第6話  初夜?

 風呂に行くとクラスメイトにからかわれた。


 なあ聡太、ミナちゃんどんなだったかちゃんと報告しろよ

 いいなあやっちゃうんだ!

 てめえそんな事許されると思ってるのか?

 等俺が美菜に求められて同室だと知っているからやじが飛んでいる。

 言っちゃあなんだが、俺は頭はそこそこだが、運動神経がよく、陸上部に所属していて、長距離を主に行っていて駅伝もやっている。一応エースでそれなりに女子からも人気だ。しかし美菜が俺の近くにいるものだから誰も寄ってこない。でも武勇伝もある。


 そして美菜も美人だが誰とでも分け隔てなく仲良く話すものだから、皆のマドンナだ。


 聡太「ただの添い寝だよ。俺もさ、確かにエッチできるならやりたいけど、不安な女の子をこますなんて男として恥ずかしい事は出来ないよ。それに赤ん坊の頃からの付き合いだからな。邪推するなよな」


 嘘付けー等と言われていたりする。


 神官の姉ちゃんはどれがタイプ?とか胸でけえよなとか、俺あっちのチッパイの子とやりてえ!顔超好みだ!

 とか挙げ句に覗きにいかないか等と思春期真っ只中の男の子の会話だ。

 誰も今後の事について言わない。いや言えないのだ。皆不安で女の話に逃げているだけだ。


 魔法の事やギフトの事をワイワイガヤガヤ話している。


 俺は、美菜が待ってるからと一部のブーイングを後に風呂を出た。ただ一人鋭く睨む者がいたのには一部の生徒が気がついただけだった。


 意外にも美菜が外で待っていた。


 聡太「あれ?早いな」


 美菜「うん。皆しんみりしちゃってなんか居づらくて。そっちは?」


 聡太「うんそうだな、皆、女の子や神官さんの話ばかりして不安から逃げてたかな」


 美菜「あーひょっとしてあの胸の大きい神官の娘の事?やっぱ胸大きい子男子は好きだよね。男子はみんなあの子の胸を見てたよね。聡太もやっぱりああいう胸の大きい子が好きなの?」


 美菜は不安なのかそういった話を振ってくる。美菜の癖だ。不安があると別の話題に逃げるのは子供の頃から変わらない。


 聡太「俺は大きい胸の子はちょっと苦手かな?なんかグイグイ来そうで。かと言って小さいのもね。美菜の大きさが理想かな?って何言わせてるんだよ!そうさ俺の理想は美菜だよ!」


 そう言っているとクスクス笑いながら部屋についた。


 鍵を閉めて荷物を置くとどちらからともなくキスをした。二人での、美菜のはじめてのキスだ。涙が溢れれいるのが分かる。『あっ俺はその違うんだ。ごめんよ美菜』ぼそ


 彼女の髪はまだ濡れていて艶っぽかった。

 震えているので暫くキスをしながら抱きしめる。小学校の頃のお転婆な面影はなく、気が付けば完全にメスだ。オトコの本能を滾らせる魅力がある。それでも理性が勝った。彼女が愛おしい。守ってやらないとと心に誓う。と言うか、美菜の事をずっと守ってやらないとなと口走っていたようで、しかもしっかり聞かれていて真っ赤な美菜が愛らしかった。


 美菜は男勝りの闊達な所があり、女子のリーダーだ。でも今は、異世界転移で不安で一杯な女の子だ。


 ベッドに腰掛けて美菜も隣に座る。美菜の匂いが女を感じさせくらくらする。

 俺は心臓の鼓動の速さを隠したい気持ちだで一杯だが、やはり落ち着くには真面目な話に尽きるので手を取ってぎゅっと握り話を始めた


 聡太「なあ今の状況どう思う?」


 美菜「えっ!それを私に聞くの?」


 くねくねしながらぶーたれている


 聡太「???俺達の召喚の事だよ。どうも胡散臭くてさ。それと誰も突っ込まないが魔法だよ魔法。凄いよな」


 美菜「なんだ、そっちか。私もファイヤーボールが出たよ。皆なんか出るんだよね。聡太は穴だっけ?」


 聡太「それなんだけどな、どうやら俺って今は大したの持ってないし、穴は外じゃないと無理だけど、でも俺多分チート持ちだよ。但し大器晩成っぽいんだよね。ちゃんと序盤を生き残らないと行けないけどな。因みにヒールをゲットしたよ。どうやら見るか喰らった魔法は使えるようなんだ」


 美菜「そっか、凄いね。やっぱり聡太は特別ね。それと私達以外メモを残していた子はいないっぽいよ。お風呂で確認したから。同じ事をしているなんて私達同類だね」


 聡太「それは美菜が普段から聡いからだよ。美菜ならやっていると確信したから服を脱いで貰ったんだ。美菜はサポートする側を選んだっぽいね。それと俺の貰った能力でレベルが上がるとポイントが貰えるのが有るんだよ。多分相当チートだと思うぞ。

 それと頭にディスプレイが出るだろ?あれでポイント調べられたんだけどさ、俺の無限収納はポイントが最大設定の99でホールが1だ。美菜のも調べたら合算で100だったよ。恐らく100ポイントを各自で振り分けたんだろう。そしてその時の記憶が無くなると分かり、体にメモを残したんだと思うんだよね。俺はまた随分と思い切った事をしたもんだな」


 美菜「そう言われると、なんか私そういう行動をしそうね。流石だな聡太は。私なんか自分の事で一杯だったのに、お風呂で既にそんな事をしていたなんて。そういえばあの画面ってまるでゲームよね。穴ってやっぱりあの映画の影響?」


 聡太「うん、AJって馬鹿だけどかっこいいよね!あれこそ男のロマンだよ!憧れるよ!」


 美菜は確か小学校の間だけ合気道を少しやっていたから大丈夫だろうけど、問題は俺だ。攻撃魔法が今は無い。剣も玩具の剣でちゃんばらだけだしな。まあ穴も手がない事は無い。どうも大ハズレの魔法らしいが、使い方の問題だろう。例えば追いかけさせて、そいつの足元にホールを使うと嵌まるか転ける。そこへ棍棒でも叩き付ければ確実に殺れる。俺はそんな事を考えていた。それに建築現場で必須になる筈だ。基礎工事等の地盤改良、井戸を掘ったり。格好良く穴が掘れるかな?穴掘り師が不遇職って言ったやつ見てろよ!

 と俺も胡散臭いとは思ってはいたが、そんなに警戒をしていなくて、女や金で言いくるめられて傀儡にされるのだけを恐れていたんだ。俺も子供って事なんだな。


 考えに耽っていると美菜がキスをしてきた。俺は、思わず押し倒し胸を揉んでいた。ハッとなり首を振る。美菜を愛している。抱きたいと思う。理性が止めているのではなく、俺は避妊具を持ってきていない。つまり踏み留めているのは妊娠の可能性だ。


 聡太「美菜を愛していると魂が君を求めている。今君を抱きたい。でも出来ない。その、避妊具がないんだ」


 美菜もハッとなり俺の後ろに抱きついた。


 美菜「いいの抱いて。子供が出来てもいいの」


 俺は理性が飛んだ。しかし一線を超える前にやはり我に返る。


 聡太「美菜!俺と結婚してくれ。いずれ俺の子を生んで欲しい」


 俺は敢えて気の利いた事を言わず唐突にストレートに言った。美菜は泣きながら頷き了承した。


 聡太「だけど今は俺我慢するよ。ここまでしといて何だけど、今の段階で美菜が身籠ると美菜が生き残れないと思うんだ。生まれた子供だけが地球に帰れないなんて洒落にならない事態になり兼ねないしね」


 美菜「うん。この問題が片付いたらちゃんと結婚してね。私待ってるから」


 そう言い抱き合って眠りについたのであった。あっ!ハグの方だからね。

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