第5話  美菜のメモ

 俺は美菜と腕を組んで部屋に入る。

 城の来客を泊める別邸の客間だ。

 何故こうなった?と叫びたいが、不安な美菜を一人にはできない。


 先の説明時に神官が部屋についての説明で


神官「一人では不安でしょうから、今日は二人で一室になります。では二人に別れてください」


 そうすると、美菜は離れる所か俺にしがみついていて、俺に声を掛ける男子を威嚇して追い払っていたり、女子が近づくと片手でごめんのポーズをし、俺をホールドしている。


聡太「いいのか?俺も男だぞ?美菜を襲うかもだそ」


美菜「聡太はこんな時にそんな事しないよ。(でも、いつ死ぬか分からないし、処女のまま死にたくないと思わなくはないし、聡太が我慢出来ないならそれも仕方がないかな)聡太の事を信じてるし、そ、そのね好きなんだからね。私の事守ってね!絶対だからね」


 俺は美菜の頭を撫でて、


聡太「分かった。襲わないように努力するよ。でもな美菜、お前みたいな美女と一緒の部屋だと俺も自信がないぞ」


美菜「あら?私の事を美人だなんて初めて聞いたかな?」


 後ろ手にくるっとまわり、口に指を当ててきて


美菜「本当に守ってくれなきゃ駄目なんなんだからね」


 という事があり、部屋に一緒に入る。まず風呂に入りに行かなきゃだから、まずは腹のメッセージをなんとかしないとだった。美菜を女として意識してしまうと、まず思うのはまあ美人だよな。さっきの仕草も破壊力あり過ぎる。昨日までは幼馴染の腐れ縁で家族同然の付き合いだったから、あまり異性として意識してなかった。将来結婚したいなと思わなくはなかったが、照れるのでそういう想いを悟られないようにしてきた。美菜もやっぱり俺の事を好いていてくれていて嬉しかった。俺は帰れなくても、せめて美菜だけは地球に帰してあげたかった。


 部屋は10畳位で中央にWベッドが2つある。机とタンスが一つある。小さいワゴンに水の入ったつぼ?とコップが置いてある。内装は廻し縁や巾木も彫刻が施されていて何気にお金が掛かっているのが分かる。二人で使うには勿体無いくらいだ。


 部屋に入るなり俺は上の服を脱いだ。

 美菜がひきつった顔を向けていて


美菜「えっ!って、いきなり?そ、そのまだ心の準備が!それにまだお風呂に入ってないよ」


 と言いつつ目を閉じて上目遣いだ。

 俺は、デコピンを喰らわせて


聡太「何やってるの?ほら美菜も早く服を脱いで、俺のような事をしていないか確認して!俺はどうやら転移前と思うが自分にメッセージを残してたんだ」


 そう言いお腹を指さした。

 美菜がメッセージを確認し


美菜「あっ!トイレの時ってこれだったのね?ちょっと待ってね」


 美菜は上着とブラウスを恥ずかしそうに脱ぎ、上半身はブラだけになった。淡い青の花柄が入った清楚な白だ。胸がたぷんと揺れて聡太はドキリとした。


 着痩せするのか胸はCかDカップと中々の物をお持ちだ。ウエストも細くって夏のプールで散々見とるわい。と一人で突っ込んでいたが、聡太の超好みのボディーラインだ。理性を保つの必死だ。正確には美菜を理想として聡太の好みが形成されているのだったりする。


 そうして美菜のお腹を見ると、ほらあったと聡太は勝ち誇ったようにお腹に顔を近づけるものだから美菜は真っ赤だ。


聡太「火 回復 風 そせい ひみつ テレポート 追加マ力反しゃってあるな。メモメモ」


 聡太は紙にメモを己のと美菜のを行い、それを二部作った。1部は己の収納に入れ、もう一部を美菜に渡すと美菜はアイテムボックスに入れた。お互いのスマホで、二人のメモをお互いで撮ってから、二人で自撮り写真を撮ると美菜が考え込み始めた。


 そうしてちょっと胸元をガン見し、ゴクリとしてからブラウスを美菜に着させた。そしてボタンを掛けてあげる。胸の感触が煩悩を刺激するが我慢どころだ。美菜は己の残したメモの事で一杯で心ここにあらずだ。ではなく、聡太が服を着させてくれるのが恥ずかしくて胸に手が当たっていて恥ずかしくて固まっていただけだ。


 聡太は美菜の顔の前で手をパチンと叩き、現実に引き戻した。取り敢えず生活魔法を試す。


聡太「生活魔法発動」

 

 やはり画面に生活魔法を発現した旨表示がでた。

 詳しくは後に見るとして、今は生活魔法のリストを見る。そうすると目的の名前があった。

 まずは己のお腹に手を当て「クリーン」と唱えるとお腹のメモが消えた。

 恥ずかしがる美菜のお腹に手を当て「クリーンー」と唱えるとやはり消えた。


 そしてまず風呂に行き、戻ったらメモについて話すとし、他言しない旨を決めて腕を組んで浴場に向かうのであった。

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