第21話 旅支度

「こちらがヒナ様の夜着、そしてこちらが冒険者風の装い、あっこちらは潜伏用の特殊加工スーツでございます。あとは、これはヒナ様お気に入りの髪飾りで、あれもそれもこれも……ブツブツ」


「ローしゃん落ちちゅいてー」


王様からの依頼を受けて、最近急増してる魔物討伐とその原因調査に行くことになったんだけど、有能執事のローさんが過保護で大変ですぅ。

服だけでもう30着は積まれてるよ?

そんなにいる?

てかいつの間にこんなに揃えたよ。

てか潜伏用のスーツって私に何させる気よ?!

ベルも何か言ってやってよ。


「ベル〜ローしゃん壊れちゃ」


「ロールク……ドレスは50着はいるだろう?いや、各町で作るのもいいか……ブツブツ」


ダメだこりゃ。

もう好きにやっちゃって下さい。


Heyジテン、魔物について教えて〜


『なんかいつも大変そうだなマスターは。にしても愛されてるのに……鈍感だな(ボソッ)』


なに?なんか言った?


『いーやなんもないない。で、魔物だっけ?この世界における魔物の定義は①魔力がある、②言葉が通じない又は通じても話を聞かない、この2点だ。魔族や人間、その他の種族の多くは魔力を有しているが、言葉が通じるし、会話が可能な点で魔物とは区別される』


なるほど……会話ができないと魔物って判断されるのねぇ

……私も自動翻訳なかったら魔物判定されてたかも?

危なかった(汗)


『まぁそういうこと。魔物の多くは森に生息してて、テリトリーに入らなきゃ攻撃してこない。だが、一部の魔物はある程度知恵を持ってる。だから群れで村や街を襲ったりするんだ。そういう魔物の相手するのが冒険者ってやつ』


ほうほう、じゃあベルが狩るのはその知恵持った奴らってことねぇ

頑張れベル!

私も精霊さんと契約できたら魔法で加勢できるかな?

早く精霊さんに会ってみたいなぁ


「やはりピンクでしょうか。いやいや白も……」


「黄色はどうだ?緑もありだな……」


私たちが魔物の話してる間に話題は私に似合う色に変わったらしい。

そんなことを気にする前に、この山積みの服をどうやって持っていくかが問題だと思うんですけど……


「ねぇベル。これどーやっちぇ持ってくのぉ?」


「青もいい……ん?あぁ、収納魔法を使えば異空間に収納しておけるんだ」


異世界の定番ですね……私も使ってみたいです!

空間魔法とかかな?

空間魔法の精霊さんとかいるのかな?

ますます楽しみだな〜むふふ♪


「……こんなものだろう。足りないものは旅の途中にでも買えばいい」


「できたのぉ?もーいく?」


どうやら収納まで完了したようです。

今日で北の国とは暫くバイバイね〜殆ど観光してないけど……ま、まあいつでも観光できるし?


東の国で精霊さんと契約するのも楽しみだけど、各国、各町の教会も回ってみたい!

父らしき神しかまだ知らないから、もっと知りたいな。

あとは、転生者にも会いたい!

初めての思い出は最悪だけど、やっぱり同郷の人と友達になりたいもん。


これから忙しくなりそうだなぁ♪


「ヒナ、では行くか」


「うん!」


これから私たちの本当の冒険が始まるんだ。

魔物の増加の原因もちゃんと調べないとね!


「ご主人様、ヒナ様、いってらっしゃいませ」


「いってきまーしゅ!」

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