第32話 厄災退治へ

 さて問題の翌日。見事にダブルブッキングをかましてしまった

俺は有希乃に遅れる旨を連絡し、ヤツの元へ向かう。

 今日の予定を大まかに言うと、最初に美琴の所へ行って勉強を教える。それが終わってからすぐに有希乃の元へ向かう。といった感じだ。

 二人の家の距離はそんなに離れていないので移動に関しては苦にならないはず。


 「まずは美琴の所だな。」


 正直あの厄災のところで勉強の面倒を見るのは気が引けるが一度引き受けたからにはしっかりやりきらないといくら厄災と言えど失礼だろう。

 必要な物を確認してから出発する。


 「先輩来てくれたんですね!ささ!どうぞどうぞ!」


 「お邪魔しまっす。」


 厄災もとい美琴に催促されて家に入らせてもらう。

 そういえば親御さんが見当たらないが美琴に聞いたところ仕事なのだそうだ。

 なんの仕事かまでは聞いていないが聞くだけ野暮というもの。

 

 「今日はここでしましょう。」


 「了解。時間もないからさっさとやるぞ。」


 そう言って部屋に通される。

 女の子の部屋って結構どこも似てるな...。

 そんな感想はさておき二人とも机に座って早速始める。

 理数系は比較的ましなので文系科目から始める。


 「いいか?地歴なんかは記憶力が物を言う。極端な話覚えれば勝ち覚えられなければ負ける。」


 「それくらいならできますよ!例えば...卑弥呼とか!」


 「それだけか?卑弥呼は何した?」


 「えっと...邪馬台国を建てて...。」


 「親魏倭王とかあったろ?」


 「そう!それです!」


 「これは習った分かんねぇけど卑弥呼の死後男の王が立てられるんだけど、もうその頃は荒れる荒れる。んで、新しく壱与って言う女王が立つんだけどそうしてやっと荒れた時代は過ぎていくんだ。」


 「なんかよく分かりませんが分かりました!」


 「どっちだよ。覚えとけ。」


 そんな満面の笑みで言うなよ。はぁ...。


 「あと古墳の名前とかさっぱりですよー。」


 「どんだけの学力が必要になるか分からんが覚えてる古墳言ってみ?」


 「山内丸の内古墳」


 「山内丸山古墳な。」


 こりゃダメだ...先が思いやられる...。


 「まぁ今回はここまでだな。俺もそろそろ時間が...。」


 「あ、そうだ!先輩携帯持ってますよね?」


 「お?持ってるけど。」


 「せっかくの機会ですし連絡先交換しません?そうすればわざわざ先輩に家に来てもらわなくても聞きたいこと聞けると思うんです!」


 「確かに一理あるな。」


 「でしょう?じゃ、早速交換しましょ?」


 「了解。」


 まぁこれが原因で寝不足になるのだがそれは置いておこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る