第18話 戦闘準備

 「ほほう。大量大量。いやー助かったよすみれ。その上荷物まで手伝ってくれて。お前は俺の自慢の妹だ!」


 「何言ってんのお兄ちゃん。そんなの分かりきったことじゃん。」


 俺とすみれは街の服屋を回っていたのだがどうしてこうなったのかと言えば――


 今から3時間ほど前。


 「うがー!」

 

 俺は部屋の中で奇声を上げながら頭を抱えていた。

 彼女ができたということはもちろんデートも初めてである。

 ――となるとここで問題が発生する。


 「...着ていく服が無い!」


 それもそのはず。おしゃれする機会など全くなかった俺は学校の制服以外にこれといった服をほとんど持っていなかった。


 「勉強会の時に着ていったのをもう一回着ていくのもなぁ。」


 それにデートは明日。もういっそそうするかと諦めかけていたその時...。


 「――ふっふっふ。お困りのようだねお兄ちゃん!」


 「...!?お前は!」


 後ろからすみれがまるですべて見ていたかのように――もしかして本当に見られていた?――仁王立ちで俺の部屋の入り口に立っていた。


 「迷える子羊よ...安心なさい。これらの問題が私が解決してあげましょう。」


 と突然教会のシスターのような口調で言う。


 「と言うと?」


 「さあお兄ちゃん。この前着てった服でいいから今すぐ出かける準備をして。」


 と言われて戸惑いながらも準備をし、街まで連れて行かれたかと思うともう試着試着のオンパレード。3軒ほどの店を回されクタクタだがおかげで明日の、それどころか5回分くらいのデートに着ていく服が1日で調達できた。


 ――ここで冒頭の台詞だ。


 「金を出してくれた母さんにも感謝だな。」


 「もうここまで来るとお母さんも分かってるよね...。さすがに誰とまでは分からないだろうけれど...。」


 すみれが何か小声でつぶやいているようだがよく聞こえない。


 「ん?何がだ?」


 「お兄ちゃんは知らない方が幸せだと思うよ。」


 「?そうか。ならいいが。」


 何はともあれ明日着ていく服は揃った。明日は変な失敗しないようにいつも通りを心がけていかないとな!


――今更だけど服って結構重いな...。

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