”極振りでお願いします。 iroha @iroha_syumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ